2000年5月30日発売
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。
美貌の北朝鮮女性空軍将校・柳英姫。大連留学で知り合った日本人商社員・西山哲男への想いから、亡命を決意する。亡命実現のためパイロットとなった英姫は、グライダーを使ったソウル奇襲部隊の一員に選ばれる。悪天の中、作戦は決行され、韓国への潜入に成功した英姫だったが…。
西山哲男が権利を持つ、旧ソ連が開発した巨大飛行艇“怪鳥艇”。レーダーを避け、多数の人員・機材を運ぶことのできるその能力に目をつけた中国は、カスピ海に眠る“怪鳥艇”を狙う。一方、北朝鮮の工作員は、亡命に成功し、インド空軍外人部隊に在籍する柳英姫を執拗に追う…。
女は壊れた愛の記憶にとり憑かれ、亡霊のように息を潜めていた。男は日系ペルー人の宿命に翻弄され、ぎりぎりまで追い詰められた。この地上に居場所を持てない2つの魂が、出逢い、触れ合った、世界の果ての3日間。
辛辣なまでのウィット、強い意志を持ったエレガンス。いつも母は、娘に鬱陶しくまとわりついてくる。プロデューサーは女優を脱がせたがる。口先だけの男に退屈な夫、成就しない不倫。あの人はずうっと振り向いてもくれないし、久しぶりに会った友人は何を考えているのかわからない…。あなたの隣にもきっといる「鳥」たちを、現代アメリカ文学きっての短篇の名手がユーモラスに、シニカルに、けれどエレガントな筆致で描く、女と男の不安と孤独、12篇。我が子がガンに冒された経験をもとに小児ガン病棟を描き、新境地を拓いた異色作『ここにはああいう人しかいない』(O・ヘンリ賞受賞)を収録。