1997年8月発売
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳をお楽しみ下さい。
エドガー・アラン・ポオ終焉の地、米国ボルティモアの郊外で日系人兄妹の住む館が爆破され、沼中に潰えた。テレビ局にかかった予告電話の通り「アッシャー家の崩壊」さながらに始まった事件は、ほどなく「ベレニス」、「黒猫」の見立てに発展、捜査は混迷を呈していく……。オーギュスト・デュパン直系の名探偵がクイーンばりの論理で謎を解く、オールタイムベスト級本格ミステリ。
ハックルベリー・フィン以来の新しい少年像の誕生を予感させるピーター・ルロイ!!何時のことだったろうか、可愛い妖婦グリン姉妹のベッドにもぐり込んだのは-。豪邸ネヴスキー邸が焼失したことが唯一の大事件であるような、のどかな漁村。風変わりなグリン一家との交流-その中で、ちゃっかりとしたたかに成長してゆく少年ピーター。グリン姉妹との幼い性の芽生え-甦る少年の日の甘酸っぱくも、懐かしい冒険の数々…。
浅見陽一郎刑事局長が苦境に立たされた。越前大観音堂に絡む不正を揉み消して欲しいと、地元有力者に圧力をかけられたのだ。彼の前に置かれたのは一体の見事な竹人形。それは昔、父親が馴染みの女性に贈ったものだという。父とその女性に一体どんな関係が?浅見家を脅かす出来事に困惑する陽一郎。弟の光彦は兄の窮地を救うために、北陸へと旅立つ。ところが、光彦も竹細工師殺害事件に巻き込まれ、容疑者として警察へ…。
季節外れの大雪に見舞われた盛岡で、夜間、7歳の少女がひき逃げに遭った。はねられたのは、喫茶店「ドールズ」の経営者である月岡真司の娘・怜。彼女は言葉を失い、一方で“人形”に異様な関心を示しだす。喫煙をはじめとする怜の信じがたい奇矯な行動。さらに医学の常識をこえた不可解な症状が彼女の肉体を襲う。少女の心の闇に何がひそんでいるのか。
幼い頃に聴覚を失った孤独な青年画家・晃次。女優の卵・紘子は必死に手話を習って、愛する彼の心を開こうとする。著者のドラマ制作日記と「手話レッスン」も収録した大ヒットドラマの完全ノベライズ。
唐の高祖李淵は天下統一後、息子たちの争いに心を痛めるが、次男の李世民が権力を掌握、即位して太宗となる。太宗は「貞観の治」を行い大唐帝国繁栄の礎を築く。女帝武則天、玄宗、楊貴妃。安禄山など華麗な登場人物に彩られて歴史絵巻はついにクライマックスへ。
強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。気儖な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟中にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた政変…。度重なる苦境に晏弱はどう対処するのか。斉の存亡の危機を救った晏子父子の波瀾の生涯を描く歴史巨編、待望の文庫化。
太公望以来の斉の悲願、東方の国、莱の併呑。その重責を一身に負った将軍晏弱は僅か五千の兵でそれを成し遂げると宣言した。迎え撃つ莱の智将王湫は一万の精兵を束ね、虎視眈々と斉軍の到来を待ち受ける。圧政に苦しむ敵国の民。彼らの命を何よりも尊ぶ人倫の人、晏弱のとった戦略は凡百の策士には及びもつかぬ大胆なものだった。策略と計略が水面下で激しく交錯する緊迫の第二巻。
戦災孤児だった昭二は、苦学生から花形コピーライターとなり、管理職から窓際に退いて定年を迎えた。昭二の胸に去来したのは、高度成長期に衝撃的な遺書を残して自殺したコマーシャル界の鬼才といわれた男のことだった。激動する時代を夢中で生き抜いた男にとって、仕事とは家族とは真の幸福とは何だったのか。第二の人生にも幸福の選択はあるのだろうか。
初めて独りで寝た部屋の闇、父親に連れられてサーカスを見に行った記憶、体温計を噛んでしまい死ぬのではないかと怯えたこと、母親にうちの子ではないと叱かられた悲しみ、犬をけしかけられた恐怖、友だちとのケンカとかけひき、給食を捨てたこと、兄弟ゲンカ…。少年の日のさまざまな光と影を描く47の小品。
しゃべりのプロだろ、教えてよ-あがり症が災いして仕事も覚束なくなった従弟の良や、気まぐれで口下手なために失恋ばかりしている美女の五月から頼られて、話し方教室を開くハメになった若い落語家の三つ葉。教室には苛めにあってる小学生や赤面症の野球解説者まで通ってきて…。嘘がつけない人たちの胸キュン恋愛小説。
けちな浮気調査で糊口をしのいでいる私立探偵ジャック・フリッポのもとに保険金詐欺の調査の仕事が舞い込んだ。テキサスの田舎町で不審な溺死を遂げた男に、五十万ドルもの生命保険がかけられていたというのだ。受取人は、いかがわしい酒場の経営者エクルズだった。左前になった店を立て直すために、喉から手が出るほど保険金が欲しい様子。プンプン臭う事件を追うジャックに、曲者や俗物たちがからんで、てんやわんやの騒ぎに…。
引退し、今や伝説となった老練の情報部員スマイリーと、新人研修所チーフ、ネッドが明かす、英国情報部の知られざる闘いの年代記ー謀報活動の最前線ベルリンから、忽然と姿を消した気鋭のスパイ。クメール・ルージュに連れ去られた最愛の娘を求めさすらう情報部の協力者。それは、陰謀と紛争に身を捧げてきた者たちの悲哀と感動に満ちた人生の物語でもあった。巨匠がオールスターキャストで贈る、スマイリー最後の挨拶。
ハリー・コーベットは、マンハッタン医療センターに勤める医師。翌日、脳動脈瘤の手術を受ける予定の妻エヴィの見舞いにいき、妻から頼まれた買物をしに外出して戻ってくると、妻が危篤状態におちいっていた。手当のかいもなく妻は死亡する。そのとき同僚の心臓専門医シドニスが、病室から最後に出てきたハリーがエヴィを殺したのだと騒ぎだす。調べてみるとエヴィの点滴に、脳動脈瘤に致命的な昇圧剤がもられていた…。
ハリーの妻エヴィと医師シドニスはずっと浮気をしていたのだ。別れ話をもちだされたハリーが妻と別れたくなくて、妻を殺したのだとシドニスは主張する。妻が浮気をしていた事実さえ知らなかったにもかかわらず、ハリーは第一容疑者にされてしまった。真犯人を探しだそうと独自の調査を開始したハリーはやがて、病院内で暗躍している恐るべき組織の陰謀の渦中に…巨匠ロビン・クックにつづく、ベストセラー作家の話題作。