1998年2月発売
コギャルの赤ずきんに翻弄される中年狼の物語。『ソフィーの世界』の訳者・池田香代子と稀代の絵師・スズキコージが、がっぷり四つに組んで贈る究極のパロディ・メルヒェン。
耳を澄まし心を開けば、見えないものが見えてくる。目はよく見えないけれど優れた聴力と観察力を持った少年は、族長の弟とともに「水の国」をめざし旅にでる。森の奥深くで少年が見つけた限りない世界。
切り離しては考えられない&で堅く結ばれた夫婦ロビンとジリアン。可愛い息子たちにも恵まれ、充ちたりた生活のはずだったが。人生は時として過酷な運命を課す。ジリアンが乳癌に…。息をひそめて温かく病状を見守る家族。だが、出張先のパリで出会ったクララにロビンの心は大きく揺れる。
最終戦争ですべてが崩壊し、廃墟となったアメリカで、人々は小さな集落をきずき、やっと生きのびていた。ゴードンは、そんな世界をひとりで生き抜いてきた男だった。だが、山中に遺棄された郵便配達のジープを発見したとき、彼の運命は大きく変わった。郵便配達の制服を着たゴードンは、アメリカ再建をめざし、孤立無援の戦いに挑むが…キャンベル記念賞、ローカス賞受賞、ケビン・コスナー監督・主演で映画化の話題作。
独裁政治と貧困にあえぐカリブ海の小国ガナエ。教職にある司祭のミシェルはある日、寒村から一人の若者ジャノーを連れてきた。ジャノーは優秀な学業成績を修めてカトリツクの僧になり、貧しい黒人を救う活動を始めた。そして、圧倒的な支持を得て彼は選挙で大統領に就任、ついに改革に着手する。だが、旧支配層や軍部の反発は激しく、クーデターの危機が!理想の政治をめざす男の熾烈な闘いをサスペンスフルに描く力作。
現代のミステリ界は“女性ミステリの新時代”ともてはやされるほど多くの女性作家たちが活躍している。それでもなお、小説や映画にいちばん多く登場する女性のタイプは、娼婦や残忍な殺人事件の被害者というのが現実でもあるのだ。本書にはそんな間違った認識と闘い、“自分の芸術を愛する”女性作家26人の短篇を収録してある。『ウーマンズ・アイ』に続き人気作家パレツキーが編纂したオリジナル・アンソロジー第2弾。
犬小屋や郵便受けが爆破される事件が相次ぎ、図書館の館長ジョーダンは運悪く腕に怪我をしてしまった。そんな時、土地開発会社に勤めるジョーダンの昔の恋人が上司と一緒に現われ、開発をめぐって町は大騒ぎに。そしてついに殺人が起き、さらに新たな爆破事件で死者が…アガサ賞、マカヴィティ賞受賞作『図書館の死体』に続く人気絶頂のシリーズ第二弾。
マンハッタンの地方検察庁で性犯罪訴追課を率いる地方検事補アレックスは、とある早朝、新聞で自分自身の殺害を報じる記事を読む羽目になった。高性能ライフルで顔面を吹き飛ばされた女性の死体が、アレックスの別荘で発見されたからだ。殺されたのは、アレックスの親友で人気映画女優のイザベラだった。ストーカーに悩まされていたイザベラは、一時的に身を隠すため、アレックスの別荘を借りていたのだ。彼女はアレックスと間違われて犠牲になったのか?だが、殺されたイザベラが別荘に男を連れ込んでいたことが判明し、事件の様相は一変する。事件後に姿を消したその男が犯人なのか?その正体は、別れた夫か、ふられた恋人か、あるいは謎のストーカーか?混迷を深める事件と、山をなす日常業務に忙殺されるアレックスだが、やがて予想外の容疑者の出現で、窮地に立たされることに。犯罪多発地帯マンハッタンで、日夜卑劣な性犯罪と闘い続ける、ニュー・ヒロイン登場。期待の新鋭が自身の体験を生かしてリアルに描く、闘う地方検事補アレックスの活躍。
ロシア・アメリカ初の共同宇宙遊泳を目指すスペースシャトル『アトランティス』の打ち上げが目前に迫っているケネディ宇宙センター。すでに宇宙飛行士たちはシャトルに乗り込み、着々と打ち上げ手順は進んでいく。上院議員ボーアマンとロシア特使トロフキンという大物政治家をも発射管制室のVIP招待席に迎え、発射の緊張感はいや増しに高まる。そんななか、テロリストの一団が発射管制センターを占拠した。しかも発射目前の『アトランティス』の外部燃料タンクの先端にもプラスチック爆弾が仕掛けられている。人質解放のための要求は莫大な量の宝石。アメリカは国の威信をかけ、空軍特殊部隊やエリート憲兵隊など軍の先鋭隊をテロリスト制圧のため、投入した。だが、アサルトライフル、スティンガー・ミサイルで武装し、猛毒ガスまで有する敵の反撃に手も足も出ない。一方、自らの軽率な行動による怪我のため、『アトランティス』司令官の任を解かれ、ひとりケープ・カナヴェラルの沼地で発射を見物しようとしていたアイスバーグは異変に気づいた。恋人ニコールを含む人質救出のため、素手の男の闘いが始まった。
病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は、幼いころから「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女はいま深い眠りの底にいた。キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語を語りはじめる。「二人を殺したのは夫のロジャーだ」と。だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが…。やがて明らかになる、想像を絶する真相とは。
排水量七万二千トンの巨大要塞として生れ変った長門改は、昭和18年8月、東部ニューギニアの拠点ポートモレスビーを目指して、米内光政提督指揮の下、サンゴ海を進撃していた。折から、ポートモレスビー上陸作戦の参謀長として石原莞爾が現役復帰をはたした。石原はかつて、その才を妬んだ東条英機と対立、予備役に編入されていたのだ。しかも、山下奉之大将が上陸作戦の軍司令官を務め、15万から20万の大兵力を率いることになったのだ!迎え撃つマッカーサーの戦略とは?決戦の行方は?怒涛の完結篇。