1993年8月20日発売
ミッドウェスト大学の教授だったバウマンは、酔っ払い運転で少女を轢き殺したため、二千人の凶悪犯が収容された州立刑務所に服役している。刑期を無事に終えることだけを考えていた彼だが、所内で起きた連続殺人の捜査をする羽目に…。暴力沙汰とドラッグが蔓延するこの世界で、バウマンは果たして真犯人を突き止め、生き残ることができるか?迫真の超大型エンターテインメント。
連続殺人の被害者メッツラーと親しかったゲイの青年、カズンズの助けを借り、事件の関係者を洗うバウマン。〈終身刑囚クラブ〉〈黒い国士軍〉など囚人グループ間の苛烈な抗争に巻き込まれつつ、捜査を進めた末に浮かび上がったのは驚くべき事実だった…。舞台は一つの街ほどの規模を持つ巨大な重警備刑務所、主人公は元大学教授。ミッチェル・スミスが圧倒的な迫力で描く問題作。
米ソ両首脳による核兵器の全面廃棄条約調印まであと十日。しかし二人を狙う謎の女暗殺者の影がー。元CIA局員ジャック・ローウェルは、大統領の特命を受け、最新型B1爆撃機を駆って女を追跡する。いつ、どこで、そしていかなる方法で暗殺を企てるのか。おりしも、ワシントンの生化学研究所から、新種の猛毒が若い女によって盗みだされた…。華やかな大型アクション・スリラー。
休暇でしばし仕事を忘れていたモース主任警部は、〈タイムズ〉紙の見出しに思わず目を奪われた。記事によると、迷宮入りした一年前の失踪事件を解く鍵となりそうな詩が匿名で警察に送られてきたというのだ。モースは去年の夏に起きたその事件を憶えていた。休暇でイギリスを旅行していたスウェーデン娘が、ヒッチハイクでオックスフォードまできたあと、ぷっつりと消息を絶ったのである。詩が暗示するように、娘は森の中にいるのか?だとすると、すでに死体となって森の奥深くに埋められているということなのか?一篇の詩から万華鏡のごとく華麗な推理がつぎつぎ展開される、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作。
テレビ・コマーシャルは、たしかに効き目があった。暇をもてあましていた私立探偵アルバート・サムスンのもとに、依頼の電話が急にひっきりなしにかかってくるようになったのだ。しかし、そういいことばかりはつづかなかった。警察が血眼で追っているテロリスト・グループからも、仕事を依頼されたのである。環境保護を訴えるこのグループは、爆発しないようにセットした爆弾を公共の場に仕掛け、それを自ら警察に通報するという手口で、マスコミの注目をあつめていた。ところが、仕掛けた爆弾のひとつが何者かに盗まれてしまったという。死傷者がでるまえに爆弾を回収してほしいと依頼されたサムスンは、警察に届けるよう勧めるわけにもいかず、仕方なく調査をひきうけた。やがて警察の追及の手はサムスンにまで…。追いつめられたサムスンが男の意地をみせる話題作。
永遠の生命を持つ美しき魔女クンドリーは、世界制覇の野望を抱く魔法使いクリンゾールに仕えていた。今度の使命は、聖杯の守護者アムフォルタス王を篭絡し魔力の源である聖杯を手に入れることだった。だが、あろうことかクンドリーはアムフォルタスを愛してしまった。愛を貫くためにクリンゾールに逆らおうとするクンドリーを待ち受けていた運命は。ワーグナーのオペラ『パルジファル』に材を取った歴史ファンタジイ。
ぼくが命を狙われはじめたのは、あの夜の記憶を取り戻してからだった。三十年前、空襲激しいベルリンで、ぼくは母が殺される現場を目撃していたのだ。が、犯人の顔がどうしても思い出せない。命を狙われるのは、あの夜の出来事が原因なのか?精神分析医の催眠療法で十歳の自分に戻ったぼくは、悪夢の渦巻く記憶の中へと踏み出すー。異色の心理サスペンス。
チターを弾く大みみず、仔牛の肺臓製のレールの上をすべる奴隷の彫像、人とり遊びをする猫…。熱帯アフリカを舞台に繰広げられる奇想の数々。これは真の神話であるとともに、大胆で徹底した言語実験の輝かしい成果でもある。ブルトンが現代における最も偉大な催眠術師と呼んだルーセルの代表作。
ローマ帝国を未曽有の繁栄に導いた哲人皇帝の崇高なデカダンス。真の享楽主義として濶達に生きた皇帝の瞑想的な魂の遍歴。美青年アンティノウスへの溺愛。皇帝みずから語る歴史論・文明論であり、詩であり、人生論である。澄んだ意識のフィルターを通したひとつの人生と帝国の歴史。