1995年5月発売
他人の心を読む超能力を植え込まれたベン。彼は義父のシンクレアが大金を横領し、前KGB議長オルロフと極秘に接触していたこと、そして地球を救うため「賢者たち」が企んでいるある計画を知らされる。だがその裏には恐るべき野望が隠されていたー。最終戦争へ向かう人類の危機を克明に描く大ドラマ。
CIA長官ハリソン・シンクレアが交通事故をよそおって殺された。元CIAのベン・エリソンはその一人娘モリーと結婚、いまは辣腕の弁護士となっているが、ある日上司から見知らぬ男を紹介され、数々の試練の後極秘の任務を言い渡される。それは世界を震撼させた大陰謀に係わる、危険極まる作戦だった。
極寒の惑星「氷瀑」に育ったマロリーは、正式にパイロットに任命されるやいなや“エンティティ”と呼ばれる宇宙のバイオ=コンピュータとの接触に成功した。その結果、人類を救う鍵“古エッダの秘密”は最古のDNAにしるされていると判明。マロリーは、ネアンデルタール人のDNAを自らの遺伝子に組みこんだアラロイ人を求めて新たな探索行へ旅立つが。生命の究極の謎を追うマロリーの活躍を描く傑作長篇。
太陽系が5分間の未来に移行したローリン・デイから3年、太陽系帝国の植民世界には不穏な空気が満ちていたー惑星プレクールの総統制官エシボン・ヘリヘットがローダンにかわって大執政官の地位につき、帝国の最高権力を奪取すべく画策をはじめたのだ。さらにヘリヘットに加担するティーパ・リオルダンによりアトランが誘拐されるにいたって、ついにローダンは、みずから太陽系艦隊5万隻を率いプレクールに赴くが…。
きょうはアプロの666歳の誕生日。ラテルはいやな予感がした。あんのじょうチーフからアプロともども苦情処理係勤務を命じられた。「しっかり矢面に立って、海賊課を守れ」とチーフはいう。そんなことをしたら体じゅう穴だらけだ。ところが苦情映話を受信しはじめたディスプレイの上に、時を超えたラテルの叔父が現われた。ラテルの家族の宇宙キャラバンを襲撃した真犯人を捜してほしいというのだが…人気シリーズ第5弾。
1917年4月、ロシア革明の動乱下、幽閉された元皇帝ニコライ二世一家を救出すべく、日英共同の秘密作戦が立案された。英国情報部は臨時政府との交渉役に作家サマセット・モームを派遣。一方、日本陸軍は、救出隊隊長にロシア語に堪能なはみだし中尉志摩薩之介を任命。中尉と不良兵卒ばかりからなる“陸軍懲治隊”の選抜兵7名の決死隊は、極寒のシベリアへと潜入した。歴史冒険小説の雄、典厩五郎の代表作、加筆決定版。
レーニンの率いるボルシェビキが政権を奪取し、内戦状態にあるロシア。志摩中尉率いる救出隊は、皇帝一家が幽閉されているトボリスクにようやく辿りつく。同じ頃、怪僧ラスプーチンが秘匿したというロマノフ王朝の厖大な財宝を狙う元秘密警察のイワノフも、手がかりを追って同地へ。皇帝救出は成るか。秘宝は誰の手に。皇女マリーヤと志摩中尉のロマンスと必死の脱出行。多彩な人物が描き出す波瀾万丈の歴史冒険ロマン。
鳥羽崇、33歳。光学機械の輸出入と装弾機材や機器の輸入会社を独力で築き上げた。秋川渓谷の谷底から鳥羽の両親の死体が発見された。警察は事故死を主張するが、2人の体には不自然な傷があり、父の会社や父個人の動産不動産は、新東邦エンタープライズのものになった。そして今、鳥羽自身が襲われ、妻の雅子が殺されたのだ。復讐の鬼と化した鳥羽は、巨大な組織に凄絶な戦いを挑む。傑作長篇。
首都圏のベッドタウンとして都市化が進む滝川市。人口の増加とともに犯罪も増えた。この街の治安を守るのが滝川署である。「輪さん」こと輪王寺巡査部長は、署内、管内に知らぬものはない生き字引的存在だ。近隣では自動販売機荒しが多発している。手掛かりのない中、今度は身元不明の女性の他殺死体が発見された。自分の足で回るーこれが刑事の仕事よ。輪王寺の聞き込みが始まった。捜査ミステリー傑作。
未通女に魔性、女郎に真心、妬心剥ぐれば夜叉が出る。愛しさ憎さは背と腹で、邪恋のはての無理心中。汗か涙か鳴咽にむせび、躍る白磁の脛の影。色の外道も胸かきむしり、貞女の胸裡に不貞あり。銭でつるんだ男と女、銭に裂かれた男と女。淫情殺せば妄執生まれ、男も女も愛欲地獄、仏の慈悲なぞ、ありがた迷惑。淵に立たなきゃ底さえ見えぬ、溺れ溺れて闇のなか…江戸の春情を鮮かに描く。
主君北条氏政に謹慎を仰せつかった身でもあるにも拘わらず、女と酒を求めて歩くようになった新六郎は、料亭の娘早苗と男女の仲にー。時を経て、赦免された新六郎は、彼女を側室として引きとった。周囲の評判も良い早苗だったが、秀吉の小田原城攻めが始まる直前、墓参に出掛けた2人の前に老人が現れてからというもの、俄に挙動が怪しくなってきた…『小田原城』他4篇収録。
あの女だ。あの女に間違いないー。ワイドショーの画面に現れた女の顔を見て、推理作家・庄司桐子は体が震えた。店に押し入った凶悪犯を説得して自首させたその女こそ、十年前、同じように部屋に押し入った桐子の兄を殺しながら正当防衛で不起訴になった丸山志歩美だったのだ。兄の無実を信じていた桐子は、正当防衛に隠された真実を自分の筆で告発しようとする…。書下し心理サスペンス。
百二十人という勢力を誇る「経世会」を旗揚げした竹下登は数の力をバックに、首相の座を目指して着々と準備をすすめる。一方、昭和六十二年十月八日の自民党総裁戦告示日には、竹下とともに安倍晋太郎、宮沢喜一も満を持して立候補届けを提出した。次期総裁をめぐる水面下の暗闘は、名派閥の思惑を秘めて激しさを加える。任期切れの中で最後まで野心を捨てない中曾根が竹下を指名するまでの熱く長い日々を描く。