1994年1月発売
入れ代わる事もなく邪魔の入る事もなく、やっとふたりきりの甘い青春を楽しむ歩と龍彦。だから思い出すあの時、あの事。告白、ファーストキス、ファーストエッチ。同性だっていいじゃないか。いつまでもどこまでも一緒にいられたらいい。一緒にいられるだけでいい。ふたりの恋愛の行方はどうなるか。冬城蒼生が貴方に贈る、なんか変わったラヴストーリィ。ドッキリのアダルトバージョン。
居抜きで借りたマンションは、元デートクラブの事務所だった。その種の電話がかかってくるからだ。奈美はいたずら気分と男欲しさで、デート嬢を装い、森本と名乗る男とホテルへ。彼女はベッド上手な森本に溺れていく。そんな折、別れた男から「森本は悪質な証券マンだ」という忠告をうける。財産のない奈美になぜ森本は近づいたのか。愛欲の中で仕掛けた女の賭け。
遺伝子操作によって超人パワーを身につけ誕生した男・柔銃太郎。その力は彼がセックスの充実感を味わった後に、異常現象とともにさらに威力がハイアップされた。だが、彼の出生の秘密を握りその驚くべき超人力を怖れた悪の支配者は、銃太郎を抹殺すべく魔道士を送り込んだ。魔道士軍団と超人戦士の壮絶な対決。そして銃太郎の前に現れた不思議な美少女は。
SUDDEN(サドン)-「いきなり」「だしぬけ」、「おもいがけない」、ぴんと張りつめて、油断のならない。長編小説が200ページかかってやることを、たった1ページでしてのける、とびきり生きのいいショートショートのアンソロジー。ヘミングウェイからカーヴァー、ブラッドベリー、さらに本邦初訳の手練の佳品がぎっしり詰まった576ページ。
陸一心の本名は松本勝男。日本人戦争孤児である。日本人ゆえの苦難の日々を経て、彼はようやく日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」建設チームに加えられた。一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて開拓団の一員として満洲に渡り、妻子と生き別れになっていた…。
「タリー、あなたとはもう結婚したくないのよ」-。婚約者メリアの突然の心変わりに、ブローラ卿は愕然とした。彼女は、次期首相候補と目される若き政治家アーネスト・ダンクスが現れたことで、かれとブローラ卿とを天秤にかけたのだ。耐えがたい屈辱を感じながら、ドーヴァー街にある自分の事務所に立ち寄ったブローラ卿は、そこに泣き暮れる新米タイピイト、ジーンの姿を目にした。彼女もまた、故郷の婚約者に裏切られたのだという。先の大戦を特別奇襲隊の隊長として戦い抜いたブローラ卿の胸に、そのとき、ある作戦が炎となって燃え上がった。
婚約者に裏切られたものどうしが手を組んだ、大胆な奇襲作戦が開始された。ブローラ卿はジーンと出会った翌日に、二人の婚約を発表したのだ。それが恋人の心を取り戻したい一心のブローラ卿の策略なのだということを知りながら、ジーンもまた自分の人生の大きな変化に戸惑いと興奮をおぼえていた。しかし、いつしかジーンの心の中では何かが変わりはじめていたのだ…。舞台をスイス、サンモリッツに移して、さらに複雑に絡み合う数奇な愛の運命。
太平洋戦争さなか、起死回生をはかるべく投入された超ド級戦艦『凄王』はその威力をいかんなく発揮、米太平洋艦隊に壊滅的敗北を与え、マッカーサーを恐怖に陥れた。そして『凄王』に与えられた次なる特命は、敵の物資補給路を分断すべくパナマ運河を破壊することだった。しかし、さすがの無敵を誇る『凄王』も鉄壁の防御網には苦戦を予想された…。大日本帝国海軍の威信を賭け建造された巨大戦艦の戦いを迫力の筆致で描く書下ろし長篇海洋戦記シミュレーション。
からだが牛で顔丈人間の浅間しい化物〈件〉。生まれて三日にして死に、その間に人間の言葉で、未来の凶福を予言する。その〈件〉に生まれ変った私の根源的な孤独と不安を描く「件」ほか、鮮明、不可解な夢幻的世界を稀有の文章で描いて、漱石の『夢十夜』に勝るとも劣らない不朽の短篇小説集。