小説むすび | 1995年発売

山奥に武家屋敷さながらの旧家を構える会社社長が、まさに蟻の這い出る隙もないような鉄壁の密室の中で急死した。その被害者を取り巻く実に多彩な人間たち。事件の渦中に巻き込まれた計理事務所所員の主人公は、果たして無事、真相に辿り着くことができるだろうか。本書は、不可能状況下で起こった事件を、悠揚迫らざる筆致で描破した才人天藤真の、記念すべき長編デビュー作。

秦を亡ぼす者は胡なり。強大な統一帝国なる。が、社稷の黄昏は思わぬ処より忍びよる感動の書下し歴史巨篇完結。

春希は自分の進むべき道を模索し始めていた。大学への進学、映画・シナリオとの出会い、父大造との確執、そして母リュウとの別れ…。ＮＨＫ朝の連続テレビ小説「春よ、来い」の小説化。

「あの世」の母からのこされた父と子へ-『青春デンデケデケデケ』の作者がおくる優しく、せつない、家族の心の旅。

あの川に育てられたからこう生きるしかなかった。都会の傷をいやすために四万十川へ帰郷した青年あつよしの新たな苦しみ。

「鬱屈の町」セントラリアを舞台に、ホルストの組曲『惑星』を主調音にして繰り広げられる、スラップスティックでスキゾフレーヌな現代の『ユリシーズ』。

伊庭隆之は病死したと聞かされていた父が、香港黒社会「開心」グループの総帥であったこと、そして先日暗殺されたことを知らされる。香港へ渡った隆之は、冷ややかな瞳をした美貌の異母兄李冠麟と、心ならずも師帥の座を争うことになるが-。松岡なつきの愛と欲望のシンジケート・アクション、ここに完結。

昼間の間だけ、老人を預かる新商売「託老所」とは。こみあげる可笑しさと、人生の恐さが交錯する傑作。日本推理作家協会賞受賞作。

宇宙の法を書き換えることのできる魔法のペン、コズミック・フォージによって記された忌まわしき記述を書き消すため、ハヤテたち６人のパーティーはペンを求めて旅に出る。彼らはコズミック・フォージを手に入れ、宇宙の平和を守ることができるのだろうか。ウィズの達人竹内誠による冒険文庫初のウィザードリィ長編小説。

千葉暁によって作り出された『聖刻１０９２』の新シリーズとも呼べる作品が誕生した。アハーン大陸中央部に位置する広大な沙漠・中原を舞台に、聖刻石の仮面をつけた巨大ロボットの操兵や、練法を駆使する呪術士たちが戦いを繰り広げる『真・聖刻』だ。’９５年春にスーパーファミコンで発売される同名ゲームをモチーフに、盗賊団の首領タグマやリージャ、剣士のシフォンが活躍するオリジナル・ストーリーが開幕。ゲームへの序章となるのだ。

エンジュの街に店をかまえる骨董屋の孫娘コウノと、店につかえるコンリョウが巻き起こす大冒険。巨大な技人兵とともにあらわれた謎の怪人・雷冥鬼を追って、素人探偵を気取るコウノは謎解きに挑戦するが、そこには過去へとさかのぼる因縁の対決が待ち受けていた。魔術とも思える不思議な術を使い、街を混乱に陥れる雷冥鬼。次々と出現する謎の技人兵を向こうにまわし、コウノの謎解きは完了するのか。待望の六覇国伝、第３話。

現代の女子大生と17世紀の石工を隔てるのは時間と空間の海……ギリシアの悲恋物語を、『ハザール事典』のパヴィチが、新しく不思議な物語に変容させた。この本は表紙が両面にあります。どちらからお読みになりますか？

歴史時代小説の凄み。異色にして正統なる名品。もうひとつの忠臣蔵「南天」をはじめ、「試し胴」「小笠原ミゲル始末」「へそくらへ」「牢人噺」「銃隊」を収録する文字通り鬼才の傑作集。

愛と別離、流転の運命を生きる小波光子の波瀾の半生-天涯孤独の女性・光子に救済はあるのか-金沢での少女時代に始まる苦難に満ちた人生を描く、曾野ファン待望の長編小説。

刻々と処刑の瞬間が迫る。弁護士は祖父の命を救えるのか。Ｊ・グリシャム待望の最新作。

三十三歳にして強運にも八代将軍の座に上って“中興の英主”となった吉宗の治政とは…。