1994年発売
これまであまり脚光をあびなかった、しかし実際は、忍者のように大きな活躍をした日本海軍の潜水艦隊。日本軍の上層部が、その威力と有用性にもっと早期に気づいていたら、日本の勝利もありえたかも知れない…。
アメリカまで来ても、やっぱりヨメなわけ。彼を愛してる、それだけで万事OKのはずだったのに、このしがらみときたら…。日本の元気娘マドコが、「自由」の国アメリカで出合った思いがけない出来事を痛快に描いた表題作ほか、第10回「海燕」新人文学賞受賞作「ヨモギ・アイス」収録。野中柊デビュー作品集。
サンドラの場合、19歳。美しく、憐れだった。悲惨な子ども時代。体を売るのが商売。そして夜の小路で殺された。わたしは、キャット・マーサラ、TVのリポータ。おしゃべりなオウムとシカゴで暮らしている。チャンネル3から依頼されたテーマは、売春婦。女性裁判所でサンドラと知り合い、彼女たちのリポートをするうちに、犯人を追跡する羽目に。
90年代の“青春のバイブル”ここに誕生。家庭崩壊、性的虐待、ドラッグ、暴力…様々な問題を抱える現代アメリカ社会で、ハイスクールのバスケットボール・チームを舞台に繰り広げられる感動の物語。
サムとディーニー。この名前をあなたは永遠に忘れない。あの2人はまったく手に負えない奴らだ-数々の困難を乗り越え、チームを栄光へと導く“聖人”サムと“ミュータント”ディーニーだが…意外な展開、圧倒的な迫力で胸を熱くさせる’90年代、待望の“青春のバイブル”。
赤坂絢子-ヒロイン「マナコ」を演じる女優が作者・寺脇滋有の目を惹いた。稽古から上演へと「マナコ」を介して、二人の関係は急速に深く濃密になっていく。一途に燃え盛る絢子の恋慕。狂おしい歓びと悔いの暗いうねりに翻弄される滋有。悲劇への予兆をはらんで二人の舞台は楽日へと突き進む。
生涯不婚。職をもたず、酒も呑まない。-その男。だが、森の奥に棲む動物の匂いがする。父親の親友であり母親とも微妙な関係にあったその男の、軽やかにも、深い断念をつらぬく生き方を見事に浮び上がらせた表題作ほか2編を収録。
中国春秋時代の大国晋の名君重耳に仕えた趙衰の子趙盾は、父同様晋の宰相となるが、自らが王に推戴した夷皐と対立せざるを得なくなる。王とは何か臣とは何か、義とは何か信とは何か。宰相として国を支え続け、歴史とかかわってゆく趙一族の思想と盛衰を、透徹した史眼と清冽な筆致で描いた長篇歴史ロマン。
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。カンボジアの戦場への旅を描く「迷い旅」を併録。
冬も間近いセント・ローレンス河を溯って、ペイラック伯爵の率いる船団はケベックへの旅を続ける。かつて二人を追放した祖国、フランスの領土ケベック。アンジェリクの不吉な予感の通り、敵は霧深い峡谷に、恐ろしい死の罠を用意していた。夫を救うため、彼女は敢然と敵に立ち向かうが…。
船団が寄港したフランス領の入植地ターダサクで、アンジェリクの許へ一通の手紙が届けられた。「忘れることのできない、あなたのエメラルドの目…」熱い思慕の情をつづったその恋文の主は彼女と夫ペイラック伯爵の運命を握るルイ十四世の特使であり、過去の世界から現れた意外な人物だった。