1993年発売
爆発性血液ペストをまぬがれたロワ・ダントンと「フランシス・ドレーク」の乗員たちは、惑星プリズン2で必死に生き延びようとしていた。この危地を脱出できるかどうかは、獅子人間グラドに化けている謎の敵の動向にかかっている。だが、にせグラドの真の計画は依然として判明していない。しかも、病気に対抗するため使った血漿共生体に拒絶反応を示す乗員が続出。絶望的な状況で戦いつづけるダントンたちの運命は…!?
まれに見る美貌で頭脳明晰、おまけに現将軍ご息女というまん姫。生来のやんちゃは、さる公卿に入輿したのちも収まらず、お目付の三太夫も音を上げる始末。ある難事件を見事解決したのをきっかけに、姫のもとにどっと持ち込まれる巷の怪事凶事。今日も今日とて、周囲の諌めにも耳かさず、自ら危地に飛び込んで、正義の剣振るう姫。痛快艶麗のお姫さま、いざ見参。
新社屋の美術館創設のため、孤高の日本画家名瀬光二の絵の入手を試みて失敗した山名啓司は、立ち寄った馴染みの店で、かつて同棲していた女・純子の描いた絵に似た絵を見て衝撃を受けた。画廊へ出かけた山名は、純子が亡くなったことをオーナーの藤崎美奈子から知らされる。やがて二人は深い仲になるが、ある日、内密に入手し、美術館を飾っている名瀬の絵が贋作だという手紙が山名の許に届く。長篇推理。
プロカメラマンを目指す友成勝人は戒厳令下の北京に単身のりこんだ。自由と民主化を求め天安門広場に集う学生たち。彼らの姿をカメラで追う友成に黄という青年が弟子入りを志願し、自分の祖父が日本人だと打ち明ける。八路軍に加わり抗日戦争を戦った祖父が苦渋に満ちた過去を語った翌日、天安門広場には戒厳軍戦車の前に立ちはだかる老人の姿があった…。(表題作)。中国への熱い思いを描く六篇。
中杉節子は同僚の上条美也子のマンションを訪ねた。美也子の恋人・野島類を呼んで本心を訊き出すためのパーティが開かれるのだ。しかし美也子の部屋で節子が見たものは、全裸で倒れている節子のフィアンセ・村上と美也子の姿だった。節子は村上の親友・橋本と事件の真相を探ろうとするが、橋本も絞殺されてしまう。手掛かりを掴もうと野島に近づく節子だが、いつしか野島の性に溺れ…。長篇官能ミステリー。
官能雑誌の編集者である森田にとって、アパート近くのカラオケスナックで知り合った吉井精造・涼子夫妻の間に、気になることが起こった。十歳以上も年下の妻が淡白なせいなのか、精力が強過ぎるという精造が、店に出入りするようになった若いOLの由美を口説き始めたのである。そんなある日、涼子から森田のもとへ由美との奇妙な関係を綴った原稿が送られてきたー。(表題作)他、十二篇を収録。
保守的な空気の中で、上品な生活を送るイギリス中流階級の人間たち、陽光眩しいイタリアの地で、生きる喜びを満喫する男たち-。二つの異なった価値観のぶつかりあいから生じる悲喜劇を、ユーモア溢れる筆致で描く。
三伸建設設計課一級建築士・田中浩一は、ある夜、中学高校が同窓で、今は東聖大学法医学教室の古屋一郎の訪問を受けた。「緊急に信用できる人間に会いたいのだ」と古屋は、緑色の百円ライターを机の上に置いた。その目の前のライターこそが、法医学者・古屋の研究成果であった。それは「原爆、水爆よりも恐しい科学兵器なのだ」という。その兵器とは。
幸福を追い求める結婚五年目の夫婦に襲いかかる危機。隣家の殺人事件、夫の蒸発、川で出会う不思議な男を求める不倫願望。次々に起こる奇怪な日常生活の中で一人もがく妻の心情を巧みに描く長編現代小説。
百億円以上の金が動くと思われる、外資系会社の買収計画を進めていた矢倉啓造の恋人が、何者かによって惨殺された。警察の捜査では、矢倉が容疑者とされた。罠にはめられたと知った矢倉は、警察の厳しい目をくぐり抜けながら真相を突きとめたが、真犯人たちはパリへ飛ぶ寸前だった。日本での復讐は不可能だと察知した矢倉は、単身パリへ向かった。復讐、追跡、騙し、新境地を拓く著者渾身の国際冒険小説。
1948年、ロサンゼルス。飛行機工場を馘になった黒人労働者イージー・ローリンズは、家のローンを返すため、どんな仕事でも引き受ける気でいた。とはいえ、自分が探偵の真似事をして人さがしをすることになろうとは、思ってもいなかった。さがす相手は、黒人のもぐり酒場に出入りする美貌の白人女ダフネ・モネ。なにやら厄介ごとの匂いがぷんぷんした。だが、仕事の選り好みをしている余裕はない。イージーは手はじめにジャズ関係者が集う非合法のナイトクラブ〈ジョンの店〉を訪れ、そこでダフネを知っている黒人女を見つけだした。ところが、ダフネの居場所を聞き出すまえにその女が無残な撲殺体となって発見されたことから、事件は思わぬ方向へ。アメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞の処女長篇賞をダブル受賞し、クリントン大統領からも絶賛された衝撃のデビュー作、ついに登場。