1995年7月発売
徳川吉宗は将軍職に就任するや、子飼いの忍びを紀州より参府させ、公儀御庭番として組織した。乱世の到来を虎視眈々と狙っていた伊賀甲賀の忍びが動き始めた。一人、また一人、御庭番が殺される。やがて御庭番は御三家筆頭尾張徳川家の不審な動きとその背後で暗躍する陰を察知する。かくて、忍び同士の秘術を尽くした死闘が始まった…。凄絶な忍者達の世界を描く連作伝奇長編。
プア・ホワイトで薬物中毒、狂信的な白人至上主義者ソニー・ウォーカーにとって、唯一の福音はメキシコ国境を越えて流れてくる極右団体のラジオ放送だった。そんな失意と惰性の日々をおくるソニーの不満が殺意に変質するのにはほんの些細なきっかけがあれば十分だった。別れた妻が裕福なユダヤ人実業家と再婚することを知った時、ソニーの脳裏にある計画が浮かんだ…。
殺人現場に描かれる二つの十字架と罵倒の言葉。ソニーは連続殺人鬼“クロスキラー”に変身したのだ。ロサンジェルス市警が威信を賭けて事件の捜査に起用したジャック・ゴールド。腕利きだが、何かと噂の絶えない男でもある。独特の嗅覚で強引な捜査を進めるゴールドは“クロスキラー”を挙げられるのか。ダウンタウンに繰り広げられる心理異常者とはみ出し刑事の壮絶な戦い。
国連警部から国連全権密使に昇格した高木半佐。その最初の仕事は、旧ソ連時代に人工衛星に乗ったまま宇宙をさまよっている飛行士二名を救出することだった。ハンザは綿密な計画を立てたものの、宇宙船回収予定地では、軍の叛乱のため外部の人間はシャット・アウト。さらに民族紛争さえも巻き起こり、上を下への大騒動となっていた。美人部下の横浜リリー、マーガレット、金淑姫らをひき連れて事件の渦中に飛び込むハンザだが果たして…。傑作痛快ミステリー。
私、白嶺深雪、高校二年生。定めにより、雪女リーザの魂が取り憑いた日本のトップシークレット生体兵器。箕田さんが、いたいけなこの私に危険なアルバイトを持ってきた。マフィアに狙われているわがまま女子高生社長令嬢の極秘警護。うーん、今リーザが充電期間中で出てきてくんないから危ない仕事イヤなんだよね。えっ、やると思ったから、お嬢様の学校に転校手続きを済ませたぁ。何でそんな勝手なことするわけぇ…ってなわけで引き受けるはめに…。
動物保護NGO(INCA)の特殊工作員ハッチこと蜂須賀林太郎は、今までに何度も修羅場をくぐり抜けながら、絶滅寸前の希少動物を発見、保護に成功してきた。彼の凄腕とツキを買ったのが、インド洋モーリシャスのホテル王。その依頼は、古代に死に絶えたといわれる体重20トン、全長25メートルの怪物ザメ=メガロドンの生け捕り。海神をも恐れぬ未曾有の「ビッグM」捕獲大作戦だ。史上最強の生き物を標的にしたハッチは…。
ドイツ帝国連邦、連合国、そしてアジア国家連盟-第二次大戦後の世界に迫る新たなる危機…。それは、1952年7月、天安門広場をつらぬき、南北中国を分断する“北京の壁”で勃発した。ゲーリングの命を受けたソビエト陸軍モンゴル機械化兵団は北京市全域をたちまた陥落し、南中国軍は敗走を続ける。しかし、南中国は統一国連軍に参戦要請をせず、日本は動きたくても動けない。アメリカは後方支援宣言をし、中国戦争への直接介入を避ける。9月、日本はボルネオから人類初の人工衛星“白鳥”の打ち上げに成功し、ドイツがニューカレドニアに打撃機動艦隊を集結させていることが判明した。ソロモン海北上を続けるドイツ艦隊を日本連合艦隊が待ち受ける。一方、南京をも陥落したソ連軍は、そこでなぜか進撃を中止してしまった…。
戦場に流れる愛の旋律…。数奇な運命をたどったイタリアの一兵士の物語。アーヴィングと並ぶ現代アメリカ文学の旗手が、豊かな幻想性をもって築きあげた壮大な物語空間。
ステラ・マリス、暗い海に煌めく星のような収容所、そして、風が歌う要塞「鐘楼」で、仲間たちの血が流れた。戦争の狂気のさなかアレッサンドロはなお愛と美を求めつづける。
永享4年(1430)2月、山城国大道寺村に一人の男児が産まれると同時に捨てられた。当時、貧しい人々の間で流行っていた間引きであった。この男児こそ本編の主人公である伊勢新九郎その人である。したがって、新九郎には生まれ在所も父母の名も分からない。が、いま二十三年後の新九郎は一端の野盗に成長していた。寄る辺もない身の新九郎は、“負けるものか。生きようとする強い心だけが大事なのだ”と、その強運だけを信じた。やがて一歩一歩と階段を上っていった新九郎は、さらにその野望を拡大させていった。そして、その名を北条早雲と改めるや、“関東をわがものにするぞ”とばかり兵を起こし、怒涛のごとく関東へ関東へひた走った。それは文明18年(1486)の秋であった。
とうとう裕と一線を越えてしまった。僕-神木和己-は、富士見が丘高校生徒会副会長。会長の彼-都築裕一とは、皆が認めるコンビで…そして秘密の恋人同士。ときどき、次第に近づいてくる別れの時期・卒業。いつまでも、ふたりきりではいられない。裕のそばにはいられなくなるんだ。せつない愛がきらめく、人気シリーズ完結編。