1995年9月20日発売
僕たちは、生きてなくちゃいけないんですか。自殺はなぜいけないんですか。恋人と一緒に死にそこねた少年のテレビで発した言葉が社会を動かす。死んだ彼女に会いたいと、後追い自殺を企てようとする少年。そして街に溢れ、徘徊する自殺志願者の群れ-。自殺した生徒を「舞姫」と崇める女子校で、自らも兄を自殺で失った新任教師もまた、過去と決別するための熱病のような一夏を過ごした。山本賞候補作家が放つ魂を揺さぶる書き下ろし長編小説。
刑事だった妹が自動車に爆発物を仕掛けられて殺された。誰が、何のために。上院の調査監視分科委員会で顧問を務める兄のベンジャミンは、真相を探るため帰郷した。分科委員会から受けた重要な使命を遂行しつつ、彼は事件の調査を始める。やがて謎に満ちた妹の私生活が明かされるが…鮮烈なサスペンスが貫くアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
“執筆22年間の長編小説”翻訳成る。華厳経「入法界品」の南巡童子善財が真理を求め歩く長い求道の遍歴の一代記。菩薩の行を具足するために南インド旅行に出かけ53人の師匠を訪ね歩き、ついに大団円を成し究極の境地に至る。
フーコー、ドゥルーズ、デリダらにはかりしれない影響を与えた巨星アルトー、その壮絶をきわめた生涯の最後を小説として描きつつ、彼の思考の核心をしめす異才による新しいスタイルの文学。
三ページ目から、わたしは憎しみに満たされた…憎悪の奔流に溺れながらも、わたしは、この新作がニコラ・ファブリをフランスで第一級の作家に押し上げることをはっきりと予感した。彼の以前の作品と比べて、テーマは新鮮で感動的だし、文体は力強く活力がみなぎっている…復讐の成就のために、この小説の成功を利用できる、とわたしは一瞬のうちに悟った。本が凶器となる犯罪。ページに毒が塗られることもなく、ましてや鈍器として使われるわけではもちろんなく、その存在こそが凶器となる…。「エル」読者賞、ジョワンヴィル市シネレクト賞、フランス推理小説大賞受賞。
ペニスが生えた人妻。洗練された〈悪趣味〉に満ちた諧謔と皮肉が炸裂する感傷的恋愛小説&茶番劇。仰天、狂騒、欲情のセックス・コメディ・イン・ザ・U.K.。ヴァギナが出来たラガーマン。
グリーンコーディネーターの菜央は、ちょっと年上だけど、自称天才映画監督の聖人とめでたく結婚。オシャレで、ステキな結婚生活を送るはずが、ひょんなことから聖人の実家のお寺の仕事を手伝うことになっちゃった。愛する聖人のために、がんばっちゃう菜央。でも現実は、キビシ〜のです。
「神様お願いします。今、僕の隣にいる人と両思いになれますように」-愛する人を失ったばかりの竹原七重が、山崎勇一郎と出会ったのは再就職の仕事先。年下だが現場を仕切る勇一郎は仕事に馴れない七重に何かと絡んでくる。最初は反発を感じたものの、自分とは正反対の容姿性格の勇一郎に七重はいつしか恋をしてしまう…。互いに愛する者を失った二人のセカンド・ラブの結末は…。
記紀の謎を大胆に解く瞠目の歴史小説。乙巳の変、白村江の大敗、そして壬申の乱。日本誕生へ混沌の時代、飛鳥の地を舞台に繰り広げられる権力闘争に大唐帝国と韓三国の巨大な影が覆う。書き下ろし三部作、第二部。
少女マンガ『ローウェルの密室』の作中で密室殺人事件が発生。『コミケ殺人事件』の著者が、前代未聞の密室トリックで読者に挑戦する二次元本格推理・書下し800枚。休みのある日、真っ暗な森に迷い込んだ恵と保理は、不思議な老人の手で、少女マンガ『ローウェル城の密室』の世界に送りこまれ、マンガの登場人物・メグとホーリーになってしまう。蛮族が跋扈し、奇怪な風習に支配されたその世界で、密室殺人事件が発生した。二次元世界での殺人を描き、史上最年少の十六歳で江戸川乱歩賞最終候補に残った幻の超本格推理ついに登場。