1999年8月5日発売
カニスの血を嗣ぐカニスの血を嗣ぐ
嗅覚が極度に発達した隻眼の男・阿川。彼は死んだ犬に付いていた匂いを、バーで出会った女に嗅いだ。が、一夜を共にした後、女も急死。悲劇の香りを辿れば、そこには男を破綻させた過去と女の一家の不幸があった。カニス、ラテン語で犬。昏い伝言を嗅ぎ回る男にも魔手が迫る。幻想にむせ返り、心震える傑作。
蛇を踏む蛇を踏む
藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。
妖獣世紀アウロ-ラ(3)妖獣世紀アウロ-ラ(3)
21世紀初頭に起こった核戦争と、その影響で出現した「妖獣」により、人類はその数を大幅に減らし、種としての存続が危ぶまれていた。荒野となった地上に君臨する妖獣を捜索・攻撃する特殊部隊「アウローラ」は、人類の居場所を作るべく、休む間のない戦いの日々を過ごしていた。ある日、アウローラ隊隊長沖原は、独立を主張している都市「ラオディキア」の捜索を命じられる。沖原は、そこで、不吉な予言と、得体の知れない不気味な物体の動きを察知する。そして、ジェネシスと妖獣の存在に係わる秘密が、暴かれていく…。シリーズ最終話堂々の完結。
イマ-ジュイマ-ジュ
三人の男女が織りなす「純愛」と「エロス」。ジャンを深く愛しながらも、屈折した自己愛ゆえに極端なまでにその感情を抑制するクレール。彼女はその反動から年若い友人アンヌの美しい肉体をおもちゃのように弄ぶ。そんなクレールに対して絶対服従の姿勢をとりながら、いつしか禁断の快楽の影の支配者となるアンヌ。恋愛の深層心理を描ききった、果てしなく甘美な物語。
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