1996年発売
はなやかに匂う大輪のボタンがしおれるように、三百年続いた「帝国」の寿命がつきた後の中華世界。国土は千々に分裂し、「律令(法律)」は失われ、悪鬼や化生の跳梁を押さえる道士の禁呪も効をなくした、何でもござれの妖しい時代の物語-。新興国家「迂漢」に反旗をひるがえす革命軍の青年首領、乱凌王は、妖異な母、九連玄女の戒めを受け、か弱い少女に変成させられる。そして、運命の糸がもつれるままに、迂漢の後宮におもむく。そこは、黄泉へとつながる怪異な世界だった。命の理はくずれ、生と死の境界が溶解した、トワイライトゾーンそのものだった。
「会いたかったわ、ラリー。すごく会いたかったわ」サマンサは身を床にかがめると、ラリーの股間ですでに45口径マグナムのように堅くなったもの啜った。関係ができて一年たつ前から、事がスタートするとサマンサは大胆な行動をする。それがラリーには気持ちいい。「Mmm…この、この、このやろめ」(『奥様はマジよ』より)サマンサ・スティーブンス、香山リカ、夢野サリー、そして矢吹丈。今なお心に残るあの人たちの知られざる私生活を綴った、ちょっとシュールな短編小説集。書き下ろしカルトガイド付き。
南アフリカ-少女は、悪名高いアパルトヘイトの社会のなかで翻弄されながら育ち、女になり、やがて自分を探す旅に出る…海を越えてみよう…。父親が獄死した今、ひとり残されたローザ・バーガーには、知りたいことがある、それも自分の身体をとおして-バーガーの娘であることの意味。1991年、女性として25年ぶりにノーベル文学賞を受賞した作家の主著。南アでは一時発禁処分を受けたが、今では各国語に翻訳され、20世紀を代表する世界文学の金字塔になった。
「もし今年、あなたが忙しくて一冊しか小説を読めないとしたら、『バーガーの娘』を選ぶべきだ。私はこれまで、文学が人と世界を感動させたのは19世紀までだったと思っていたが、この本は、信じがたいことにそれを覆した」(デイリー・テレグラフ紙)「南アの歴史の描写は人を興奮させ、若くて勇敢な女性のポートレートは心にしみ込む」(ニューヨーカー誌)。ブッカー賞をはじめ、数々の賞に輝くゴーディマの本格的な長編小説をはじめて日本に紹介。
ブローニュの森に住むユダヤ人資産家、フランソワ・ダッソーの屋敷で、滞在客が死体で発見された。現場の三階東塔広間に通ずる扉は固く閉ざされ、鍵はダッソーの書斎の金庫に!さらに一階と二階にはそれぞれ監視の目が…。なんと、奇怪な「三重の密室」が構成されていたのだ!さらに被害者にも隠された謎が…。唯一の手掛かりは、東塔内に残されたナチ親衛隊の折れた短剣のみ…!?現象学を用いて、数々の難事件を解決してきた日本人青年・矢吹駆と、パリ警視庁モガール警視の娘・ナディアが、「三重密室」のトリックと事件の真相解明に挑む!二千数百枚の本格密室推理超大作。
ダッソー邸「三重密室」事件の被害者はナチ戦犯か?容疑がかかる屋敷の主と三人のユダヤ人滞在客は、コフカ絶滅収容所の生存者とその子供と判明。それをもとに事件を追う矢吹駆とナディアは、三十年前のコフカの大量脱走劇の裏で起きた、もう一つの「三重密室」殺人の存在を掴んだ。さらに、二人の前には新たな死者が出現し…。三十年の刻を隔て現われた「三重密室」の謎?二つの密室殺人に底流するドイツ人哲学者・ハルバッハの「死の哲学」の影…。二十世紀の思想史を根底から覆す衝撃の事実とは!ミステリーを世界史と哲学の領域にまで踏み込ませた驚愕の本格傑作推理。
遠い昔、はるか銀河の彼方で…。カーボナイト凍結され、悪の手に落ちたハン・ソロ。その行方を追う我らがルーク・スカイウォーカーは、ランド・カルリシアン、そして宇宙のはみ出し者ダッシュ・レンダーを仲間に加え、ハンを連れ去ったボバ・フェットの宇宙船が潜む星を発見、救出作戦を開始した。一方、悪の秘密結社「ブラック・サン」の首領プリンス・シゾールは、銀河皇帝とダース・ヴェイダーの結びつきを崩し、銀河の覇権を我が物にせんと企む。シゾールが描くヴェイダー失脚への恐るべきシナリオ、それはヴェイダーの息子であるルークの暗殺だった!-映画『帝国の逆襲』と『ジェダイの復讐』の間の空白の一年を埋める正統なる新SWサーガ、ここに登場。
ダース・ヴェイダーVSプリンス・シゾール、火花散る悪の対決!闇の誘惑に惹かれるレイアの運命は!?『帝国の逆襲』と『ジェダイの復讐』の空白を埋める冒険譚。
激動の文化祭も終わり、ほっと一息のしーの。親友のマッキーが他校生からのラブレター攻勢に悩まされているのが、ちょっぴりうらやましい。そんなある日、しーのにも初めてのラブレターが届き、大喜び。でも手紙をもらうだけで満足だったはずなのに、いつのまにか初めてのデートまでセッティングされていまい、またまた大騒ぎ。さあ、どうしよう。
25年目の同窓会。ビーチ・ボーイズの「オール・サマー・ロング」を聴きながら、かつての親友三人組が「ひと夏の旅」を思い立った。TVの取材記者ベン、教師のマイケル、会社を経営するロニー。行き先を決めない自由な旅が始まる。歳月が引き離した友情を取り戻し、新しい恋に出会う夏-爽やかで切ないボブ・グリーンの小説世界。
今から三十年前のパリ。二人の男が一人の女に恋をした。しかし女が選んだのは別の男。失意の二人。一人はそのまま失踪し、もう一人は東南アジアへ旅立ち、マレーシアのゴム園の臨時経営者に雇われ、汗みずくで成功を手にした。そして時は流れ、現代に。相続人の夫妻がゴム園に乗り込んできて、地位に不安を抱いた男は、現地人労働者達を煽動して反乱を企てる。男は武器を調達するため三十年ぶりにパリに戻り、暗黒街とつながる甥を巻き込み、ル・アーヴルから出る貨物船に潜り込んで、いざ出撃。
21世紀、偶発核戦争の勃発により人類文明は崩壊した。残されたのは地球上空を巡る三つのスペース・コロニーと月基地のみ。だがそのおのおのは補給を絶たれ、孤立無援の状況に陥っていた。ロシア人研究コロニーは他国との協力をこばみ、交信を絶った。アメリカの工業コロニーでは生存のため、合理性の権化のような指導者によって常軌を逸した非常手段が取られようとしていた。孤絶した各コロニーに生き残る途はあるのか。
唯一食糧を自給できるフィリピンのコロニーから使者として送りだされたラミス少年は、真空中を帆走する生物を操ってアメリカの工業コロニーに辿りついた。あとはロシア人のもとへ赴くだけだ。アメリカ人により開発された超強靱なハイテクワイアーの存在を知った彼は、大胆きわまりない策を実行に移すー軌道上のコロニーをひとつに結びつけるために。気鋭の科学者作家コンビがサスペンスフルに描く、傑作宇宙冒険SF。
本書は、70年代のもっともすばらしい私立探偵小説といわれる『さらば甘き口づけ』の続篇にあたり、国際推理作家協会が主催するハメット賞を受賞するなど高い評価を得た作品である。魅力的な登場人物たち、想像力豊かで奔放なプロット、詩情豊かな語り口など、クラムリー節は相変わらず健在だ。ハードボイルドの最高峰クラムリーの入魂の最新作。
「あのとき宇宙から地球へ逃亡してきたレプリカントは、六人いたのよ」サラ・タイレルの言葉に、デッカードは愕然とした。「タイレル社に侵入しようとしてまず一人が死んだ。そして、あなたが四人殺した。これで五人、でも、もう一人、六番めのレプリカントがいた。あなたにそいつを捜しだして欲しいの…」あのめくるめく事件から9カ月、オレゴン山中の山小屋でのささやかな安息の日日も、レイチェルそっくりの女性、いまやタイレル社の総帥となったサラ・タイレルのこの言葉によって終わりをとげた。拒絶すれば、死-レイチェルの死だ!かくして、2020年8月、荒廃したロサンジェルスを舞台に、デッカードの新たなる探索が開始された。なんとしても謎のレプリカント-六番目のネクサス6型レプリカントを捜しだすのだ、愛するレイチェルを、そして自分自身を救うために…。