1997年8月発売
バージルシティの刑事スタンレーは美貌の警視ロスフィールドと肉体関係にある。ロスフィールドにはジン・ミサオという愛人がいた。精神科医のジンは、死者の記憶を読むという特殊な能力に悩むロスフィールドを護る存在でもあるのだ。美しき男たちの危険な三角関係に進展はあるのか-?そして、市内で発生した連続猟奇殺人事件の犯人は何者なのか-。
昭和四十三年十月十一日、東京プリンスホテルでガードマン射殺ー。次いで京都、函館、名古屋と、日本列島を震撼させた連続射殺魔・永山則夫。獄中で執筆した『無知の涙』、獄中結婚、そして死刑確定。これらを通して、永山則夫の“人間”と事件の全貌を鮮烈に描いた、ノンフィクション・ノベルの話題作。
出張途上、スーパーひたち3号の車中から忽然と姿を消した部長。失踪か、それとも何者かに拉致されたのか?しかもライバル企業の担当者まで消息を絶った。社内で起きた事件を担当する総務の「社立探偵」海老寺が難事件に挑む。ハイテク特急でしかありえないトリック、真犯人の予想外の動機…戦慄のミステリー。
幽閉されていたモリタトールの智者シェコヌが救出された。かれの言によれば、タケル艦隊5000隻が封鎖するレイケオ星系の一惑星がタケル人の侵攻計画の要であるらしい。だが厳重に封鎖されたその惑星への侵入は、スペース=ジェットをもってしても不可能だ…かくして、ハール・デフィン率いるサンダーボルト・チームに白羽の矢が立った。だが首尾よく侵入を果たしたかれらが耳にしたのはなんと、ガンヨ再臨の噂だった。
藤堂京太の仕事は人体ロボットの開発。もちろん仕事上は、工業用の溶接ロボットや医学用の人体研究ロボットなど様々だが目下個人的に凝っているのが究極のヴィーナスロボットだ。美しく官能的なロボットを製作するため、彼は週末の休日を返上して、最高の女性を探求すべくソープ嬢から未亡人、人妻から金髪女性まで調査を始めたが…。エロチカ怪傑作。
五歳の息子サミーを一人で育てるワーキング・ウーマンのメラニー。野外授業の当日、サミーはジャックのせいで船に乗り遅れてしまう。メラニーは今日がビッグ・プロジェクトのプレゼンで、人気コラムニストのジャックは五時までに市長収賄記事の証拠を用意しなくてはならない。たがいに反感を持ちながらも、ふたりは大事な一日を乗り切るため協力することに…。都会の大人のロマンティック・コメディ。
「かわいそうに、ディグナム!」-リアポウルド・ブルームは長い一日の放浪に旅立つ!6月16日の朝、ブルーム氏は猫にミルクをやり、肉屋の店頭で隣家の女の尻に見蕩れ、妻のモリーに朝食を作り、密かな文通相手マーサの手紙を受け取り、友人ディグナムの葬儀に加わる。-最も偉大な平凡人ブルームがそのリアルな姿を現す、スリリングな旋律に満ちた第二部冒頭三挿話の正確無比の演奏。
昭和20年5月18日、サイパン島に地鳴りが響きわたる。米艦隊による艦砲射撃の凄まじき轟音であった。容赦のない鉄のスコールが日本軍に降りそそぐ。マリアナ諸島を守備する中部太平洋方面艦隊司令長官、山口多聞中将の顔色も冴えない。頼みの綱であった連合艦隊は、横須賀ですでに壊滅していた。孤立無援-それが、中部太平洋艦隊の置かれた状況であった。反撃もままならぬまま、同月21日未明、山口司令長官は唇を噛みしめ、サイパン島をあとにした。マリアナ諸島は米軍に制圧され、新たなる強兵の配備が開始された。それは、日本軍の誰も目にしたことのない、巨大な爆撃機であった。
喫茶店「花隈」の従業員・小野季夫は経営者の佐久間玉恵から店舗を引き継ごうとして、契約を焦るあまり、不動産屋と弁護士の甘言にはまり、訳のわからない即決和解に同意してしまった。小野が騙されたと気づいたのは、それから二年後、店舗の明け渡しを求める内容証明を送りつけられた時だった。このままでは店が…。小野は悪徳弁護士に孤独な闘いを挑む…。
男気あふれる可愛い高校生・真琴は、ハードボイルドな同級生・磯貝則夫が大好き。やっとつかんだ初デートだが、向かう途中にバイクが転倒、真琴は海へとまっ逆さまに!その瞬間、光と共に現れた不思議なタコは、真琴の体が欲しいと言い…。
好奇心旺盛な高校2年生・岡本柾の恋人は、叔父であり四方堂重工社長でもある四方堂貴之。ある日昏睡状態の同級生の見舞いに行った病院で、ルポライターの草薙と再会した柾は、同じように意識不明に陥る若者が急増していることを聞き-。
その人は、夏草の群れの中で汗と熱気に捕らわれて立っていた-。大学二年の夏、入野勝彦はSF作家・橘田千明のもとでバイトを始めた。子供のような橘田に苛だち、その妻に惹かれていく勝彦。だが、本当に惹かれていたのは-。
志と情熱に燃える主人公、マーティン・アロースミスを取り巻いている環境はけっして恵まれたものではなかった。拝金主義と俗物根性にまみれた医療界。そして、マーティン自身も恋愛や結婚などで危ない綱渡りをくりかえしたり、融通のきかない性格のために周りからうとんじられたり、四苦八苦の生活がつづく。のちにペストの療法に情熱を燃やすが、それでも彼の胸は空しい。1930年にノーベル文学賞を受賞したルイスが医学界に足を踏み入れた青年の理想と現実のギャップに、伝染病の流行や恋愛を多彩にからませて描いた風刺小説。ピュリッツァー賞を辞退した幻の傑作。
ピンク・レディーの「さよなら公演」が後楽園球場を満杯にしたその当日、新宿・歌舞伎町のライブハウス前では、ジョー小峰をひと目見ようと、小雨のなか長蛇の列が出来ていた。昭和55年から始まった素人芸を全面に押し出す漫才ブーム。テレビに席巻されたお笑いの「55年体制」に逆らうように、鋭利なジョークを飛ばし続けた天才芸人の栄光と挫折。長年の沈黙を破って荒木一郎が世に問う、待望の書下ろし小説。
チンパンジーの言語能力を研究する科学者・井手元のもとで飼育されている天才チンパンジー、カエデ。人間の言葉を理解しているというカエデは、ある事件の唯一の目撃者だった?!井手元が失踪した今、残されたチンパンジーだけが事件解決の鍵を握っている…。ヒトとチンパンジーの混血種は言葉を持つことができるのか-科学者の野望が渦まくなか、物語は、二転、三転。「知性」という名の密室に挑む、超絶ミステリー。