1995年発売
悪魔の兵器を使う大国を叩け。昭和二十年七月、帝国海軍初のジェット戦闘機「橘花」が完成し、対ソ戦に投入できる目処がついて、本土防衛態勢は万全になったかにみえた。しかし、ソ連は講和したドイツより優秀な頭脳を引き抜き、最終兵器の原爆と長距離ミサイル超V2号の開発を進め、これら二つの実験が成功するや、中国哈爾浜から原爆を弾頭に装填したミサイルを広島に、ついで長崎に向けた-。地獄を見せられた日本帝国は、橘花と共に製造中だった超長距離重爆撃機「富岳」に米国より供与された原撃を搭載してモスクワへと…長篇架空戦記第四弾。
美しい女子生徒の失踪、化学実験室の盗難事件と終業式を前にあいつぐ不祥事に校長は頭を悩ませていた。しかし、終業式前夜、この学園の小さなミステリは、突如として教員の二重殺人事件へと発展した。来賓として居合わせたオックスフォード大学の名探偵ジャーヴァス・フェン教授は協力を請われ、さっそく事件現場へ急行、酸鼻な犯行に目を見張った。さらに翌日、郊外のあばら家で第三の死体が発見され、事件はますます混迷の度を深めていった…。連続殺人、失蹟事件、シェイクスピア原稿の謎と、息もつがせぬ展開の底に流れる不気味なユーモア、錯綜する論理と巧みなサスペンス。ポスト黄金時代を代表する本格派クリスピンの最高傑作。
外の世界では、誰もがおとなになる、恋をする、仕事をする。結婚し、親になる。ただ、変わらないものを透明なカプセルに閉じこめておきたかった…。共に過ごした4人の仲間の物語。
おムコを捜しに来たの。だって、こっちには日本のエリートが沢山いるでしょーそういって幼稚園以来のくされ縁の仲、憎たらしくもほれぼれするほど美しいヒカルが、留学先のアメリカにまでおしかけてきた。男の所有物になるのはご免、女も男と対等にならなきゃ、と常々思っていたマユキだけれど…。本当はどうすれば幸せになれるのか、鋭く問いかけるビタースィートストーリー。
瞳の色、唇の形、耳のひだに至るまで、ひとつひとつ詳細に思い描くことによって造り上げた幻影の女性、オリヴィア。彼女がもたらす甘美な呪いを描く「ロバート・ヘレンディーンの発明」『不思議の国のアリス』のパロディ「アリスは落ちながら」他、現代アメリカ文学の新鋭ミルハウザーによる10の煌めく短篇を収録。
対戦型格闘ゲームの天才美少女朋子とごくヘーボンな高校生・圭ー。ふたりの運命的な関係は、街角のゲームセンターではじまった。おませな少女と少年の初体験は、見てコーフン、さわってドキドキ…。学園ノベルの旗手・雑破業の世界を水無月十三がシュールに描く新感覚体感ラブコメ。
「食らえッ、義念流・鬼火。」罠におちた美少女レオナを救うためストリートファイトに身を投じる義念流拳士・修闘ー。が、その行く手には、行方知れずの兄、力尊の姿が…。炸裂する蹴撃、炎撃、必殺拳。血で血を洗う裏格闘技の世界を描いた衝撃と興奮の格闘ノベル。
「求む。容姿端麗で家事・料理その他、高給に見合った仕事のできる方」。街のなんでも屋佐伯亮児が出したこのうさんくさい広告に、飛びついてきたのは一九歳の美少年・森谷淳。亮児はこの不思議な魅力をもつ少年を、事務所のスタッフとして迎えることにした。だがこの出会いが、ふたりを不思議な運命の渦にひきこんでいこうとは…。そして愛に渇いたふたつの心は、やがて魅かれあっていく。ストーリー・テラー池戸裕子が放つ愛の物語。
太平洋戦争開戦前夜-帝国海軍秘密工作機関は、対米戦を睨み帝国の経済的裏付けと敵国経済の麻痺を目論見、人工エメラルドの開発製造に着手。一方、山本五十六長官を指揮官とする連合艦隊は、航空艦隊を前面に太平洋上での決戦に備え出撃を待つ。帝国の命運を賭けた極秘指令は、今、着実にその一歩を進めた。書下ろし戦記シミュレーション第一弾。
“嬲り犯される”という妄想から逃れられずにオナニーに惑溺するOL・陽子。そんなある夜、課長にホテルに連れ込まれて、喘ぎ声を洩らす。みなぎる肉棒を口いっぱいに頬張ったり、Gスポットをいじられたり…。
淫欲性獣・朝倉の罠に堕ち、若い陰唇を剥き出しにされ次々に凌辱される女たち。Dカップの若妻・美紀、そして美人女子大生・亜矢子…。やがて二人は、緊縛されてベッドに転がされ、淫肉を嬲られ犯されまくる。
私立探偵のジョン・タナーは、大学の同窓会で二十五年ぶりに再会した親友のセス・ハートマンから一通の手紙を渡された。それは〈南部の誇り〉同盟と名乗る白人極右集団が、セスに宛てた死刑宣告状だった。現在チャールストンで弁護士をしているセスは、大学時代に公民権運動に参加したことを除けば、脅迫を受ける心当たりはまったくないという。なぜ彼らはセスを標的にするのか。背後関係を探りはじめたタナーは、セスの依頼人たちも同様の脅迫を受けていることを知る。やがて、狂信的な極右集団は、十字架を燃やすなどその脅迫手段をますますエスカレートさせてきた。
スーパー・ミュータントは、ついにローダンの旗艦『インターソラー』にその魔手をのばした。太陽系艦隊将校ホイブライン少佐を捕らえるや、その体内に必殺の罠をしかけ、ローダンのもとへと送り帰したのだ。胸さわぎをおぼえたローダンたちは、ホイブラインを惑星シシュターに降ろした。だが追尾していたコレッロの宇宙船も同星域に出現、ここに『インターソラー』とスーパー・ミュータントとの壮絶な死闘が開始された。
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する…ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
人は、幸福せになれるのですか。野に咲く花は幸福せであろうか。-螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる…進化とは。宇宙とは。人間とは。究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
17歳から18歳の少年と少女にとって夏は特別の季節だ。夏の間に、少年と少女は大人への第一歩を踏み出す。初めて自らの意思で理想の異性を意識することによって。-梅雨のあいま、本格的な夏、そして晩夏。それら夏の独特の時間の中で、ほとばしる少年と少女の繊細な官能性のすべてを、さわやかに、端正に表出した片岡義男の青春小説集。「私とキャッチ・ボールをしてください」「永遠に失われた」など清冽な7篇を収録。