1994年発売
至上の愛が時の壁を越えたとき、ふたりが迎えるのは、幸せなゴールか悲しい結末か。ここに、二通りの実験結果をご報告する。そのうちの一つは、もはや「実験」とはいえない、決死の非合法時間旅行。もう一つは、計画的な実験が思わぬ事態を引き起こす。いまや伝説として語り継がれる、感動の涙と危機一髪のスリルに満ちた愛。その軌跡を、ぜひたどっていただきたい。そして、第三の伝説を創るのは、あなたの愛。
光と闇、現世と幻想、冥府と天上の垣をかるがると越え、自在に異界へ踏み込みながら、淡い郷愁を漂わせる唯一無比の作品世界-本巻では、幼・少年のなかにひそむ無垢とその怖さをモチーフとしたものを集録。
夫の恋人と称する若いモデルに対して、冷静にふるまい夫婦の愛情の危機を乗り越える年上の妻の心情「冬の梅」。戦争のさなか、隣家の若い人妻との秘められた青年時代の思いを回想する「十九歳」。やがてこの人生を去っていく老夫婦にとって、最後の秋のヨーロッパ旅行を私小説に仕上げた「ルーアンの木蔭」「ヒースの丘」など、人生の機微を淡々と綴った5編を収める短編遺作集。
ぼくはネス。家の裏山に隕石が落ちるまでは、赤い野球帽をかぶるふつうの野球少年だった。でもあの夜から、ぼくと仲間たちのとんでもない冒険が始まった。超能力を使う金髪の美少女ポーラ。メカに強い秀才ジェフ。そして神秘の国の王子プー。地球の未来を救うため、勇気と知恵と愛で巨大な敵に立ち向かう。糸井重里制作総指揮、帰ってきた名作RPG感動巨編オリジナル小説化。
徳川の威光あまねき江戸の世に、天下の御用提灯も照らし出せない闇がある。泰平の盛りを誇る街並みに、夜の帳が降りるころ、人の心に棲む闇が、おもむろに目覚め蠢き出す。鼠小僧、天一坊、石川五右衛門ー憑かれたように騙り、盗み、殺す者たち、密やかに繰り広げられるうたかたの宴。その心の闇ゆえに、「悪党」と呼ばれた人間たちの人生の明暗を描く、アンソロジー第6巻。
ロンドンの会計士パトリックは、ボルドーのワイン工場不正経理を追及中、勤務する多国籍経理会社から一方的に解雇された。この不正に麻薬が絡んでいると知った彼は単身マドリードの密売ルートに潜入する。次第に浮かびあがってきたコロンビアの麻薬王は、少年の日、ゲルニカの惨劇を体験したバスク人だった…。世界各地を舞台に、迫真の描写で展開する、国際麻薬サスペンス巨篇。
巡り合いとすれ違いをくり返す日米の恋人同士の話「雨に打たれて」、日本文化の虜になり、吉祥寺に40年も暮す“ガイジン”の話「吉祥寺綺譚」、伝説的なビッグスターへのインタビューを任された新米雑誌記者の緊張と気後れを扱った「有紀子のためのブルース」など、爽やかでチャーミングな短編13編を収録する。大都市TOKYOを舞台に、生粋のニューヨーカーが描く大人の愛の物語。
なぜ父は猟銃で自らの頭を吹き飛ばしたのか。非業の死の背後に潜んでいたのはロンドンの“成長産業”金融界と麻薬ルートを牛耳る二人のマフィアの影だった。闇の人脈に復讐を誓った「わたし」は犯罪のスペシャリストを集め「報復チーム」を組織し、マフィアの重鎮を追いつめる罠を画策するのだが…。復讐サスペンスと金融小説双方の醍醐味を見事に盛りこんだ新進気鋭のデビュー作品。
信吾は上半身を起こし、白いパンティをクルリと剥いだ。正子の女陰はしっかりと目覚め、指先で開いた左右の肉の隙間から透明なあぶくがプクッ、プクッとせり上がっている。信吾は両手で内ももを大きく開いた。「あーっ、あっ、あーん」女陰の奥の内ひだから湧き起こる泡の量が、さらに増す。信吾は生唾を呑み込み、聳り立った分身をその泡の源に突き立てた。「週刊大衆」好評連載、新鋭の長編官能“股間小説”第三弾。話題沸騰。
小さな町の少年からローカル・ヒーローへ。スーパースターになる前の、エルヴィスがもっともエルヴィスらしかった日々を、ディテール豊かに描き出した1953年から55年へのアメリカの物語が鮮やかにここにある。
疾走する豪華客船の中、僕たちは激しい恋に落ちた。彼女は24歳の有名女優、僕は35歳のテレビドキュメンタリー作家。僕たちが結婚を誓い合った夜、女優の部屋でもう一人の男が自ら命を絶った。突然終わった生命、無惨に引き裂かれた恋。今亡き人と過ぎ去った青春に捧げるレクイエム。くり返す生と死のテーマが息苦しい。
孔明VS秀吉VSナポレオン、三ツ巴の決戦。幻のシミュレーション戦記レベルの傑作。日本・中国・ヨーロッパ古今の英雄・豪傑が一堂に会してバトルを繰り広げる、全世界三国志の幕が今、切って落とされた。
荊州奪回を狙う周瑜はひとつの策を孫権に進言した。夫人を亡くしたばかりの劉備に孫権の妹を娶せようというのだ。もちろんそれは口実で、江東に招き寄せた劉備を亡きものにしようというのだ。一方、劉備は両者の関係修復になるのならとこれを快諾する。しかし、軍師・諸葛亮はその策略に気づいていた。彼は、劉備の護衛とすべく一番信頼できる武将を呼んだ。長坂坡の英雄・趙雲である。諸葛亮から受け取ったのは三つの絹の袋。そのなかに、軍師の秘策が入っているという。趙雲はそれと自分の腕だけを頼りに、君主劉備とともに敵地に赴く。はたして、周瑜の策謀から劉備を護ることができるのか。立ちふさがる敵の前で、趙雲の剣がうなる。大人気の三国志をモチーフに、新たなるキャラクターの生きざまを描く「三国志武将列伝」。趙雲シリーズ第3弾。