1995年発売
永享4年(1430)2月、山城国大道寺村に一人の男児が産まれると同時に捨てられた。当時、貧しい人々の間で流行っていた間引きであった。この男児こそ本編の主人公である伊勢新九郎その人である。したがって、新九郎には生まれ在所も父母の名も分からない。が、いま二十三年後の新九郎は一端の野盗に成長していた。寄る辺もない身の新九郎は、“負けるものか。生きようとする強い心だけが大事なのだ”と、その強運だけを信じた。やがて一歩一歩と階段を上っていった新九郎は、さらにその野望を拡大させていった。そして、その名を北条早雲と改めるや、“関東をわがものにするぞ”とばかり兵を起こし、怒涛のごとく関東へ関東へひた走った。それは文明18年(1486)の秋であった。
とうとう裕と一線を越えてしまった。僕-神木和己-は、富士見が丘高校生徒会副会長。会長の彼-都築裕一とは、皆が認めるコンビで…そして秘密の恋人同士。ときどき、次第に近づいてくる別れの時期・卒業。いつまでも、ふたりきりではいられない。裕のそばにはいられなくなるんだ。せつない愛がきらめく、人気シリーズ完結編。
ダイアモンドのあまりにも高貴な輝きに、人はときには生命さえも賭ける。ダイアモンド市場をめぐる、国際シンジケートと産出国との闘いはあくまで果てしない。だが、その殺伐とした生存競争の舞台に、突如として現れたエリックとレオニード、裕と良輝、ふたつの愛。危険ゆえに、なおいっそう燃え上がらずにはいられない心と心。松岡なつき渾身のドラマチック・ストーリー。
みんなで流行のHゲームでも作らない。とお姉ちゃんに頼まれ、断わりきれずにメンバー探しに走る、女子校生の奈留ちゃん。そのまわりに集まってくる、シナリオ、グラフィック、モデルetc.の女のコたちは、みんな奈留ちゃん&エッチが大好きなんだ。そんなゲーム作りにかける美少女たちの情熱と愛をオカズにしたパソコンゲームの(ややこしい)大ヒット作、「リビドー7」を書き下ろし小説化。
『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ全米各紙誌絶讃の、鬼才の問題作。不吉な猫の口の形の月の下で奇怪な事件が続く。探訪記者クィンとワサビ色の眼をした女性カメラマン=ジェン・タカムラの友人アンディーの死体が空港脇の車の中で発見され、往年ハリウッド・スターの身辺に“謎”が。傑作ハードボイルド。
出張、接待ゴルフ、アテンド、挙句に単身赴任…、今日も仕事仕事で忙しいカイシャインの皆様、ご家庭の危機管理は大丈夫ですか。熾烈なビジネス社会を生きるカイシャインとその家族を襲う不意の事件。ベストセラー『社内犯罪講座』の作者が贈る、ちょっぴり怖くてほろ苦いカイシャイン・ミステリー集。
世間様では、あたし“なんでも屋の大蔵”と呼ばれておりまして、ご用命さえあれば引っ越しのお手伝いから、留守中のペットの世話、雨漏りの修理までなんでも格安で承ります。こう商売をやっておりますと色々と珍妙な事件に遭遇しますもんでー鋭い勘と名推理で難事件を次々解決する便利屋・釘丸大蔵の事件簿。
十二指腸潰瘍手術後の患者が、長い廊下を病室に運ばれる途中に容体が急変、死亡した。責任を問われた麻酔担当医窪島は、独自に調査を開始し、意外な真相に辿り着く。しかし、その時、彼は大学の医局間の複雑な対立の中に、足を踏み入れてしまっていた。’92年度江戸川乱歩賞受賞作。乱歩賞初の医学ミステリー。
マンションに、不愉快な住人が引越してきた。この日ひそかに、悪意の種は蒔かれ、悲惨な事件に発展する。追いつめられた女は…。演じる人形も、操る人形遣いも、すべて闇の中。観客は果たしているのかいないのか。操られつつ思いがけない暴走を起こす人間の恐ろしさ。推理界期待の新鋭が放つ、問題長編。
春団治と仇名され通称“ダンさん”。大阪府警御堂筋署の岩切鍛治は、上司にも平気で噛みつくベテラン刑事だ。市内で起きた婦女暴行殺人の決着に不審を覚えた彼は、独り地を這うような捜査を開始する。事件の背後に蠢く巨大な陰謀とは。悪に挑む下積み捜査員の執念と無私の活躍を描く正統派警察小説の白眉。
1995年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。マンハッタンの北端、インウッド・パークの洞窟で暮らしていることから“ケイヴマン”と呼ばれるホームレスのロミュルス・レッドベターは、クライスラー・ビルに住む悪の首領スタイヴェサントが世界征服を目論んでいるという妄想に取りつかれている。ある日、洞窟の前で仲間の死体を発見した彼は、犯人を探し出すべく、悪が巣食うダウンタウンへとただひとり乗り込んでいく…。いまアメリカでもっとも注目を集める気鋭の新人が、独創的な人物造形と詩的な文体で描く、話題沸騰のエンターテインメント。