1999年1月発売
義父と嫁の禁断愛、嫁と母親の三角関係愛、女子大生と変態男との異常愛、かつての同棲相手で人妻となった女との不倫愛ー。肉体の絡み合い、肌と肌の接れ合いでしか確かめられない男と女の関係。現代の不安定さの中で激しく熱く燃え上がる愛欲シーンを存分に描いた珠玉の官能短編の数々。じっくり、たっぷり、人生の欲望図が味わえる珠玉のアンソロジー全10編が勢揃い。
さわりたい…あたしは溶けだすように泣いた。この本を見て、何か少しでも感じるなら、読んでみてください。あなたがいくつであっても男でも女でも、きっとあなたのことが書いてあるから。
竜飛の海に浮かぶ死体…。京都の出版社の取材記者片山由美は、カメラマンの野木と青森県の竜飛岬に行き、民宿に泊まった。老夫婦や兄妹、不倫関係など様々な五組のカップルと一人旅の女性が同宿。翌朝、海岸で女性の溺死体が発見された。頭にある打撲傷から殺人の疑いが。
車の販売会社に勤める凡庸な兄ヒューと宇宙物理学者の妹ドルシー。物語はこの二人の人生行路を逆行し、やがてドルシーの誕生の瞬間に至るまでの出来事を主軸として展開される。二人の周辺に出没するエキセントリックな人間たちが演じる奇妙な日常、さりげなくスケッチされる現代アメリカ社会の諸相、折々に引用されるボードレール、ダンテ、ニーチェ、オッペンハイマー。著者は、理論物理学、哲学、宗教、文学、芸術にかんする驚くべき知識を駆使しつつ、さまざまな人物たちが放つ縦横無尽の「光」を淡々と叙述する。著者の創造する時空の淵源に接した読者は、そこに広大な宇宙空間と自己自身の内なる「光」を再発見することだろう。各章ごとに短篇小説的な完結性がみられる作品であるが、全体を通読することによって壮大な心象風景が知らぬ間に形成される濃厚な小説である。USAトゥデイ、ワシントンポスト、デトロイトプレスなど、全米のメディアが絶賛した異色の長編小説。
夢を追うのか、現実に身をゆだねるのか。生き残るためにはどちらかを選択しなくてはならないのか。時代は高度成長期、舞台は唯一衰退していく映画産業界。映画に情熱を賭けつつも、会社という組織に生きた男の夢と挫折。そして未来には何があるのか。バブル崩壊後の時代を先取りした、著者会心の大作、700枚。
過疎化に悩む町が仕掛けた捨て身の町おこし運動。それに青春を賭けるプータローの若者。行き詰まった産業廃棄物業者、そして、新興のカルト教団。ある土地をめぐってこの四者が偶然に出会った時、物語が動きだした-。第3回新潮ミステリー倶楽部賞受賞。
鮮血にまみれ、白骨があらわになった死体!自らの肉体を切り刻む女!魔の奇病が突如出現し、日本はパニックに陥る。蔓延する戦慄の病魔とその謎に、気鋭の植物学者、五十嵐雄次が迫る。ボルネオ奥地の伝説と世界の先端医学が交錯した時…次々と起きる奇怪な死の裏側に、とてつもない巨悪が蠢いていた。推理界の巨匠、島田荘司が絶賛した、現役医師が著した第三回新潮ミステリー倶楽部・島田荘司特別賞受賞作品。
始まりは深夜の電話だった-。七年前に別れた息子が誘拐された。事件の解決を待たずに別れた妻も失踪した。ありきたりの推理を嘲笑う展開。男の胸を騒がす血と絆のドラマ。第三回新潮ミステリー倶楽部賞、高見浩特別賞受賞作。
鬼(ゴースト)。おれが還暦になったとき見えはじめた奇妙な寄生生物だ。そいつが、目黒川に浮いた首と両手のない屍体を見つけた-警官上がりの血が騒ぐ私立探偵・前田太一は、相棒のゴーストとともに危険に満ちた事件に飛び込んだ!被害者は晴友銀行の総務部長代理・高井。犯人は中国マフィアの二人組とすぐに判明した。ところが、この事件の背後に、晴友銀行の巨額の裏金を巡る恐るべき陰謀が隠されていた。続出する犠牲者。太一は潜入捜査に挑むが…!?ときにユーモラスに、ときにスリリングに、練達の筆が冴える!シルバー・エイジのタフ・ガイの活躍を、痛快に描く長編ミステリー。