2001年7月発売
白子屋一味との因縁は、やすやすとは切れない。知略に秀でた敵を倒すための梅安の秘策とは…。著者急逝により未完となった梅安シリーズの最終話。江戸の悪漢小説としても白眉のシリーズだけに惜しまれる作品。巻末に取材アルバムと梅安シリーズに関する著者インタビューをまとめた「梅安余話」を収録。
長く一族支配が続いた名門ホテルで、内紛が持ち上がった。創業者の娘で95歳になる老女が今も住む別邸・碧水閣の取り壊しをめぐり意見が対立、骨肉の争いに発展したのだ。湖に沈んだ焼死体、血染めの遺書。沼のほとりに佇む異形の館に封印された、百年にわたる秘密とは。桜井京介が鮮やかな推理で解き明かす。
川崎中央署生活安全総務係の萱野は、ある日、上司の矢木沢に面罵された。競技射撃で五輪出場権を懸けて争った選手時代の確執から、矢木沢の接待疑惑を密告したと思われたのだ。自らの汚名を晴らすため、萱野は真の密告者を捜す!巨大な日本の警察組織内部に潜む闇を、深く綿密に描き切った迫真のサスペンス。
沖縄の孤島、黒潮洗う白い崖で何が起きたのか。米軍艦船への体当たりに失敗した若き特攻隊員は、不時着後、過酷な運命に翻弄される。迫る米軍の上陸、自決か捕虜か。あの遠い夏の日の“愛と死のドラマ”が甦える。戦後半世紀、秘めてきた苦悩の足跡を追う、『月光の夏』につづく感動ノベル。
西部の小さな町ポットショットから来た美女は、夫を殺した犯人を捕らえてほしいとスペンサーに依頼した。町の近くの鉱山跡に巣くう無法者集団“ザ・デル”が、彼女の夫を殺したと言うのだ。町の警察も保安官も、強大な“ザ・デル”には手を出せない。町へ乗り込んだスペンサーは、はやくも“ザ・デル”と対峙するが、その様子を見ていた町の有力者たちは、驚くような提案をスペンサーにした。「金は出す、方法は問わない、“ザ・デル”を追い払ってくれ」さっそく準備にかかったスペンサーは、各地から腕利きのガンマンたちを集める。敵の勢力は四十人以上だが、ホークをはじめとするスペンサー陣営も凄腕ぞろいだ。西部の荒野に、対決の舞台は整った…だが、スペンサーの嗅覚は、事件の裏にまったく別の構図を嗅ぎ当てていた。対決を前に明らかになる、意外な事実とは?雄大な西部の荒野を舞台に、オールスター・キャストで送る、アクション巨篇。
雪と氷に閉ざされた厳寒のツンドラ地帯の孤島で、地上最大の哺乳類であるマンモスの一族が人知れず生きていた。その一族の若き雌マンモス、シルヴァーヘアがたどる波瀾万丈の冒険を描く話題作。
まずは3メートルのスプリングボードから。つぎは5メートルの飛び込み台。続いて7.5メートル。最後にようやく10メートル。
崩落事故発生!真暗なトンネル内に閉じこめられた一台のバス。片山義太郎ら三毛猫ホームズ一行は、このバスに乗り合わせ、事故の渦中にー。さらに車内には、殺人犯の家族と被害者の家族が同乗していて、一触即発の状況に!救けを呼ぶ術は!?頼りになるのは、暗闇でも目の利くホームズだけ!傑作5編を収録の、ご存じ超人気シリーズ第33弾。
「新之助、進吾を討ち果たし、深雪を連れ戻して参れ」と殿の厳命が降る。新之助と進吾は同じ小姓組で無二の親友だ。深雪は先君の庶子。その深雪と欠落ちして殿の逆鱗に触れたのだ。上意は絶対である。進吾を討たねば帰藩は許されない。新之助は婚約者と別れ旅に出た。三年目、独り身に落ちぶれた進吾を発見するが…(表題作)。武士道の真髄を活写。他八編。
花沢支配人は青ざめた。なんの因果か、今宵、我らが「プリズンホテル」へ投宿するのは、おなじみ任侠大曽根一家御一行様と警視庁青山警察署の酒グセ最悪の慰安旅行団御一行様。そして、いわくありげな旅まわりの元アイドル歌手とその愛人。これは何が起きてもおかしくない…。仲蔵親分の秘めた恋物語も明かされる一泊二日の大騒動。愛憎ぶつかる温泉宿の夜は笑えて、泣けて、眠れない。
運動オンチで泳げないけれど、学校の成績だけはいい七生。なのにどんなに頑張っても同じクラスの伊戸川くんだけは追い抜くことができない。負けたくない!塾に通うことにした七生だが、驚いたことに伊戸川くんも同じ塾に通っていた。ライバル心がいつしか淡い恋心に変わってー。不器用で一途な少女の、ひと夏の成長をつづる青春ストーリー。巻末に文庫書き下ろし特別エッセイを収録。
脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった…。同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。北朝鮮の権力中枢で、何かが起きているー。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?米朝の謀報戦を鮮烈に描く、本格スパイ小説の新鋭、入魂のデビュー作。文庫版のための特別描き下ろし短編『ミスター・オリエンタル』も収録。
七月。夕暮れの第三京浜を疾走するムスタングから次々とほうり出される仔猫。少年は一匹を拾い上げ「死ぬときはいっしょだ」と、ムスタングをしゃにむに追いはじめる…。オートバイで走ることでしか生の実感を得られない少年と、仔猫に切ない愛情を注ぐ少女との出逢い。行き場のない若さの倦怠を鮮やかな筆致で描き、七〇年代後半から八〇年代に圧倒的支持を受けた片岡文学の名作をニュー・エディションで贈る。表題作のほか『ハートブレイクなんて、へっちゃら』など四作品を収録。
「僕」こと鮎川英雄には唯一の才能があった。それは「女を蕩けさせ夢中にさせる」こと。県庁の役人として、熱意はないがそつなく仕事をこなし、複数の女を適宜使いわけて過ごす日々。このまま無難に流れていくかと思えた「僕」の人生は、しかし、叔父・酔助の登場でじわじわと変化しはじめる。「夢と現実の人生を総取っ替えしてもいい」という叔父。いつしか「僕」は叔父とそのニンフェット・鈴村綾とともに無謀な計画に加担することに。果たして「僕」に「大いなる一瞬」は訪れるのか。