1993年6月発売
放っておけば国民を滅亡の危機に落とし入れるかもしれないエイズ。その撲滅のための特別権限を執行できる東京保安官に任命された、叶大陽と大田蹴鞠子、そしてアシスタントの大和ローラの三人は乱れた性の現場に突入し、エイズ感染防止のために奮闘する。風俗営業のあらゆる形態-、S・Mホテル、ホモ旅館、レズ・バー、幼児クラブ、ボディーピアス協会、ポルノビデオ研究会など、変形された性愛の全ての世界で水際作戦を展開する。
バレンシア大陸は二極に割れていた。すなわち、荒ぶる魂の神ドーマと大地母神ミラ。あるいはやさしさといつくしみの支配する王国ソフィア、戦いこそが人を育むと信じる帝国リゲル。その敵対する二極が最悪の戦乱をひきおこした。両端のユニティたちはそれぞれの神を信ずるが故、それぞれの祖国に忠誠を誓ったが故、互いに争い血を流した。来る日も、また来る日も…。この物語の主人公はアルムとセリカ、そして無数の若きユニティたち。誰もが目指すはバレンシアの統一。だが、その進むべき道はあまりに異なる。そこに、大いなる愛と憎しみの物語が大きくうねりはじめていた。
大いなる戦乱の只中にあるバレンシア大陸。数多のユニティが命を落とし、そして新たなる出会いの物語があった。解放軍をひきいてソフィア王国を復興させた王侯軍大将アルム。若き神官セリカはまさに悲願であるミラ神復興を達成せんとしていた。しかし、運命は未だ2人を異なる方向へと導いていた。冷酷非情なるリゲル皇帝ルドルフの黒き企みが、再びその姿をもたげ始めている。…ソフィア王国の壊滅。何ゆえ彼はそこまでの狂気に走るのか?アルムは血の宿命すら知らず、剣をかざす。はたして2人の愛はまっとうされるのか?バレンシアに平和は訪れるのか?ここに物語は完結する。
17歳の美少女ローラと恋におちた“ぼく”は、自分がエイズに感染していることを打ち明けないまま、彼女を抱く。しかし、その一方で、男たちのたくましい肉体を求めて、夜の街をさまよいつづけた…。あまりにも衝撃的な日々を送る“ぼく”がやがて見出す、愛すること、生きることの意味とは?エイズ・キャリアでバイセクシュアルだった著者が斬新なタッチで描く自伝的小説。
本書は、アメリカ人ジャーナリストと作家Sという、いわばコンピュータとDNAの時代のブヴァールとペキュシェの対話からなる現代のロマネスク小説である。それはソルレス自身の自伝的要素が随所に散りばめられているというだけでなく、作家がそれとともに自らの生を生きているような、いまこれを書きつつある者がその内部にあって現実の日々を送っているような小説的小説、つまり『天国』の作家による「新生」の試みなのである。
〈会社戦争〉は〈艦隊〉側の敗北で終結した。ステーションで絶望の日々を送る、元〈艦隊〉の軍人ベット。彼女は宇宙に出たいー心で、正体不明の辺境航行船ーリムランナーーに整備工と身分を偽って乗りこむ。ところがその船は、よりによって〈艦隊〉の生き残りを狩るスパイ船だったのだ。くせ者ぞろいの乗組員にかこまれて、一触即発の苛酷な宇宙生活が始まった。ヒューゴー賞受賞作家が放つ現代のスペース・オペラ。
なんとか西の魔道師と北の魔女の手を逃れたラップは、透視能力を買われて、ヨッツンのガトモルガ指揮する交易船〈嵐の踊り子〉号に奴隷として乗り組み、フェアリー島をあとにすることになった。しかし、イノスを捜しに船出する望みを果たすまもなく、〈嵐の踊り子〉号の本拠地がガルクの領主カルコル麾下の海賊に襲われ、ラップとガトモルは捕虜にされてしまった。囚われの身となったラップを待ち受けていたものは…。
皇帝アザク、伯母ケイドと共に后妃ラシャのもとを逃げ出したイノスは、四人の魔道師に会って自らの王位継承権に対する支持をとりつけるべく、長老エルカラトの率いる隊商に混じって中央都市フブへと向かっていた。ところが、エルカラトはイノスたちの監視を命じられたラシャ后妃の手先だったのだ。イノスとケイドとアザクはエルカラトの隊商から離脱し、三人だけでフブを目指すが…。壮大なスケールのシリーズ第三弾。
2077年中央アジア・タリム盆地。かつてのシルクロードはその地下に眠る膨大な石油資源をめぐって熾烈な争いの舞台となっていた。アジア国家連合は、敵国がロプノール湖岸に建設した軍事基地を破壊すべく“タリム7”を送り込んだー。タリム7とは、特殊能力を持つ犯罪者で構成される傭兵部隊。この一癖も二癖もある男たちをひきいて、隊長の白龍は人工知能に守られたハイテク要塞に挑む。新鋭が描く書下ろし痛快冒険SF。
ベルファストのホテル支配人ディロンの家に、突如IRAのテロ・グループが乱入した。彼らはディロンの妻に銃を向け、ディロンに自分の車をホテルまで運転するよう強要する。折しもホテルでは要人による講演会があり、IRAが車に爆弾を仕掛けて会場の爆破を計画していることは明白。だがそこには大勢の宿泊客がいた。妻の命と多くの人命の間で板挾みになるディロン。絶体絶命の窮地に立たされた彼のとった最後の手段とは?
冷戦終結後の中東で、ソ連とアメリカの外交使節団が相ついで謎のテロ集団に拉致された。米ソは極秘協定により、ただちに合同の特殊作戦チームを編成、救出作戦の準備に移る。一方、英週刊誌記者のガーリングは、中東支局のスタンセルから、事件が〈審判の天使たち〉なるアラブ原理派組織の犯行であるとの情報を入手。だがその直後、スタンセルは何者かに誘拐され、消息を絶ってしまった。俊英が放つハイテク軍事冒険巨篇。
カイロへ飛んだガーリングは、残された情報を手掛りにスタンセルの行方を追う。イスラエル情報部やエジプト警察、そしてアラブ原理派組織の思惑が複雑に錯綜するなか、やがて彼は事件の背後に横たわる巨大な陰謀を知る。だがそのころすでに米ソ合同特殊作戦チームは、ソ連の情報をもとに、レバノンにあるテロ集団の本拠地にむけ、救出作戦を開始していた。最新の軍事情報をもとに特殊作戦の全貌を描き、絶賛された話題作。
あの時わたしが力をかしていたなら…。荒れた手に銀の指輪をした彼女の面影が、今も頭から離れない。紛失したグリーン・カードを見つけてほしいと言い残して姿を消したマヌエーラという女性が、死体となって発見されたのだ。カードと殺人には何か関係が?調査を始めたわたしの前に、やがて不法移民を食いものにする犯罪組織の存在が。私立探偵兼タクシー運転手のカーロッタが人情味溢れる活躍を見せるシリーズ第二弾。
偽りを言う者は滅びるー。事故死した検死医の葬儀の日、獄中の連続殺人犯から脅迫めいたメッセージが届けられた。死んだ検死医の偽証で、自分は無実の罪まで着せられているというのだ。再捜査を始めたメイブリッジ主任警部は、解決したはずの事件の裏に潜む愛と僧しみの人間模様を知るが…。サスペンスの名手が卓越した心理描写で描く、美しくも残酷な物語。
少年戌子は、いつか馬奴騎手になりたいと思っていた。馬奴とは、蹄を持ち二本の脚で直立する獣で、騎手はその肩にのって、速さを競うのだ。だが、ある日、戌児が住む流民の町は、黄武神皇が支配する巨大帝国〈霊ノ国〉の軍隊によって、一夜にして壊滅してしまう。親しい人々を殺された戌児とその仲間たちは黄武神皇に復讐を誓うが…、神皇は謎の力に守られていた。戌児たちに残された方法はただ一つ。三年後に開催される国家行事“大耐久馬奴走”に参加することだった。この大陸横断マラソンレースに勝利すれば、神皇暗殺のチャンスがやってくる。戌児は、夢見ていた騎手となって、レースに挑んだ。ハイ!ノヴェル大賞受賞作。