2000年発売
1942年3月、台湾空襲に参加した極東米軍のB-17はあり得ないものを目撃した。単翼低翼で、機体は小さい。それは、メッサーシュミットBf109の勇姿!すべては、41年6月の「事件」から始まったのだった。世界を震撼させ、歴史の歯車を狂わせた「事件」…。陸軍大臣・東条英機はいらついていた。ドイツとの意思の疎通がはかれないのだ。駐独大使からも内容のある報告はなかった。ドイツ大使館に呼び立てられ、大使自らの出迎えを受けた東条に、正体不明の不安がこみ上げる。果たして東条を、そして日本の運命を左右するものとは?気鋭が斬新な発想で描く本格シミュレーション戦記。
急な辞令でデスクワークから建設現場へ異動になった浩一郎は、あらっぽい連中のなかで戸惑うばかり。なかでもひときわ若いとび職人の祭は、特に反抗的だ。子供のような祭にバカにされて少し悩む浩一郎だが、あるとき足場で具合の悪くなったところを助けたことから、祭はうってかわって浩一郎になつくようになる。そして浩一郎の部屋で、ままごとのような同居がはじまり。
スペイン版“スタンド・バイ・ミー”!少年の息づかいが聞こえてくる、山村での甘酸っぱく、ほろ苦い青春、そして日々の生活。ベストセラー作家が描く文学史にのこる記念碑的作品。
昭和を体現した宰相の伴侶で金庫番、そして「越山会の女王」と呼ばれた佐藤昭子。運命の出会いに始まり、二人三脚で総理にまで登り詰めた男と女の、いまだから明かせる物語。
新米ママに贈られたのは20発の弾丸と拳銃だった…未婚の母になるために刑事の職を辞した羽根栄枝。だが、愛娘・珠代が生後3か月になったとき事件は起きた。ちょっと目を離した隙に、乳母車にいるはずの赤ちゃんがいなくなってしまったのだ。うろたえる栄枝の元に拳銃ザウエルP230が届き、同時に妙な指令が下る。「娘を返して欲しければ、人を撃ち殺せ」。そう彼女は狙撃の名手だった。我が子を救うため、栄枝は「任務」を遂行することを決意する。当代一の人気作家が贈る傑作ミステリー。
刑務所帰りの元海兵隊員ファレルは、ドアマンの仕事をしていた時にホテルの金庫から現金を強奪することを思いついた。入念な計画は成功したかに見えたが、仲間の一人の裏切りが発覚し、ファレルはその男を始末する。だが男はIRAの一員だったことからIRAから追われる身に。さらに、故買屋の組織からも盗品を狙う追っ手が迫るー成りあがることを夢見ながらも、破滅への道を突き進む男たちを描く、力作ノワール小説。
今度はおまえたちの番だ!銀行強盗を働き、撃ち合いの末に射殺された女の夫ラシェズは、激しい憎悪を胸にミネアポリス市警副本部長ダヴンポートを始めとする刑事たちへの復讐を開始した。ラシェズの標的となった刑事たちとその家族が一人また一人と襲われていくなか、ダヴンポートは男の行方を必死に追う。が、やがてダヴンポートの身近にもラシェズの魔手が!真の恐怖に突き落とす衝撃のサスペンス。文庫オリジナル。
ロンドンのジャーナリストの家に、一人の男が訪ねてきた。その男は45年前に起きた痛ましい事件について、真相をおもむろに語り始めた…。1954年、ノーフォーク州の全寮制パブリック・スクール、カークストン・アベイ校。14歳の生徒ジョナサンは同級生ばかりか教師にもいじめられ、つらい日々を送っていた。だが、そんな彼に新しい友人ができた。友人の名はリチャード。勉強はできたが、一匹狼的な男だった。クラスを支配するグループのボス、ジェームズはリチャードを仲間にしたいと願っていたが、ジョナサンと親しくなったため、ジョナサンに対して残酷ないじめを開始する。そんなジョナサンをリチャードがかばい、二人の仲はより親密になっていく。が、それと時を同じくしてグループのメンバーが大怪我を負ったり、事故死する事件が立て続けに起き、教師たちも奇怪な事件の犠牲になっていく。そして、この事件の裏には、ジョナサンとリチャードの秘密の儀式が…!少年の歪んだ心が引き起こす恐怖と戦慄の事件。イギリスでベストセラーを記録したゴシック・スリラーの新たな傑作。
その部屋には第三者がいたのか、いなかったのか。朝比奈耕作の前に新たな密室の難問が立ちはだかった。強風吹き荒れる夜、マンションの五階から『天井桟敷の貴婦人』と呼ばれる美女が転落死。直後に、どこからともなくドライフラワーの花束が降ってきた。五階の部屋は無人の密室。だが、誰かがいた可能性が消せない。現実離れした服装で観劇に現れ、客席で奇妙な独り言をつぶやく美しき奇人の悲劇を調査する朝比奈は、巧妙な死の罠を解く。しかし、その直後に思いもよらぬ戦慄の結末が…。「軽くてヘビーな」推理小説。
銀行支店長を辞し、北新地に酒場を開業した相沢。歯科医夫人と適当な情事を楽しみつつ、店の方も順調だった。ある夜、息子がつれてきたCGデザイナーサツキに、彼はいつしか心を奪われていく。息子の恋人に惹かれるなんて…しかし彼女の姿は相沢の脳裡を去らなかった。中年男性の狂おしいまでの情念を直木賞作家が濃淡鮮やかに描ききる、長篇情事小説。
曲独楽師・お駒は名人といわれた四代目源水の娘で修業中の身。ある日、風体の怪しい二人連れに尾行された。彼等の狙いは母の形見らしい。仕返しに母親譲りの手口で掏った巾着には、黒い陰謀を暗示する書き付けが入っていた。お駒は途方もない事件の渦中に巻き込まれる。そして、背後には意外な大物が!?平成の“戯作家”登場!時代小説ロマン。
前漢の武帝の時代。侵略をくりえかす匈奴を討つために北辺の地へ向かった李陵であったが、やむなく捕虜となってしまう。そしてその李陵を弁護した歴史家・司馬遷は、宮刑に処されー。時代の波に翻弄される男たちの姿を描き、“人間の真の美しさ”を問う「李陵」、己の自尊心のために虎の姿になってしまった詩人・李徴の苦悩を綴った「山月記」など、漢籍に材を採った作品全七篇を収録。
不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た…。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。
「なぜなんだ、アーセナル!」と頭を抱えて四半世紀。熱病にとりつかれたサポーターの人生はかくも辛い。すべてのスケジュールは試合日程次第。頭のなかでは自分とチームとがこんがらがっている。人生設計なんて立てられたもんじゃない。そんなひどい生活だったけど、ぼくには見えてきたことがあったー。英国で百万部を突破し、WHスポーツ・ブック賞を獲得した鮮烈なデビュー作。アーセナルにとりつかれてミリオンセラー作家となった男の魂の記録。
ロシア・マフィアの超大物“クルパティン”がヒューストンにやってくるー。FBI特別捜査官のケイトはおとり捜査を命じられた。色仕掛けでクルパティンに近づき情報を入手しろというのだ。極めて危険な任務であるにもかかわらず、ケイトは同僚でもあった夫の死を乗り越えるために、任務を引き受けることを決意する。そして、彼女の腕には最新鋭の極小盗聴器が埋め込まれた…。情事のベッドは血塗られた。美貌のロシア女性は淡々と男たちを闇に葬っていく。