1999年10月15日発売
ベッドの上に白くすらりとした脚が見える。向かいのアパートの201号室に目が釘付けになった。怪しい欲望がどんよりと体を駆けめぐる。あちら側からは見えないはずだー屋根裏部屋から覗く男と覗かれる女の妄想がエスカレートし、やがて悪夢のような惨劇が。折原ワールドの原点ともいうべき傑作長編。
32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。
ブロンドで青い目をした楽天家デリー、長い黒髪の教養あふれる画家ノラ、赤毛で歌やダンスが得意な女優志望のベラ、すべての男を憎む乱暴者ジンクス。サリーは自分に耐えられない事件にでくわすと、無意識のうちに四つの人格のいずれかにスイッチしてしまう。これが記憶喪失の原因だった。ある事件をきっかけにサリーは、精神科医ロジャーの治療をうけることになるが…五重人格のサリーの心の軌跡を鮮やかに描く感動作。
仕事も恋愛もうまくいかない中年男ディガーは、不思議な白昼夢の中で“魂の案内人”と出会い、万物を支配する驚くべき原理を教えられるが…。『聖なる予言』をしのぐ自伝的スピリチュアル小説。
愛人の川北留次から「女房を殺してしまった」と電話で告白された斎藤マリ。彼のアリバイを偽装工作するため、被害者に変装して、東京から高山までの道のりを単独でドライヴすることに…。しかし、銀色のブルゾンを着たオートバイ男の尾行や、謎の脅迫状、レストラン店員の不可解な言動など、数々のトラブルがマリを襲う!鬼才が放つ、本格カー・トラベル・ミステリー新装版。
杭州は南宋時代の首都である。蘇州とともに名園の多いところで、神戸の華僑・銭延真の故郷でもあった。みごとな菊づくりで知られる銭は、杭州で庭園づくりに励み、その熱意と抜群の感覚に師匠から庭園づくりの一切を託された。心魂を傾け思う存分腕を振るう銭であったが、依頼主が初恋の人を奪った政商・李巨元と判ったとき、ある怨念が胸に宿る。そして名園「菊花園」は完成した…。表題作ほか六篇を収録。
ワシントン発ロス行きの旅客機が謎の墜落を遂げた。乗客は全員死亡。優秀な女性弁護士シドニー・アーチャーは、乗客名簿に夫ジェイスンの名があることを知らされる。夫の葬儀の日、悲嘆に暮れる彼女のもとをFBI捜査官リー・ソーヤーが訪れる。旅客機墜落の裏には、二大コンピュータ企業による買収競争とそれにまつわる陰謀が渦巻いていたのだ。夫はその事件に関係があるらしい。傑作サスペンス巨篇。
罠にはめられたジェイスンが、失踪直前に自宅宛てに送ったフロッピー・ディスク。拉致される直前に、誤ったアドレスに送付したEメール。買収工作の全貌を明らかにするこの二つの“爆弾”を巡って、シドニーと巨大情報通信企業、そしてFBIによる熾烈な争奪戦が繰り広げられる。世界の全面支配をもくろんだネットワーク犯罪を果たして阻止できるのか?全米ベストセラーついに邦訳。
1828年9月、ロンドンとヴュルツブルクで二人の男が妻を残して死んだ。二つの遺言が次々と驚くべき事件を引き起こす。貴族から身を落とした高慢な未亡人が「ボルジアの毒」を手に生と死をあやつり、権力の亡者となって破滅へとむかう。女の執念と悲劇が、作者独特のユーモアをまじえて展開していく。精神病院から救い出された小男、高潔な信念を持って意志を貫く行動派の女性実業家、錬金術に没頭する謎の科学者、生涯一度の恋に溺れる純朴な老人…。個性的なキャラクターたちがドラマを一層引き立てるコリンズ晩年の秀作サスペンス。