1995年発売
1944年春、連合軍の反攻を前にして、ロンメル将軍はドイツ軍の防衛計画会議をフランスの古城でひらこうとしていた。イギリス特殊作戦部のマンロゥ准将は、城主の姪アンヌーマリーに会議を探らせようと企てるが、彼女を不慮の事故が襲った。そこでアンヌーマリーの双生児の妹ジュヌヴィエーヴが姉になりすまし、フランスに潜入する。だが、古城で彼女を待ちうけていたのは、恐るべき謀略の罠だった…傑作戦争冒険小説。
若い女性が指を潰され、絞殺されるという事件が相次いで起きた。捜査にあたったインディアナポリス市警のパウダー警部補は、ふたつの殺人の関連を追い始める。その矢先、女子学生が謎の失踪を遂げた。錯綜する事件の裏にはいったい何が。都会の夜を守る辣腕刑事パウダー登場。現代ハードボイルドの雄が、私立探偵サムスンを脇役に配し、怒り、迷い、恋に悩む男の姿を描く傑作警察小説。
カリブ海に浮かぶヴァージン諸島。もっとも危険な暗礁といわれるサンダー・ポイントでダイビングをしていたベイカーは、沈没して珊瑚に覆われたUボートを発見した艦内から持ち出した艦長の日記を読んで、ベイカーは驚愕した。なんと、そのUボートはナチの最高幹部の一人マルティン・ボルマンを南米へ脱出させる途中だったというのだ。しかも、当時の英米のナチ支援者の名簿と、ウィンザー公がナチに協力を約した秘密文書が積まれているらしい。これらの書類が明るみに出るようなことがあれば、英国にとっては一大スキャンダルとなる。ベイカーの知らせで、ファーガスン准将ひきいる英国情報機関グループ・フォアが書類の回収に乗り出した。ところが、ベイカーが交通事故で死亡したためUボートの沈没場所がわからなくなった上に、書類のありかを探ろうとする別のグループが存在することが判明した。そこで、ファーガスンは思い切った策に出た。元IRAのテロリストで熟練のダイバーでもあるショーン・ディロンを、回収作戦の実行者としてヴァージン諸島に送り込んだのである。Uボートに眠る秘密をカリブの青い海に探る、会心の冒険サスペンス。
時代は明末の頃ー楊応龍の乱が勃発し、石〓宣撫使の馬千乗にも出兵の命が下った。文武に秀で、兵の統率力も抜きん出ている妻・秦良玉も夫の反対を押し切って参戦した。二人には、この戦いで勇戦せねばならぬ理由があったのだ。千乗の実弟・千駟が応龍の側についたがために、帝室の疑いを招く恐れがあるからであった。激戦の末、千駟は実兄の手に掛かり、応龍も戦死、無事鎮圧となったのだが…。中国歴史長篇。
俺は関東テレビ総務部総務課制作庶務係の、宇賀神邦彦だ。仕事は局内で起った面倒ごとを裏側から始末して回ること。もともと制作部のディレクターをやっていたが、四年間で九本の番組をコケさせ、落とし前をつけさせられてる訳だ。腐れ縁の上司、田所制作局長の罵声「バカヤロー」が俺の出番の合図になる。愛車マスタングを駆って、今日も一丁行くとするか。トラブル・バスター、人は俺をそう呼ぶ。
ロンドンの美術界の因襲に幻滅した主人公ジェームズ・スペンサー。彼は旧ビルマの奥地パガンに眠る時価百万ドルの仏像20体を盗み出そうと決心する。助っ人はなんとタイ在住の宣教師にして殺し屋という人物。さらに軍閥同士のアヘン支配権をめぐる銃撃戦にも巻きこまれながら、スペンサーはタイ・ビルマ国境の地獄のジャングルを越えようとするー。東南アジアの熱気が息づまるほどの臨場感で全編を満たす。
パール生命保険「査定課継続調査室」は犯罪がらみのケースの調査を担当する、室員3人の貧乏所帯。結婚の夢破れて古巣の会社へ復帰した平木寿恵(29歳)の配属先だ。彼女の初仕事は、難解な保険金殺人の調査だった。元刑事の逆巻活彦とコンビを組んで、事件現場の木更津へ乗り込んだが…社会派期待の新鋭が現代社会の病巣に迫る長編ミステリー。
1944年12月、関東地方は同時多発的な直下型大地震に襲われた。そのほぼ同時刻、ニューヨークではヒトラーの仕掛けた原子爆弾が炸裂し、マンハッタン島を放射能地獄に変えた。大打撃を受けた両国は、太平洋戦争終結に向けて講和に動き出し、45年3月、日米講和条約が締結される。一方、ヒトラーは、ヨーロッパ全土に次々とナチス独裁政党による傀儡政権を打ち立て、ドイツ帝国連邦の整備に取りかかる。ここに世界は、日米をリーダーとする太平洋地域とドイツ帝国連邦の支配するユーラシア大陸とアフリカに二分される…。架空戦史をこえ、新たなるジャンルの確立をめざす『シム・シビライズ・ノベルス』第1部、ここに完結。
“砂漠の狐”と恐れられたロンメルを将に、日独連合軍のイギリス本土侵攻が始まった。空でも陸でも敗北に次ぐ敗北で疲弊している英国軍にチャーチルの檄が飛ぶ。しかし-。頼みのアメリカの参戦はなく、栄光の大英帝国は壊滅する。ヒトラーは念願の全ヨーロッパをその掌中に収めるのだが…。ここから思わぬ展開がヒトラーを待ち受けていた。ロンメルと日本軍は何を考え、何を仕掛けたのか。シミュレーションの醍醐味を満喫できる驚天の完結編。
社運を賭けた一大プロジェクトを進める東西不動産に、計画の成否の鍵を握る大地主から出されたある条件。それは名器の女性を提供しろという要求だった。専務の深谷に直々に命じられ、本社勤務の女子社員の中から名器の持ち主を探し出す任務に就いた開発課課長・徳光正弘。彼は、それと噂される女子社員の肉体を次々と味見するのだが、めざす女性は意外なところに…。
中国大陸の流れがゆっくりと変質した…人々は血みどろの混乱に突入していった。先例のない暗中模索の前進、流れつく先を正確に読めるはずもなかった。しかし、歴史の潮流は人智を越えて落ちつくべき場所に中国大陸を運んでゆく。蒋介石軍の将軍の孫…共産中国の新聞人の子に生まれ、女性紅衛兵として血をたぎらせ、やがて文学への熱い夢を抱いて日本に移り住んだ著者が数奇の体験をもとに中国激動史の深層を活写。
その朝教室に入っていったわたしは、数学教師エヴァンズの他殺死体を発見した。格別つきあいのなかった彼がなぜこの早朝わたしの教室で殺されていたのか。まもなく、かつての教え子だったエヴァンズの息子が、時を同じくして姿を消していたことを知らされ、わたしは事件の深みに踏み入ることに…。シカゴ郊外のハイスクールを舞台に、ゲイの英語教師が見た現代の悲劇とは。
山奥に武家屋敷さながらの旧家を構える会社社長が、まさに蟻の這い出る隙もないような鉄壁の密室の中で急死した。その被害者を取り巻く実に多彩な人間たち。事件の渦中に巻き込まれた計理事務所所員の主人公は、果たして無事、真相に辿り着くことができるだろうか。本書は、不可能状況下で起こった事件を、悠揚迫らざる筆致で描破した才人天藤真の、記念すべき長編デビュー作。
春希は自分の進むべき道を模索し始めていた。大学への進学、映画・シナリオとの出会い、父大造との確執、そして母リュウとの別れ…。NHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」の小説化。