1995年発売
キャラメル色の髪と瞳の蜂州里緒は、男だらけの高校で噂のアイドル。甘やかな容姿と爆弾みたいな性格で、むかうところ敵なし…のはずなのに、幼なじみの芳沢椿にだけはパワーダウン。里緒は、どうしても椿への恋心と欲望を認められずにいた-。小bで大好評を博したストーリーに書き下ろしを加えた、ノエルの学園ラヴバトル。
高校二年生の川武直弥は、『コンビニ』というアダ名をつけられるほどお人良し。イヤと言えない川武を、クラスメートの森村大河は大声でしかりつける。最初は、乱暴な大河を恐れていた川武だったが、彼の素朴な優しさに触れるうちに心を開き始めていた。そんなある日…。書き下ろし表題作他、三作品を含む、火崎勇の傑作集。
やっと想いが通じ合った伊関拓朗と永見潔だったが、新しいCMの仕事が入り、またもや忙しい日々を過ごすことに。永見に逢えず苛々していた伊関は、やっと逢えた永見のあまりにも素っ気ない態度に、つい荒々しく抱いてしまう。伊関のひどい仕打ちに怒った永見は、合鍵を伊関に突き返し、部屋から出ていってしまう-。
…エイダは9歳の娘フローラとともに、長い船旅を経て見知らぬ男のもとへやってきた、この男に嫁ぐためだった…。浜辺に降ろされたエイダの荷物のなかには彼女の分身ともいえるピアノがあった。だが、ピアノは引き取りを拒絶され、そのまま浜辺に放置される。朽ち果てるピアノの運命に耐えられぬエイダは、顔に刺青を彫った奇妙な隣人とある取引を交わす。ピアノを弾いているときだけ、好きなようにしていい…その代わりに一回ごとにピアノの所有権を私のもとに移して欲しい…。19世紀ビクトリア朝に生きた女と男の、あまりにも激しい情念の世界を比類のない詩的感性で映像化することによって数々の映画賞を受賞した名画の原案を、作者自身が大胆な筆致で小説化した異色の文学。映画では描かれなかった登場人物たちの過去の秘密、意外な素顔が、小説という表現形式を得ることによってはじめて明らかにされ、官能と真実の物語はようやくクライマックスを迎える…。
マエストロ・ルイス・パッサウ。世界屈指のオーケストラ指揮者でありながら、ナチやKGBとの関係が噂される謎めいた人物。九十歳を祝う誕生日コンサート終了直後、その襲撃事件は起きた。間一髪のところでそばにいた男がマエストロの命を救う。元英国秘密情報部部員、ビッグ・ハービー・クルーガーだ。身柄の保護を条件とし、指揮者に一切の過去を告白されることにするが…。
生れ故郷のドイツ、一家で移住したニューヨーク、ギャング抗争のさなかに過ごしたシカゴ、そしてハリウッド映画界へー自らの生涯を振り返るマエストロの話は、あたかもアラビアン・ナイトのごとくつづく。一刻も早く老人の正体をつかみたいクルーガーと、あくまで自分のペースを崩さぬ指揮者の熾烈な心理戦。大物スパイ/マエストロの衝撃の真実とは。著者渾身の大作登場。
西暦2090年、各共同体国家が利権を争う中、オシアナ共同連合とニューコンチネント合衆国の間にハフマン島を巡る戦いの火蓋が切って落とされた。その二国間紛争の原因となった「ラーカス事件」のえん罪を被ってオシアナ正規軍を解雇された元陸軍大尉、ロイド・クライブは傭兵部隊“キャニオン・クロウ”にスカウトされて再び戦場に舞い戻る。人気SFCゲームが待望の小説化。
月光はおろか、星明かりすら地上には届かない暗い夜、戦乙女(ヴァルキリー)のデュカは、虚空より燐光にくるまれて落ちてきた少年フリンと出会う。フリンは気づかぬうちに父であるアンシュラーク王によって名も知らぬ街ヴァンクールに放り出されたのだった。悲運の王子フリンとデュカを待ち受けるものとは…。アドバンスト・ウィドーザリィ世界を舞台に壮大なストーリーがいま幕を開ける。
邪星修祓寺院の中でも指おりの実力を持つ霊能戦士の玄武院が妖怪と結婚する。驚愕すべき知らせがトモコのもとに届いた。相手は魔性の妖怪虎飛車。玄武院は妖怪に魂を売ったのか。日本中の妖怪が集まる阿雲村の謎のコロシアムで婚姻の儀式が始まる。その陰に隠された妖怪たちの恐ろしい野望とは。兄弟子・玄武院を敵にまわして立ち向かうトモコたちに勝算はあるのか。
敗けいくさの日々が女子供や物言わぬ生きものたちの上へ、どのように降りかかって来たか-。“日本軍もまた各地でそうしてきた”略奪と残虐の実情-。忘れられない記憶が、戦後を生き延びた母たちの無念の叫び、鎮魂の祈りとともに語り出される…。
ある日僕らの音楽の先生が言った。ビートルズの歌を作ったのは、ジョン・レノンやポール・マッカートニーではないのだよ、と。時は1968年、僕は13歳だった-。ビートルズについて書かれた小説、麻薬中毒ミステリ作家の危ない独白…。英語圏で一番人気の文芸誌「グランタ」から選りすぐった新鮮な5篇。
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった-その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。