1995年4月30日発売
バブル経済の崩壊で日本を逃げたひとりの男。彼はマニラのスラムにフィリピン女性と隠れ住む。しかし、望郷の念はつのり、別人になりすまして日本に戻る。日本で小さな旅行代理店を経営する彼のもとには、アジアの様々な国の人間が集まってくる。したたかな彼らに振り回される。二つの国際都市を舞台に、ハードボイルド、ユーモア取り混ぜ、アクションが炸裂する。
彼女には、一度その人柄に触れたら絶対忘れられなくなりそうな気品が備わっていた-青年は、偶然に知り合った女性に突然の恋心を抱いてしまった…。彼女のすべてを知りたいという思いから、自分にしか見えない世界に入りこんでしまう-表題作『虹物語』をはじめ、『いつか浦島』、『きみにかぐや姫』、『身ぐるみシンデレラ』、『プレーオフ』の5作品を収録。
昭和の激動の時代を奔放に駆けぬけたひとりの女の波瀾の生涯-。明治四十二年、東京中野に大工の棟梁の三女として生まれた銀子は、望まれて大学出の西山源蔵に嫁ぐ。西山家は土地の政治家の家系で、義兄の卓馬は気鋭の力士双葉山の後援会長も務めている。夫婦が台湾に渡ってすぐ日中戦争が始まるが、源蔵は出征して十日目に上海で戦死、あとにひとり、幼児を抱えた銀子が残される…。著者が母に捧げるレクイエム。
ヴェトナム戦争に陸軍の看護婦としておもむき、第21後送病院で働くメアリー・ダミーコ中尉は、戦争の悲惨な実態に直面した。母親や恋人の名を呼ぶ、重傷の兵士たち。傷のため、手や足や顔をなくした兵士。顔はあっても胸から下がなくなっている兵士。そして数えきれない死体。やがてメアリーは奇妙な夢を見るようになった。次の日に見る兵士の傷を前もって夢に見るのだ。しかも、その兵士の死まで夢で予知するのだが…。
不思議な能力を使えるようになったのはダミーコ中尉だけではなかった。危地に陥ると、すべてが青く染まり時間がゆっくりと流れはじめ、敵の銃弾にあたらずにすんでしまうバルサム中尉。軍用犬とテレパシーで交信できるクーパー伍長。他人の心を読めるケリー大尉ーこうした「才能者」を集めて、ヴェトナム戦争のさなか秘密裡に行なわれた「オランウータン作戦」とは…極限状態におかれた兵士たちを描く話題の戦争小説。
フレッド・フィッチは詐欺師に騙されてばかりいる不運な男。そんな彼に、顔も知らない叔父の遺産がころがり込んできた。だが叔父は詐欺の名人で、誰かに殺されたことがわかった。やがて怪しげな人々が現われ、彼は命まで狙われるはめに、このとんでもない事態をいったいどうるのか。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した酒落た笑いのミステリ・
謎の知性体によって建造された巨大宇宙船ラーマ3が、火星軌道上で2000人の人類を収容するやただちに太陽系を離れ、恒星タウ・セティめざして旅立ってからすでに3年の歳月がながれていた。このあいだに、ニュー・エデンと呼ばれるようになったラーマ内部の人類コロニーでは、独裁者ナカムラが権力を掌握しすべての反対派を容赦なく弾圧した。ラーマ2探査隊の時からのメンバーであったニコルは反逆罪で投獄され、一方彼女の夫リチャードはニュー・エデンを脱出、やがて隣りあった封鎖居住区に住む共生異星種族と接触し、その助けをかりてニューヨークへと逃れた。ニコルの処刑の日が刻々と近づくなか、リチャードは2体の小ロボットをニュー・エデンに潜入させ、必死のニコル救出作戦を開始したが…。
無事にニュー・エデン脱出に成功したニコルとリチャードは、つぎに友人たちと子供たちの救出を計画し、見事成功させた。だが、独裁者ナカムラは追及の手をやすめず、ついにニューヨークにまで捜索隊を派遣してきた。からくもニューヨークを離れることができたニコルたち一行は、やがて、これまで敵対的と考えられてきた異星種族クモダコの驚異の都市-エメラルドの都に迎え入れられた。驚嘆すべき生物工学を発展させてきたクモダコたち…だが、ナカムラに率いられた人類戦闘部隊は、シリンダー海をこえてクモダコの領土に侵入、エメラルドの都へと近づきつつあった。
新型麻薬の流通ルートを追い、女刑事レノアは捜査を開始した。そんな折り、郵便局の使用されていない私書箱9号宛てに不気味な小包が届けられるが…。独創性に満ちた衝撃の長篇。第1回ミステリアス・プレス・コンテスト最優秀作。
十七歳の目黒佐和子は、ラブホテルに連れ込まれ、ほとんど強姦のように処女を奪われた。相手はヤクザの三下だった。ところが、佐和子の父親も極道の親分で、トラブル続きの家に嫌気がさし、建築設計事務所に就職した。佐和子は、そこの社長に女開眼をされるが、自ずと備っている魔性的な言動で、逆に社長を翻弄する。乗りかえた男・鷲尾は、パチンコ店やラブホテルを経営する金持で、佐和子は事業欲に目覚める。ホテルのオーナーへの夢を持ち、佐和子は鷲尾に献身的な愛を捧げるが、彼にはもうひとつの顔があった…。
息子の嫁は背徳の香り。抑えきれない淫らな思いに下半身は猛り勃つ。誘うがごとく蠢く若妻の、熟れかけた秘唇に魅入られた男は、理性をかなぐり捨て、押し挿った。女もまた夫では味わえない背徳の歓びにわななく淫らな自分に気づく。そうしてふたりで堕ちる快楽地獄…。