1994年4月発売
盛夏を感じる七月下旬、熊谷の荒川河川敷きで溺死体が発見。県警の捜査で、上流にある八高線鉄橋付近で列車から転落した可能性が推測された。その数日後、高崎市内でマンション住人が花火大会を観ていて墜落の通報があり、事故死と確認されたが、何故かその部屋は密室状態であった。何の関連も見られない二つの事故と思われた出来事が、調査の結果、保険金殺人事件と通底する事を突き止めた捜査陣だったが…。
都心へ向かう私鉄沿線の駅を降り、繁華街を抜け、ゆるやかな丘陵を十分ほど歩いて行くと、甘い花の香りに包まれて、その白いマンションはあった。都会近郊のどこにでもあるようなこの集合住宅に住む人々の生活を、もしあなたがなにかの拍子で垣間見たとしたら…。人間の深層に圧し隠された願望そして欲望の扉が解き放たれたとき、そこに見出すものは、存在したかもしれない、あなたのもう一つの別の人生…。
明治29年、帝都。人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈し、さらには闇御前、火炎廃人と呼ばれる人殺しが徘徊するもうひとつの街・東京。夜闇に繰り広げられる企みには、鷹司公爵家の次期当主を巡るお家駆動の影も見え隠れして…。人の心に巣くう闇を怪しく艶しく描く、大型女流による伝奇推理小説。
その夏、みのりの学校では不思議なことが次々とおきた。「5月17日如月山でエンドウさんという子が宇宙人に連れていかれる」という噂が爆発的に広まり、金平糖を使った秘かなおまじないが流行った。みのり達は噂の源を突き止めようと調査を始めるが、5月17日、噂は現実となり、さらにみのり達の間には第二の噂が流れる-。東北のある町を舞台に、高校生の姿をいきいきと描いた、スティーヴン・キングばりの長編モダンホラー。
時は現代、英国人女性ドン・キホーテ(66歳)は堕胎により発狂、喋る犬セント・シメオンをお供に果敢に世界へと出撃する。自伝、幻覚、歴史、ルポ、テクストの引用が網の目のように入り組み、お得意の〈剽窃〉がいかんなく発揮されている。マゾヒスティックな愛のなかに性の神話の復権を語った長編小説。
日豪講和条約により米豪遮断に成功した日本軍は、連合艦隊を機能別に独立再編。そして、次なる目標、ハワイ攻略に向けて、連合艦隊司令部、大本営戦略局、情報局と共同で作戦の詰めに入った。昭和18年6月12日、ハワイ攻略作戦は発動され、呉、横須賀、佐世保、大湊、トラックから各艦隊は出港、総力をあげてハワイをめざす。一方、勢ぞろいしたアメリカ新太平洋艦隊も、戦局を一気に挽回すべく真珠湾をあとにする。ミッドウェー、ジョンストン、ハワイ、パナマ、カリブ海…。戦火はいよいよアメリカ本土に広がる。シリーズ完結。
サンフランシスコ「友人たちとのばか騒ぎ」とビッグ・サー「孤独な瞑想」の日々。人気作家に祭り上げられた「ぼく」の西海岸への旅、旧友たちとの交流を中心に描く、その後の『路上』として位置付けられる代表作のひとつ。
浅見光彦は、ひょんなことから母・雪江の三州への旅のお供を命じられた。道中「殉国の七士の墓」に立ち寄ったふたりは、おかしなことをいう愛国老人に出会う。ところが、翌朝、その老人の死体が蒲郡の海岸で発見される。死亡状況からすると、何者かに断崖から突き落とされたらしい。が、そのあたりには人が転落しそうな場所はない。三河湾をはさんだ伊良湖岬から死体が流れ着いたのだろうか。警察から嫌疑をかけられた浅見母子は事件の解決に全力を注ぐが…。長編旅情ミステリー。
ピーター・ウィムジイ卿の兄ジェラルドが殺人容疑で逮捕された。しかも、被害者は妹メアリの婚約者だという。お家の大事にピーター卿は悲劇の舞台へと駆けつけたが、待っていたのは、家族の証言すら信じることができない雲を掴むような事件の状況だった…!兄の無実を証明すべく東奔西走するピーター卿の名推理と、思いがけない冒険の数々。活気に満ちた物語が展開する第二長編。
地上の国エステリアから、遥か昔に分かたれたという天空の国イース。伝説は本当だった。イースは実在したのだ。しかしそこは魔物の脅威にさらされていた。神殿の奥深くにひそむ魔帝ダームが、イースとエステリアの両方を手に入れんとしていたのだ。イースに昇り着いた紅い髪の勇者アドルは、魔帝を倒すため魔法の力を身に付けて闘いに挑む。興奮のイース2、待望のノベライズ化。
スーパーコンピュータがイメージ処理するネットワークの奥深く、システムを設計した“教授”が眠っている。彼を覚醒させるべく、コンタクトステージへとアクセスする美緒たちイメージ・オペレーター。しかし彼女たちを待ち受けていたのは、悪意に満ちた罠であった。自らを毎日のようにネットワーク空間に遊ばせる、水城雄が描き出した電脳小説の決定版。
国際企業「浅田電気」で生じた「日本式経営」の軋み。それは、将来を嘱望される二人の管理職の相次ぐ変死が発端だった。急遽、筆頭専務に抜擢された吉本は、二人の死に会社上層部の異変を感じるが、今度は副社長の橋爪が…。会社の危機に直面し、「人事の神様」の異名をとる創業社長浅田が、断腸の思いで決断した「最終人事」とは?企業中枢部に働く人事の力学を通してカイシャを問う。