2000年11月発売
派閥争いから懲戒解雇の脅しをかけられたエリートサラリーマン課長が、身の潔白を明かすべく壮大な闘いに起ちあがるー表題作をはじめ、サラリーマンの琴線にふれる六編を収録。初めて文庫化された、短編でしか味わえない、原酒の濃密さにあふれる「高杉良の世界」。企業社会の光と影を活写した短編全集全三巻刊行中。
T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。
青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。浅田次郎が始めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。
太宰治心中事件の謎は、死後、半世紀を経たいまも封印されている。「井伏(鱒二)さんは悪人です」が、太宰の自殺にどう関わっているのか。死ぬ直前に溢れ出た想いが遺書に込められたとすれば自殺の動機に含めぬわけにはいかない。太宰治の「遺書」の謎に迫る本格評伝ミステリー。
かつてニューヨークを支配して、大いに権勢をふるい、平和裡に隠退した、マフィアの指導者、ドン・アプライルが、白昼、街中で射殺された!しかも、常に彼を監視下に置いていたはずの警察もFBIも、なぜかこの日に限っては姿を見せていなかった…銃撃事件の背後には、かつてのドンの仇敵の存在があり、さらに強大な敵の影も見え隠れする。大恩あるドンに報いるため、そして愛する家族を守るため、アプライルの甥で、ドン・ゼノの実の息子、アストーレの胸の奥のシシリー魂に火がついた…世界的ベストセラー『ゴッドファーザー』の著者マリオ・プーヅォが、最後に放つ大作。
フリーターのニコラは、ひょんなことから世界的大企業社長フレデリック・ドラモンのパーソナル・テイスターに雇われた。自分の好みを殺して相手の好みを我がものとしたニコラは、食事だけでなく、映画、書物など、あらゆる私的活動に関して味見役を担っていく。だが、次第に過激になっていくフレデリックの要求に応えきれなくなったニコラが彼のもとを去ったとき、恐ろしいことが…。人生の美食を追求する富豪。それを完璧にする試食家。二人がたどる奇妙で危険な関係。サイコティックでセンシュアルなサスペンス。2000年フランスコニャック国際ミステリー映画祭グランプリ/批評家賞受賞作品の原作。
天才数学者ハリ・セルダンは、第一、第二両ファウンデーションの設立に向け、着実に準備を進めていた。若手数学者ガール・ドーニックの帝都トランター来訪をきっかけとして、リンジ・チェン公安委員長によって予定どおり告発され、帝国の滅亡を予言した咎で裁判を待つ身となったのである。すべては心理歴史学の数式の示すとおりに進んでいるかにみえた。だがそのとき、彼の数式では予測できぬ出来事が、トランターで発生していた。それは、ファラド・シンター顧問官によるロボット狩りであった。帝国内で暗躍しているにちがいないロボットたちを捕え一掃することで、シンターは皇帝に取り入り、政敵チェン公安委員長の失脚をもくろんでいたのである。ロボットを見分ける唯一の手段が精神感応能力であると考えたシンターは、強力な精神感応能力を持つ女ヴァラ・リソを使って次々にロボットを抹殺していく。だが実際に殺されていたのは、第二ファウンデーションの要となるはずの精神感応者たちであった…。
早春の軽井沢。広告代理店「日広」のCMプランナー・戸嶋大作は、恋人の霧島純花を乗せ、車を走らせていた。早々と仕事をすませ、濃密なデートを楽しもうという計画だ。大作は、別荘の玄関に男の顔が浮かび上がっている心霊写真を純花に見せた。TVの怪奇現象特集でこの写真を紹介したら、女の声で怪電話が入り、写真の男は行方不明中の大作の知人だという。問題の別荘に立ち寄った二人だが…。書下し。
本書は、ルーシー・モード・モンゴメリが著したアン・シリーズ8冊の中から、特に美しい自然描写を抜粋してまとめたものです。アン・シリーズに引用されている他の作家の説明も入れてあります。モンゴメリの豊かな風景描写を、アン・シリーズで登場する月や季節に合わせてまとめました。空白部分は、皆さんが書き込むスペースです。
祖母・持統天皇から「氷高を長屋王に婚姻せたりはしません。あの皇女は、もっと大変なことが出来したときに重要な地位に即いてもらわねばなりません。誰彼の妃になどしてはならない」と命を受け、母・元明天皇から「私が生きているあいだは、不比等はお前を御位から下ろすことはできますまい。お前は推古様のように長生きして、長く皇位に即いている必要があります」との言葉を受けて、政争のただ中に、氷高皇女は即位する。生涯独身だった美しき女帝をとりまく、不成就の恋の歌。政争と不思議なめぐり合わせで、祖母、母、娘と三代の女性がつづいて皇位に即く。氷高元正天皇の波乱の生涯。
蠱惑の極みの陶酔…異母妹?!美花はもう、茂樹のすべてだった。罪悪感が、二人の果てなき愉悦の火種となった。フランクフルトへの転勤を前に、茂樹は辞職を決意する。生活の糧とすべく、二人は岬の家の近くに廃屋同然のかやぶき農家を移築して改装し、旅館業を営む決意を固めた。準備をすすめる中、美花は自分の出生の謎を記した茶封筒を手にする…。
「わたしと結婚すればいいのよ」-大胆なマーシーの言葉に,チェイスは自分の耳を疑った。不動産仲介で大成功した彼女は、チェイスの会社に資金援助をするという。彼はまだ愛する人を失った悲しみから立ちなおっていない。しかも彼女には不気味ないたずら電話がかかってくる。周囲の心配をよそに、二人は新婚の夜を迎えた…。全米で100万部突破の、愛とサスペンスに満ちた傑作。
謎の古代遺跡テグタニオ空間の刺客であり、娘であるチュリアと対峙したはずのレインは、なぜかその後の記憶もなく、1991年のアメリカの独房で目を覚ました。精神異常の無差別殺人犯として拘留されているレイン。西暦2500年の未来世界での壮絶な戦いは、すべてレインの妄想だったのか?圧倒的スケールで迫る、シリーズ最終作、堂々の完結。
現世に這い出てくる妖や邪神を斥ける斬神斬妖の一族。その末裔に生まれながら、未熟さ故に虐げられていた少年ー捨那は、『鬼の力』を得る為に、唯一心を許せる真凪とともに伝承に残された「鬼姫」のもとへ向かう。だが、戦鬼となった代わりに捨那が払った代償はあまりに大きなものだった。もはや捨那に振り返る故郷はない。現代の闇に闘うモノどもを流麗な筆致で描くダークアクション登場。
不幸なファーストコンタクトから、那国文明圏とエキドナ文明は交戦状態に陥った。千年単位での技術格差によって、那国は圧倒的優勢のまま王都ルゴフを制圧。ここにエキドナ文明ルゴフ王国は陥落した。しかし、コミュニケーション手段として投入した翻訳機が誤訳の嵐で、交渉すら頓挫していた。そのころ筆頭教授マーサは、遺跡から発掘された遺体が、我々人類とほぼ同じ遺伝子パターンを持つことを発見する。大好評シリーズ待望の第二弾。
今から五年前、日本全土を襲った大地震。誰もが“感じた”地震だったが、不思議なことに何も被害はなかった。幻覚地震と呼ばれるその地震の後、今まで目に見えなかったものが、日本各地に出現するようになる。魔物、妖怪、物の怪などが現実の世界に現れたのだ。あるものは、徒党を組んで人を襲い、あるものは、人に憑依して人肉を喰らう。妖怪と人間の怪異な世界を描く、書き下ろし長篇スプラッター・ホラー。