1994年1月発売
恐るべき第三の麻薬シンジケート出現か。世界一の金持ち国日本進出を企てる悪の野望をこれまで数次にわたって竜崎軍団を筆頭とする強力な日本警察はそのつど粉砕してきた。だが、ここに新たな勢力として中東数カ国にまたがる“黄金の三日月地帯”が出現した。湾岸戦争以後、職にあぶれた戦争プロの傭兵が送り込まれてくるのだ。災いは根から絶たねばならない。日本海に国籍不明の船が盛んに出没し、怪しい日本の漁船と接触しているとの情報が軍団にもたらされた。武器を持たない水上警察や海上保安庁の巡視船では手に負える相手ではない。いまこそ軍団の立ち上がるべきときがきた。陸では岩弾刑事部隊が、そして海では三四郎の快速魚雷艇が悪の根絶に猛進する。
女性に、友人に、優しくすればするほど抜きさしならない深みにはまりこんでゆく。しかしどうすることもできない…。男と女の心のジレンマを、名手がユーモラスな筆致で描き出す傑作長編小説。
郊外のニュータウンの新築の家、その一階と二階に住む二組の若い夫婦の間にくりひろげられるささやかなドラマが、しだいに悲劇の種をはらんでいく…。気鋭の書き下ろしホーム・サスペンス。
孤独な空中散歩者が空から落下した、としか思えない墜落死体。163人の観客の前で、毒殺された俳優…。気のいい恋人が、ひょっとして日曜の切り裂き魔か?不可能状況下の事件の数々を、難なく解決する奇妙な青年。ユーモアとペーソスと、そして愛に溢れた連作推理の傑作。
世界的に有名な新進作曲家・小早川慎介が兵庫県六甲の自宅で死体で発見された。駆けつけた捜査員はすぐに青酸による死であることを察知した。捜査が進むにつれて、被害者と大学が同窓で同じ神戸に住む野沢夫妻の存在が事件に重要な関係を持つこと、被害者が遺した楽譜の中に暗号が隠されていること、またこの事件に関連があると思われる二つの殺人事件が存在したことが判明した。期待の新進気鋭が放つ書き下ろし長編傑作ミステリー。
「僕を助けて…、僕はずっとお養父さんに抱かれてるんだ…。」少年の花のような唇から思いがけない言葉がほとばしった-。唐津の窯元で出会い、一瞬のうちに激しい恋に落ちた二人-。若き陶工、浩介と香道家元の息子、彩人。二人の一途な愛はやがて、嵐をはらんだ逃避行という道を選ばせた…。
銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。
ここロベリア・フォールズではアーチェリーが盛ん。その朝、秘書代行サービス業を営むディタニーも矢筒を背負って散歩に出かけたのだがー、突如一本の矢が風を切り、目の前の木に深々と突き刺さった。発射されたあたりに行ってみると、町の水道課長が矢で射殺されている。ディタニーは、ぼやきながらも素人探偵を始めるが…。マクラウドが別名義で贈る奇抜でにぎやかな新シリーズ。
あれから一年が過ぎた。マクレアリとは別居したまま。彼の記憶は大部分が回復したとはいえ、自分と過ごした数年間についてはまだ曖昧だ。その間の記憶が完全にもどれば、ふたりの仲はまた元どおりになる。そう信じていたときもあった。でも、男と女はそんな単純なものじゃない。それがいま、クィンには痛いほどわかっていた。もう、わたしたちは終わり…。ある日、友人夫婦からふたりにカヌー旅行の誘いがかかった。仲をとりもとうという気づかいらしい。しぶしぶ誘いを受けたクィンだったが、この旅が狂気に満ちた事件の幕開けになろうとは、知る由もなかった。シリーズ第五弾。
無法者たちのパラダイス、フリーゾーンへようこそ。ここではドラッグは使い放題、税金はなし、他人に迷惑さえかけなければ何をやってもかまわない。ところが、お調子者のハッカーがタキオン発生機を作ってしまったために時空が大混乱。巨大カタツムリ、未来のロボット、ナチの突撃隊などが入り乱れ、ただでさえハチャメチャなこの街を史上最大最悪の大戦動に巻き込んでしまう…。ファン必読、大爆笑の痛快SFコメディ。
3000年以上を生きてきたハンノはさまざまな偽名を駆使して世界的な企業を経営し、その情報網を使って各地に隠れひそむ不老不死の仲間を集めようとしていた。さらには不老不死の秘密を解明するために研究所を設立する。だが、ハンノの正体に不審をいだいたアメリカの上院議員モリアーティが、ハンノの身元調査を始めていた。新たなる世界を探し求める不老不死の人々の波乱にみちた冒険を、巨匠が雄大に描く傑作、堂々完結。
ケイス国王デュレクの手に落ちたジェイレンは、火刑に処せられる瀬戸ぎわでアサーヤに救いだされた。ところが、混乱のなかで今度はアサーヤが捕らえられ、いずことも知れぬところへ連れ去られて幽閉されてしまったー。それも、密封の呪文で魔力を封じられたまま。一刻も早くアサーヤを捜しだして呪文を解かねば、呪文の影響で彼女は廃人になってしまう。ジェイレンはアサーヤ捜索に全力を注ぐが…。シリーズ第3弾。
地中海で連合軍の反撃が開始された1943年。英国海軍特殊作戦部隊は枢軸国に対する進攻のつねに先鋒にあった。クレスピン少佐のコルベット艦シスル号もまた、ユーゴスラビアのパルチザン支援のためアドリア海に派遣される。この地のドイツ軍は巨艦を擁し、人民を支配していた。クレスピンは、巨艦の出港中に根拠地を攻撃、敵を行動不能に陥れようとするが…。人知れず影の任務に従事する男たちの苦闘を描く海洋冒険小説。
もう何年もまえのことだ。警察を辞め、妻子も捨てて、酒場に入りびたっていた私は、飲み友だちの依頼を引き受けることになった。妻殺しの嫌疑をかけられているので、真犯人を探し出してくれというのだが…。アル中探偵マット・スカダーの回想を通して、大都会の感傷を謳い上げたアメリカ探偵作家クラブ賞受賞の表題作をはじめ、当代随一のストーリーテラーが絶妙な筆さばきでつづる逸品20篇を収録した待望の傑作集第三弾。
困難な医療過誤裁判に勝利をおさめた弁護士のギャルヴィンは、その手腕を買われてボストンの一流法律事務所のパートナーになり、多忙な毎日を送っていた。そんなある日、彼のもとに一人の女性弁護士ティナが訪れてきた。動脈硬化や心臓病の特効薬ライオシンの副作用として先天異常の子供が生まれることが判明し、訴訟を起こしたいという。だが、ライオシンを販売しているアメリカのガーメット社と、製造元のイギリスの会社は共に巨大で、手に負えないので代わって起訴してほしいというのだ。ギャルヴィンはいったんは断わるが、薬害にあったという子供を見て心を動かされ、その依頼を引き受けた。そして法律事務所の幹部たちにこの件を語るが、意外にも却下されてしまう。ガーメット社は事務所の顧客だったのだ。ティナは一人で訴訟を起こした。そしてギャルヴィンは恩師の老弁護士モウ・カッツに、彼女を助けてもらえるよう頼んだ。だが、運命の皮肉か、ギャルヴィンの事務所がガーメット社の弁護をすることになってしまった。心ならずも恩師と対決する羽目に陥ったギャルヴィン。しかも、やがて訴訟の関係者が相次いで不審な死を遂げ、事態は奇怪な様相を呈してきた…。迫力と感動の第一級の法廷サスペンス。