1995年7月15日発売
『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ全米各紙誌絶讃の、鬼才の問題作。不吉な猫の口の形の月の下で奇怪な事件が続く。探訪記者クィンとワサビ色の眼をした女性カメラマン=ジェン・タカムラの友人アンディーの死体が空港脇の車の中で発見され、往年ハリウッド・スターの身辺に“謎”が。傑作ハードボイルド。
出張、接待ゴルフ、アテンド、挙句に単身赴任…、今日も仕事仕事で忙しいカイシャインの皆様、ご家庭の危機管理は大丈夫ですか。熾烈なビジネス社会を生きるカイシャインとその家族を襲う不意の事件。ベストセラー『社内犯罪講座』の作者が贈る、ちょっぴり怖くてほろ苦いカイシャイン・ミステリー集。
世間様では、あたし“なんでも屋の大蔵”と呼ばれておりまして、ご用命さえあれば引っ越しのお手伝いから、留守中のペットの世話、雨漏りの修理までなんでも格安で承ります。こう商売をやっておりますと色々と珍妙な事件に遭遇しますもんでー鋭い勘と名推理で難事件を次々解決する便利屋・釘丸大蔵の事件簿。
十二指腸潰瘍手術後の患者が、長い廊下を病室に運ばれる途中に容体が急変、死亡した。責任を問われた麻酔担当医窪島は、独自に調査を開始し、意外な真相に辿り着く。しかし、その時、彼は大学の医局間の複雑な対立の中に、足を踏み入れてしまっていた。’92年度江戸川乱歩賞受賞作。乱歩賞初の医学ミステリー。
マンションに、不愉快な住人が引越してきた。この日ひそかに、悪意の種は蒔かれ、悲惨な事件に発展する。追いつめられた女は…。演じる人形も、操る人形遣いも、すべて闇の中。観客は果たしているのかいないのか。操られつつ思いがけない暴走を起こす人間の恐ろしさ。推理界期待の新鋭が放つ、問題長編。
春団治と仇名され通称“ダンさん”。大阪府警御堂筋署の岩切鍛治は、上司にも平気で噛みつくベテラン刑事だ。市内で起きた婦女暴行殺人の決着に不審を覚えた彼は、独り地を這うような捜査を開始する。事件の背後に蠢く巨大な陰謀とは。悪に挑む下積み捜査員の執念と無私の活躍を描く正統派警察小説の白眉。
1995年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。マンハッタンの北端、インウッド・パークの洞窟で暮らしていることから“ケイヴマン”と呼ばれるホームレスのロミュルス・レッドベターは、クライスラー・ビルに住む悪の首領スタイヴェサントが世界征服を目論んでいるという妄想に取りつかれている。ある日、洞窟の前で仲間の死体を発見した彼は、犯人を探し出すべく、悪が巣食うダウンタウンへとただひとり乗り込んでいく…。いまアメリカでもっとも注目を集める気鋭の新人が、独創的な人物造形と詩的な文体で描く、話題沸騰のエンターテインメント。
寝台特急「エルム」のB寝台で芸能プロダクション社長が変死した。毒物による他殺も考えられる。数日数、容疑者と目される人物が都内のホテルで毒殺された。二つの事件で容疑者扱いされた作詞家の小池は身の潔白を証明すべく、犯人探しに乗りだす。協力するのは殺された社長の姪・純子。が、二人が犯人と睨んだ人物には鉄壁のアリバイがあった。
東京の麻布十番商店街に店を構える和菓子屋の開化堂は、創業以来100年続く老舗。その開化堂の菓子職人、剣持政吉は一竹薮に猛虎の吠える図柄の胸から背中にかけての彫り物でー「白虎の政」という通り名で会津若松から東北一円で鳴らしたスジ者。足を洗った白虎の政が主家の危機にドスを抱いて斬り込みに。任侠ファンなら読まずにいられない短篇6話。
天下分け目の関ケ原。この日本を二分する合戦の前夜、豊臣恩顧の一群の大名が密議を凝らしていた。黒田如水を旗頭に、第三の勢力を形勢し、徳川方に挑もうとしたのだった。頼りとするのは、十余年前に伴天連が企てた幻のキリシタン王国の軍資金。十一年後、その時の連判状『祇面音密巻』がふたたび嵐を呼び起こした。それぞれの思惑を密めた七大名が、連判状の回収を始めたのである。関ケ原の合戦で、たまたま連判状の存在を知った旅の武芸者宮本武蔵が、この連判状の回収と南蛮の金銀財宝を求めて立ち上がった。幕府子飼いの裏組織「裏柳生」が、大坂方の忍者集団「甲賀赤蜘党」が、そして大御所家康が直々に選びだした超弩級の刺客が、武蔵の命を狙う。武蔵は、果して七巻の連判状と南蛮財宝を奪取できるのだろうか。
魂とひきかえに欲望を満たしてくれる天使のごとき悪魔、カレラとメルセデス。彼女たちのゆくところ、必ずや大満足&昇天の嵐が吹き荒れるのであった…。世界をリードするアニメーション技術で美少女パソコンソフトに革新をもたらした大ヒットシリーズを、制作者自らが小説化。
三日池潤矢。十五歳の、とびっきりの美貌だった。彼には秘められた力があった。それを目覚めさせた、上級生の男女の痴態。彼は二人に、指先で触れるだけで苦痛と快感を与えてしまった。そして、その夜、母親の玲香からは「じゃこうの血が流れている…」との謎の言葉を聞かされた。舞台を軽井沢に移し、潤矢は女体を相手に自らの力を確信していた。「淫導師」を名乗る老人の出現により、今、潤矢の力が全開する。