1996年発売
バブルで破壊される前の麻布、白金周辺をよく知る人々が慈しんで語る“変な話”。夜桜見物に乗り込んだ水上バスで、髷を結った侍姿の男に話しかけられ不思議な目に逢う「花見の人」、廃業した銭湯に一人残って暮らす三助あがりの元経営者が、昔語りを聞かせる「タイル絵」等、古き良き時代の東京を垣間見させつつ、読者を違和感なくお伽話の世界へ誘い込む、現代の“奇譚”7篇を収録。
女子大生ローリーは教授殺しで逮捕された。凶器からは彼女の指紋が検出されたが、彼女には何の記憶もない。幼い時、誘拐され、虐待され、深く傷ついた彼女の心は、あまりに辛い現実を生き延びるために多重人格を形成していた。犯人は教授に夢中な彼女の別人格なのか。法は彼女を裁くことができるか。そしていまだに彼女に執拗な愛を抱く誘拐犯人の魔手…心理サスペンスの逸品。
天才的ヘリ・パイロットのプロスは、旧知の美人諜報員に連れだされた夜の湖畔で、英国が極秘に開発した最新最強の戦闘ヘリ“ハマーヘッド”に試乗しようとしていた。が、突如ミサイル攻撃に遭い、テスト・フライトは地獄の実戦飛行と化す。いったい誰が、何の目的で。ヘリの機密はいつ洩れたのか。だがそれは、国際的な規模でくリ広げられる策謀の、ほんの序幕にすぎなかった…。
15歳以前の記憶がなく、また、実の兄との爛れた関係に、広椰は生きることにさえ倦み疲れていた。そんな折、広椰の率いるDOOMに真っ向から対立するチームが現れる。そのリーダー・キリトに、冷たい蔑みの眼を向けられ、広椰は-。池戸裕子が新境地を拓いた衝撃の話題作、大幅加筆して、早くも登場。
霧がすべてを覆う街・ゲシ。巨大企業“ダムラグ”が研究開発中のバイオロイドが何者かに奪われた。その捜索にあたった特務室員・空偽はパートナーのリセルと出会い、“犬”である自分に向けられるその真摯な想いに戸惑うが…。野梨原花南が放つ本格派HARD・ロマンス、全編書き下ろしでBBN初登場。
アリデベルチ・ローマ、両親を殺され、財産を横取りされた薄幸の少女は失意の中でローマを去る。四年後、復讐心を胸に、街に戻った彼女を待っていたのは予想もしていなかった事態だった。“王女”なるが故の過酷な運命。パリで、ニューヨークで、サンフランシスコで、美貌が巻き起こす魔法の出来事。意外な展開の連続に、九百ページがあっという間に過ぎて行く。
アリデベルチ・ローマ、両親を殺され、財産を横取りされた薄幸の少女は失意の中でローマを去る。四年後、復讐心を胸に、街に戻った彼女を待っていたのは予想もしていなかった事態だった。“王女”なるが故の過酷な運命。パリで、ニューヨークで、サンフランシスコで、美貌が巻き起こす魔法の出来事。意外な展開の連続に、九百ページがあっという間に過ぎて行く。
高松を20時36分に出発した寝台特急『瀬戸』は一路、東京を目指した。偶然に個室の向かいあう席に坐った高校時代の同級生の若い男と女。その女が死体となって発見されたとき、列車は、走る“鋼鉄の柩”と化した。女蕩しの民間調査員鏑木一行が、美人の不審死体からバイオレンスな手法で隠れた犯人を割り出す。
元法務大臣・榎木雪夫の孫が誘拐された。1億円の身代金奪取のため犯人が仕掛けた巧妙狡猾なトリック。もうひとつの悪辣怜悧な陰謀。雪夫の義父で“昭和最後の怪物”と呼ばれる政界の重鎮・大河原善造一族の封印された過去が翳を落とすなか、事態は元秘書・平岡道義の業火の記憶と交錯していく。
累計10万部突破のロングセラー! 軍略の才と仁徳を併せもった戦国一の器量人。 官兵衛が荒木村重のいる有岡城に入ったまま出てこない、と聞いた信長は、裏切られたと思い、 直ちに 「官兵衛の子、松寿丸を殺せ」と秀吉に命令した。 しかし、官兵衛を信じる秀吉は竹中半兵衛と謀り、秘密裏に松寿丸をかくまうのだったーー。 秀吉の信任厚く、天下統一に向かって縦横無尽の活躍をした黒田官兵衛。 敵将からもその人徳を称えられた名軍師の生涯を描く長編人物小説。 信長は時代が生んだ天才である。そして天才に相応しく、古いこの国の慣習を根こそぎ改めていった。だが信長には、覇道はあっても王道はない。王道を歩もうとしない王は、いつかこの世から拒まれ、不慮の死を遂げる、と官兵衛は思った。 すると、官兵衛の心中に不逞の野望が芽生えた。 これから天下はどうなる、と思った時、官兵衛は秀吉の耳もとで囁いた。 「との! 天の時が訪れてござる。天下をお取りなされ!」 (本書より) 文庫書き下ろし。
女が我に返った時には、自分の右手に青銅の花瓶をしっかりと握っていた。床には頭から鮮血を流して倒れている男の姿があった。-翌朝、殺人事件の第一報が入り、ただちに警視庁捜査一課は現場に急行した。死体は大型デスクの上に置かれ、殺害場所から動かされていた。奇妙な殺人現場。そして被害者は家具販売会社の専務、戸井村吉継、次期社長の有力候補だった。流しの犯行か怨恨か。捜査は難航し、更に次の殺人事件が。八木沢警部補の「謎を解く鍵は伊豆修善寺に」の推理は果して…。
二十一世紀初頭、多様化、凶悪化する犯罪を未然に防ぐため、日本政府は探偵を国家公務員、即ち「国立探偵」として採用する制度を確立。江戸川乱子は、この難関を突破した現役女子高生にして最年少の国立探偵であるー。全国に展開する多摩総合学園の専属となって二件目の事件は、まだバンカラの気風が残る盛岡の男子校。ひとりの転校生によって学生同士が二派に分かれて対立しているという。一乗寺理事長の強い希望で、乱子は詰襟の学生服に身を包み、男として乗り込むことに…。
チェサピーク湾は「新世界」の揺籃。この地に生きる6家族の400年の営みを描いたミッチナーの長編歴史小説(全4巻)。ある日突然、平和に暮らすインディアンの地に白人入植者があらわれた。「旧世界」の食いつめ者、あばずれたちと、信仰のために故郷を棄て、永住の地を新大陸に求めて大西洋を渡ってきた人たちである。希望と絶望が交錯する「新世界」の黎明。
「人類統合体」の攻撃をようやく逃れたラフィールとジントだったが、不時着した惑星クラスビュールは、すでに敵艦隊に占領されていた。帝国に戻る手段を失った二人は、味方の艦隊が戻るまで、この地に潜伏しなければならなくなった。だが、宇宙空間では無敵だったアーヴの王女も、地上では、世間知らずの少女にすぎない。立場が逆転したジントは、王女を守って行動を開始した。-新時代のスペースオペラ、堂々の完結篇。
弁護士D・T・ジョーンズの事務所に、突然夫から離婚を求められた女性マレスがやってきた。次に酒乱で乱暴者の夫と別れたいという、若く魅力的なウェイトレスのルーシンダが依頼にくる。さらには、離婚後に難病のせいで生活が苦しくなった中年の女性患者エスターのために看護婦リタが相談にくる。ひきもきらない依頼と難問に東奔西走し、現在の恋人と別れた妻のあいだで、右往左往する弁護士の活躍を描く、傑作長篇小説。
娼婦ライラのベッドで、ブリーム神父が腹上死した。“やもめで片目でアル中気味”の私立探偵ラルフ・ポティートは、階上に住むライラの頼みを断れず、神父の死体を教会に運ぶのを手伝う。その直後、彼女の部屋が突然ガス爆発。本人は大火傷を負う。事件に巻きこまれたポティートは、教会と神父の謎を追う。