2000年4月発売
名君武帝の黄金期をすぎ衰退した前漢は王莽の簒奪を許す。新を倒した光武帝は後漢を復興するが、国は乱れて曹操、劉備、孫権の三国時代へ。そして魏から晋へと移り、大分裂のあと隋を経て「花咲く長安」の唐王朝が誕生する。覇権の交代、熱源を産む。分裂と統一を繰りかえし最も波乱に満ちた時代を活写。
子猫を殺し、子犬を殺す。いい人も、悪い人も、子供も大人も、殺して殺して殺し抜く。殺しすぎだぞ倉阪。いったい誰が生き残るんだよ倉阪。死体の山を築いて爆走する戦慄のローラーコースター。おねがいだれかわたしをとめて。どうにかしてくれ、いやに単調なメロディの童謡が耳について離れない。やめろ倉阪、俺の枕もとで歌うんじゃない!モダンホラーの極北に立つ鬼畜の所業。倉阪鬼一郎、爆裂。
流れに揉まれて生きる男と女、一芸に身を捧げる芸人、破天荒な勝負師ー一筋の道のほかには常識も理屈もない人々の、物悲しく鬼気迫る姿を描いた織田作之助の傑作短篇集。定跡に抗する大阪人の典型、坂田三吉を取り上げた「聴雨」「勝負師」、人形遣いの芸道修業を聞き書き風に記した「吉田文五郎」、失った妻への思いから狂ったように競馬にのめりこんでいく男を描いた「競馬」など11作品を収録する。
アメリカ南部の島ジェイムズ島にあるメイナード邸で、不可解な“事件”が頻発する。何者かに案山子が盗まれたり、武器室の斧が消えるという。さらに主人メイナードの言動も理解しがたかった。そうしたなかで殺人が起こる。鈍器で頭部を殴られたようだった。しかも殺人現場には、被害者以外の足跡がなかった。メイナード邸に客として招待されていたギデオン・フェル博士は、そこで最後の謎に挑むことになる。足跡のない殺人と限定された容疑者、百年前の惨劇と伝説、そして意外な真実とその動機。名探偵フェル博士の最後を飾る、長編本格ミステリ。
あの血みどろの逃亡劇から7年ー。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」…。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。
レクター博士はアメリカに帰還する。執念を燃やす復讐鬼は、クラリスを囮に使って博士をおびき出す計画を整えつつあった。その先には、究極の美食家に対する究極の屈辱となる報復が用意されている。かくして、“怪物と天使”の運命は凄絶に交錯するときを迎えた…。スティーヴン・キングをして「前作を凌ぎ、『エクソシスト』と並んで20世紀に屹立する傑作」と言わしめた問題作、登場。
維新の嵐、その片隅でそれなりの役割を勤める、どこかおどけた好漢ふたり。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
沢井転と一平。二人を結ぶ不思議な縁。天誅組の義挙と新撰組の剣風の中で、因縁の二人は、どこへ流れてゆくのか…。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
維新後、幇間となって反骨を貫いた幕臣、土肥庄次郎の生きざま。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
佐々本三姉妹、最強の三女・珠美に一目惚れ、ストーカーになってしまった大学生が自殺した。逆恨みする母親から復讐を宣言された三姉妹のまわりで殺人事件が連続発生!!ゆがんだ母親の愛情が、三姉妹を恐怖にたたきこむ。頼りになるのは次女・夕里子の恋人、国友刑事だけだが、彼にも魔の手が迫っていた。
ダラス検事局の花形検事ステラが放火殺人の容疑で起訴された!十六年前、両親を失った忌まわしい事件だった。苛酷な告発でステラを追及するのは同僚だった女性検事ホーリー。嫉妬、野心、名声…権謀術数うずまく法曹界を舞台に二人の女性検事の熱き闘いの火蓋が切って落とされた。白熱のリーガル・スリラー。
3441年11月14日、ローダン一行は銀河南縁を偵察中だった。大群から出現したキノコ船があらたに銀河重力定数を微調整したのだ。その理由を探ろうとするうち、グッキーとフェルマー・ロイドが混乱した思考インパルスをキャッチする。相手は“それ”…あろうことか、ワンダラーの不死者が重力定数操作の影響をうけ、援助をもとめてきたのである。ローダンは急遽“それ”が指示した星系アイリー=ギャナティに向かったが。
デッカードは愕然とした。外星から地球へ逃亡してきたレプリカントは六人いて、五人は死んだが、あと一人がまだ生きている。そのレプリカントをさがしだして処分してほしいというのだー愛するレイチェルそっくりの女性、タイレル社の総帥サラ・タイレルの依頼をうけ、デッカードは逃亡レプリカントを命がけで捜索しはじめるが…P・K・ディック原作、R・スコット監督の映画『ブレードランナー』の待望の続篇登場。
眼窩は深く落ちくぼみ、皮膚が乾ききった三人の少女の遺体。周囲に点された無数の蝋燭の光が、生気を失った彼女たちの顔に無気味な陰影を刻むー平穏に慣れきった田舎町を得体の知れない恐怖で包む連続少女失踪事件。最初に姿を消したのは、十四歳のシャロンだった。やがて届いた差し出し人不明の箱には、彼女の着ていた衣服とマネキンの左手が収められていた。住民たちは、行方不明となったシャロンの無事を願うが。
ニューヨーク州の田舎町オーリリアスで起きた連続少女失踪事件。少女がひとり姿を消すたびに、新たな箱が届けられる。犯人探しに血まなこになる住民たちは、外国人、社会主義者、同性愛者などの異質な者に不信の念をつのらせるだけではあきたらず、憎しみさえあらわにしはじめた。平穏だった小さな町の人々は、ゆっくりと、だが確実に、恐怖にむしばまれてゆく…狂気が理性を飲み込む様を冷徹に描いたサスペンスの傑作。
1913年、表面は平穏でもヨーロッパは戦争に向けて水面下で熾烈な駆け引きを操り返していた。なかでも、統一後いまだ政情が安定しないイタリアは危険な状態だった。外国の手に落ちている領土の奪回を求める急進派は、中央政府の思惑とは別に、様々な策をこらしていた…情報局にリクルートされて一年余、ランクリンとオギルロイはロンドンに戻り、新人教育や書類仕事で平穏に過ごしていた。だが、急進派のイタリア上院議員ファルコーネの警護を命じられたことで、平穏の日々は終わりを告げる。イタリアの失われた領土回復を叫ぶファルコーネは、軍のための兵器調達に飛び回っており、対立するセルビアやオーストリアに命を狙われているのだ。そんな彼が調達に躍起となっているのが、実用化されたばかりの飛行機だった。飛行技術の先進国であるイギリスに渡ってきたファルコーネを追い、危険な刺客も放たれているらしい。さっそくランクリンは一計を案じるが…激動止まぬヨーロッパを駆けめぐる、草創期のスパイたちの活躍。