1999年発売
天性の政治家、南部小州の民主党知事ジャック・スタントンは、聡明な妻スーザンと抱いた夢を実現すべく、大統領選挙の予備選に出馬した。彼は有力候補として快進撃を始める。が、やがてヴェトナム反戦逮捕疑惑、徴兵忌避疑惑、さらに不倫疑惑と、次々とスキャンダルの嵐に襲われる…予備選を戦い抜く知事夫妻と選挙スタッフを、若きインテリ黒人の選挙参謀の眼を通して描く話題作。映画化名『パーフェクト・カップル』。
スタントン陣営はスキャンダル潰し専門の“ゴミ掃除人”を投入して、不倫疑惑問題を解決した。だが、喜びもつかの間、今度はスタントンの子供を妊娠したという女性が現われる。さらに、思いもよらぬ強力な対立候補が登場した。しかも支持率が低下する中、ついに有能なスタッフの辞任まで起きてしまう。窮地に陥ったスタントンは、反撃に転じることができるのか?大統領選の真実の姿を生き生きと描き出す政治小説の傑作。
エリザベス女王の別邸での休暇が台無しだーティアラまでつけた女王そっくりの死体が、領内で発見されたのだ。最近、王室を攻撃していた過激団体の仕業なのか?メイドのわたしは女王の命令で、密かに調査を始めた。やがて、死んだ女性の謎の多い生活ぶりが明らかになるが、その直後、第二の殺人が!小粋なメイド探偵ジェインの活躍を描くシリーズ第二弾。
32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン-。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ-。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
豊科署の刑事・道原伝吉もひいきにしている信州・安曇野のそば店「波奈屋」の社長梅村尚子が、豊科署を訪れた。支配人の沢尻が、従業員の給料と、造園業者などに支払うため銀行からおろしてきた約三千万円とともに昨夜から行方不明だという。持ち逃げするような人間ではないようだが、金庫の番号は知らないはずだという。ところが、牛山刑事が一週間前に、乗鞍岳で沢尻の姿を見かけていた。二人連れだったようだ。事件は複雑に絡み合って、連続殺人へ。
バブル崩壊後、冬の時代を迎えた不動産業界にあって、城東不動産の若き営業課長・東堂彦馬は野望に燃えていた。東洋の仕手師として米国で大成功を収めた実業家・醍醐大五郎が帰国し、都心の土地を買い上げ巨大ビルを建築する構想をぶち上げたのだ。米国人妻を亡くし、帰国後はたおやかな大和撫子と余生を過ごしたいという醍醐の希望を叶えることによって大型プロジェクトを自社に導くため、彦馬に白羽の矢が立った。美貌の女取締役を軽々昇天させ、密命資格を得た彦馬は花嫁探しに乗り出す。米国仕込みの醍醐を満足させる名器の持ち主は見つかるか?長篇痛快官能サクセス。
甲賀出身で比叡山の薬樹院に学んだ施薬院全宗は、師・曲直瀬道三を踏み台に豊臣政権の中枢に食い込む。秀吉の筆頭侍医となった全宗は竹中半兵衛、黒田如水、石田三成等の名だたる側近の中で異彩をはなち、天下統一、世継問題に重要な鍵を握った。今まで歴史の表面に登場したことがない、知られざる名参謀の野心と乱世を見事に描ききった話題の傑作長篇。
挑発的だが媚がなく、冷たく澄んだ眼差しのアリスはアリゾナから来た“キコク”。美少女転校生へのやっかみから、アリスは、男をとっかえひっかえ遊びまくって家出し、日本に戻ってきた淫乱女、という噂を立てられた。でも、アリスはこの学園で恋に落ちたー。恋をする者、嫉妬する者…誰もが様々にやけっぱちになる高校生たちの学園恋愛小説。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い」この一行に、大きな謎が仕組まれていたとはー。上海の街に苦沙弥先生殺害の報せが走り、猫の「吾輩」はじめ、おなじみ寒月、東風、迷亭に三毛子、さらには英国猫のホームズやワトソン、シャム猫の伯爵など、集まった人が、猫が入り乱れ、壮大な野望と謀議が渦を巻く。卓抜な模写文体とロマンで、日本文学の運命を変えた最強のミステリー。
音楽家・坂本龍一が書きとめた夢の断片。小説家・村上龍はそれをモチーフに、原稿用紙4枚という物語を30編、創り出した。モニカは小説家の創造力を刺激する、象徴としての女性。様々な物体や感覚的なものに姿を変え、物語をリードする。二人のハイパー・アーティストが交流して生まれた奇跡のコラボレーションが、甘美で危険な幻想短編集として結実した。村上龍撮影の写真も満載。
ぼくは騒音測定の仕事をしている。恋人のフミとは同棲中だけど、最近はキスも拒まれてうまくいってない。それでテレクラ嬢のマリコとよく会っている。見えない音をかたちに表す“音の地図”作りが趣味だ。そんなある日ぼくはふとした盗聴をきっかけにフミを疑い始めてしまったー。聞こえているのに聞き分けられない、愛しているのにつかまえられない。都会に潜む声と恋を追い求める長編。
浜名湖畔の料亭「花ずみ」。ある日、名女将の後を継いだ旬平から、妻の通子に奇妙な電話が入る。指示された駅で出迎えた初対面の女は、通子に言った。「私、ご主人をいただきにきました」-。取り出した離婚届には紛れもない旬平の署名。こうして、平凡な主婦に甘んじていた通子の闘いは始まった…。愛とビジネス、度胸と意地。女のすべてを描ききり、柴田錬三郎賞を受賞した快作。
陛下、金木犀の香りに包まれて、あなたに愛されたい…陸軍中尉・剣持梓は、幼い頃から繰り返し見る幻の中で、陛下への熱い思いを募らせてきた。青年将校たちの間で昭和維新が熱っぽく語られる時代、心ひかれる存在・北一輝との交流を経て、梓は静かに“叛乱”に身を投じてゆく…。史上希有な“官能的事件”ともいうべき二・二六事件の外伝、そして甘美で衝撃的な恋愛物語。
幼い息子を踏切事故で亡くしたメンリーは、娘ハナに恵まれた今も罪悪感に苛まれ続けている。童話作家である彼女は、療養と執筆を兼ねて、夫の生まれたケープ・コッドの由緒ある家で夏休みを過ごすことにした。夫の留守中、彼女は列車の轟音や、亡くなったはずの息子の声を聞く。これは現実なのか、悪夢なのか。しだいに自制心を失っていくメンリー…。息もつまる迫真のサスペンス。
バンディッツとブーマーズによるワールド・シリーズ、いよいよ開幕!ところが、練習が行なわれていた球場の地下通路でバンディッツのオーナーの他殺死体が発見される。そのこめかみは硬球の形に陥没していた。両軍の首脳陣・選手には、傲慢なオーナーに恨みを抱いていた者が多数。新聞記者マーク・バーは独自の取材を開始した…。大リーグ史上に残る名投手が描いた豪速球ミステリー。
イタリアの少年エンリーコが毎日の学校生活を書いた日記と、あのジェノヴァの少年マルコが母親を捜して遠くアンデスの麓の町まで旅する『母をたずねて三千里』など、先生の毎月のお話九話。どれも勇敢な少年と、少年を見守る優しい大人たちとの心のふれあいを描く不滅の愛の物語です。どこの国でも、いつの時代でも変わらない親子の愛や家族の絆の強さを、読みやすい新訳でお届けします。