1994年10月発売
ジャン・エシュノーズ。’94年代も後半に差しかかろうとしている今、フランスでその存在が最も注目されている気鋭の作家である。’79年に作家デビュー、’83年にはメディシス賞を受賞。トゥーサン、ギベールらとともにフランス文学の次代を担う若手作家の一人として期待されてきたが、’92年発表の本書が本国フランスはおろか、ヨーロッパで30万部を超えるベストセラーとなり、彼は一気にフランス文学の最前線に躍り出た。それから2年、満を持しての日本デビューである。爆発事故の高速道路、大地震の街を抜けて謎の美女と男、そしてぼくは宇宙船に乗り込んだ。引力から解き放された三人は…。
ドイツ軍の英本土上陸作戦を完膚なきまでに打ち砕いた超ド級戦艦『凄王』。大日本帝国の威信をかけた彼らの次なる戦いは、V2号ミサイルの脅威にさらされる英国を防衛し、連合軍のノルマンディ上陸作戦を成功に導くことだ。だが『凄王』の活躍に激怒したヒトラーが、史上最強の敵-ハーケンクロイツ艦隊を送り込んできた。『凄王』に匹敵する超ド級戦艦で編成された大艦隊が襲いかかる。巨大戦艦同士の激突、史上最大の上陸作戦を描く、迫真の海洋戦記シミュレーション。
玄奘三蔵法師が天竺から持ち帰った真教は難解で、仏教は堕落し、世相は乱れた。時の高僧大顛、二代目孫悟空の石猿孫履真、猪八戒の忘れ形見の猪一戒、沙悟浄の弟子の沙弥の四人は、経の真解を求めてふたたび西天の旅へとおもむく。中国神怪冒険小説の醍醐味を十二分に伝える『西遊記』の痛快無類の続篇。
人はなぜ生きてるのかなんて今まであまり考えたこともなかったけど…あたしが出した結論はこうです守…人生って、結局、人を好きになることじゃないかな。だとしたら、あたしは死んでるようなもんですだってあたしは…好きになってはいけない人を愛してしまったんだから。
シカゴのホリー・ネーム大聖堂で懴悔をしていた若い女性が、突然四発の銃弾を浴びた。シカゴ市警の警部補ノラ・カラムはさっそく捜査を開始したが、犯行の動機がまったく見当たらない。数日後、命を狙われていると警察に訴えていたロシア人移民が殺される。凶器は、大聖堂で使われたのと同じロシア製リヴォルバーだった。同一犯の仕業か。手がかりをたどるノラの前に、やがて恐るべき復讐の事実が浮かびあがる。大都市シカゴを舞台に片脚の女刑事が活躍するノラ・カラム・シリーズ第一弾。
世界中で大ロングランを続ける、94年最高の話題作。恋の経験はまあまあだけど、なかなか結婚できないハンサムなイギリス青年チャールズ。彼は友達の結婚式で知り合ったアメリカ娘キャリーと、軽い気持ちで一夜を過ごす。だが彼女が別の男性と結婚すると聞いたとき、チャールズははじめて気がついた。“僕はキャリーを愛してる”。さてさてふたりの恋の顛末は。イギリス発のおしゃれで小粋なラヴ・ストーリー。
神戸の名門校マリア女子学園で、若い修道女が不審な死をとげた。駆けつけた親友洋子は、一見平和そうな女の園の奥深くに、邪悪な意志と策謀を知る。学園のペットの無惨な死、女学生たちの不可解な行動、更に続く修道女の不気味な死…。サントリーミステリー大賞読者賞の気鋭女流による、傑作推理長編。
長い間夢に見た北の都ケベック。アンジェリクと夫ペイラック伯は、ついにこのフランス領の地に到着した。奪われた過去の地位と名誉のすべてを取り戻すための伯爵の危険な賭けでもあった。盛大な歓迎、思いがけない人々との再会。だが、姿を隠した敵は、ふたりの新しい生活をじわじわと脅す。
雪と氷にすっかり閉ざされたケベックの長い冬。宗教行事と華やかな催しの日々のなかで、社交界の中心人物となったアンジェリクとペイラック伯爵をめぐって、嫉妬や誘惑が渦巻くが、執拗な敵からの挑戦もつづいた。そして、ある日氷原へ遠出したアンジェリクの背後に狂気の暗殺者が忍び寄る。
ゲベックにようやく春が訪れると共にアンジェリクの身辺にも矢つぎ早に事件が起こる。謎の神父が放った密使との闘い、夫ジョフレへのひそかな疑い、市の周辺まで迫ったイロコイ族の大襲撃とその和平交渉。やがて、本国から最初の船が到着し、待望のルイ一四世の親書が届けられたのだが…。
会社は誰のものか。30年近くトップの座に君臨してきた会長の妄執と横暴に、ついに怒りが爆発。叛旗を翻した管理職たちは、社内改革に綿密な作戦計画をたてる。一方、ワンマン経営者は人事権を乱用して、切りくずしにかかる。不気味な沈黙の日が続くが、覚悟の対決は目前に迫る。
秩父郊外の鬼島家。その屋敷跡で右手に首をぶら下げた死体が発見された。調査した結果、なんと胴体と首は別人だった。数日後、新聞社に「怨みの首一つ一億円也」の怪文と女性の髪が首屋の名前で送られてきた。この一帯を牛耳る政治家の下にも同じものが…。犯人の狙いは何か。猟奇殺人の謎を巡る推理小説。
この奇妙な青春のストーリーは、わたしが貧しく希望のない町をオンボロ車に乗って逃げ出したことから始まった。オクラホマのチェロキー・ネーションを通過中、インディアンの女が近づいてきて、頼みもしないのに車の座席に小さな子供を置いていった。わたしの体にしがみつこうとするばかりで、声も出せず、体じゅうに生々しいあざがあった。しかもその子は、女の子だったのだ。突然ころがりこんだインディアンの子供を連れたまま、わたしはアリゾナのとある町にたどりつく。そこにはまた、乳呑児をかかえ夫に捨てられた女や、暗い過去をまとうグアテマラからの亡明者夫妻がいた。それぞれの痛みや悲しみにとまどい、途方に暮れながらも、わたしはその町で生活の糧を得て、傷だらけの子供の閉ざされた心に光をあてようと試みるが…やがて、子供の心にさらに傷を負わせる事件が起こった。へらず口を叩きつつひたむきに生きる若い女主人公と、いたいけなインディアンの女の子との心の交感を描く感動作。