1995年発売
殺された若い女性の部屋は、窓やドアが完全にロックされておりごていねいにもチェーンまで掛けられていた。この密室殺人解明に乗り出したのが八木沢警部補だった。八木沢は警視庁では変わり者と言われているが抜群の推理力を持っている。必死の捜査を嘲笑う様に次々と女性が殺されてゆく、そしてなぜかどの死体の側にも奥州平泉からの絵葉書が…。
会津藩士・山本覚馬は幕末において、天皇を推戴する三権分立、国民の能力に応じた税の賊課、人材の教育、貨幣制度の確立と製鉄・商資本の育成など、今日でも立派に通用する日本のあるべき姿を述べている。もし、明治時代からの日本がそうした国造りを進めたのならば、軍閥政府は生まれず、アメリカのような国家となり得たのではないか。しかし現実には、会津藩は戊辰戦争で敗れたため山本覚馬の考えが日の目を見ることはなかった…。物語は、安政6年(1859年),三人の若者が会津藩に招かれたことから始まる。軍事担当の荒井竜之介、技術担当の相原勇次郎、そして財務担当の名代左馬之介。三人の協力を得て、富国強兵を計り、強固な奥羽越列藩同盟をめざす…。幕末から維新にかけての激動の時代を新しい視点で描く、新シリーズ。
1997年、ナイトホークスにより、三たび、日本は核の洗礼を受けた。ルーズベルトとのトップ会談のため急遽渡米した武沢総理は謎の事故死を遂げ、日米激突の幕は切って落とされた。タイムワープした山本五十六率いる大和以下帝国連合艦隊は、ソロモンの海で米機動部隊との闘いを制する。狂気に包まれつつある日本は、自衛隊のイージス艦・最新鋭戦闘機と共にハワイ進攻を開始した。米側も旧在日米軍のミサイル巡洋艦・最新鋭戦闘機を擁して迎え撃つ準備は整った。しかも、海底にはソ連に貸し出した米原子力潜水艦シーウルフが…。覇はどちらに。また日本の狂気の炎のゆくえは。
2029年の日本。新進気鋭のベンチャー企業が開発した仮想戦記コンピュータゲーム『鋼鉄の嵐』は発売と同時に驚異的なベストセラーとなった。このゲームはユーザー自身による歴史上の人物への思念投射によって歴史を改変し、“架空の歴史”に関与できることがウリであった。だが…。未解明の物理現象が人知の及びもつかぬ時間と空間のかなたで勃発していた。2029年のゲームユーザーたちによる思念投射は、過去の人物に“天啓”という形でアクセスし、野放図に過去の歴史を改変し始めたのである。これが戦慄すべき結果を招こうとは…。
両親の死後、主人公・大里健也は女だけの一族、速水財閥のお屋敷に突如迎えられることになった。屋敷内唯一の男である主人公をめぐって姉妹たちやメイド・さよりなどの女たちに繰り広げられる誘惑に惑いつつも、この一族の不可思議な掟にのめり込んでいく…。インモラル美少女AVGの大ヒット作を、いち早く小説化。
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい…。言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
それは、フィリピンのリゾート地開発に日系企業が関わったことを発端とする、日本人少年誘拐事件だった。マスコミが取りあげ、現地の警察が動き、軍隊まで出動する仰々しさの陰で、少年はテログループに自由を奪われ、樹海のなかをあてどなく歩き続けた。再三の脱出行、そのつど味わう挫折と恐怖。哀しくそして熱い-。冒険小説大作1500枚。誘拐サスペンス。
とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。君の残像が気になり始めた頃、22歳の僕の周りは急に騒がしくなった-。不倫の果てに自殺騒ぎを起こした姉と、不倫がばれた親父、そしてこんな困った家族のためになぜか奔走する羽目になる僕。いつもと変わらぬはずの11月に起きた、つむじ風のような事件を描く青春ストーリー。
馬運車の中で藁にまみれた祐天寺スタリオンステーションのオーナー・祐天寺豪の死体が発見された。刑事の秋山左門は殺人事件として捜査に乗り出す。その頃左門の双子の兄であり、探偵の右京は事件の捜査を浮島香奈から依頼されていた。まったく性格の違う双子の兄弟がこの不可解な事件の謎に挑むのだが、事件は意外な方向へと進展していく…。冒険文庫初のミステリ小説。
故事・ことわざにはないが誰でも知っていることしていること…でもその本当のことが知りたい。おばあさんと孫との人間性(ヒューマニティ)を画く。
株式会社ユーキの宝石鑑定士・伊藤木綿子のところへ専属デザイナー・白木美奈子が相談を持ちかけてきた。彼女がデザインした宝飾品に粗悪な石が混在していたらしい。しかも美奈子は木綿子の恋人塩野満の素姓まで訊ねてきた。塩野と美奈子の関係は。木綿子の胸に一抹の不安が…。数日後、美奈子が死体となって発見され、塩野も事件発生の翌日、木綿子に連絡を残して、消息を絶った。日蓮聖人のルポを依頼され、山梨県を訪れていた浅見光彦はこの怪事件に深く関わることにー。
「日蓮の生まれ給いしこの御堂」木綿子の恋人塩野が残した謎の伝言。真相を追って浅見光彦は聖人ゆかりの地を訪れるが、重要な手がかりは得られない。ところが、その浅見に怪しげな人物がつきまとい、さらに木綿子の父親も「イトウのお寺には行ったのか」という言葉を遺して、突然の死を遂げた。果して犯人の目的は、消息を絶った塩野の行方は。そして日蓮聖人生誕に隠された秘密とは。名探偵浅見光彦さえも窮地に追いこむ驚愕の真相。伝説シリーズ超大作、待望の文庫化。
おなじみの女子大生・亜由美のもとに、高校時代の友人・ゆかりから、結婚式の招待状が届けられた。なぜか同時に三通ーしかもそれぞれ相手の男性の名が違っている。おっとりして世間知らずなゆかりは三人からのプロポーズを断りきれず、とりあえず全員と式を挙げることにしたのだという。何とか思いとどまらせようとする亜由美だが、三人のフィアンセのうちの一人が式を目前に殺されてしまったから、さあ大変。亜由美と愛犬ドン・ファンの名コンビがまたまた活躍、お待ちかね“花嫁”シリーズ登場。