2002年7月発売
TVジャーナリスト、パトリックは、インドでサーカスの取材中、ライオンに左手を喰いちぎられる。以来、なんども夢に現われる、深緑の湖と謎の女-。やがて事故死した男の手が移植されることになるが、手術を目前に「手」の未亡人に子作りを迫られ、月満ちて男の子が誕生する…。稀代の女ったらしが真実の愛に目覚めるまでのいただけない行状と葛藤を描く、巨匠による最新長篇。
「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。
都会の闇を生きてきた悪党・八神俊彦は、運命の一日を迎えるはずだった。生き方を改めるため、自ら骨髄ドナーとなり白血病患者の命を救おうとしていたのだ。ところがその日、都内で未曽有の無差別大量殺人が発生。大都市・東京は、厳戒態勢に突入した。そして友人の死体を発見した瞬間から、八神の必死の逃走劇が始まった。警察、謎の集団、正体不明の殺戮者から逃げ切らなければ、八神の骨髄を待つ白血病患者が死ぬ。八神は生き残れるのか?謎の殺戮者・グレイヴディッガーの正体とは?著者渾身のスリラー巨編が、ついにその全貌を現す。
「こころざし」を、ふたたび。私利私欲だけでは前に進めない時があるからー。ミス上海、シルクロード探検隊、そして唱歌…。明治の夢に憑かれた絢爛たる群像のなかに「故郷」誕生の謎が隠されていた。
謎の隠遁作家の正体を追ううちに、運命の渦にのみこまれていく青年二人の物語。経歴を明かさず、メディアにも姿を見せない正体不明の作家ホラス・ジェイコブ・リトルは何者なのか?マンハッタンの新聞社で働く新人記者ジェイクは特ダネを狙っていた。学生時代に愛読した作家の素性をつかもうとしていたジェイクは、ある日昔の恋人ラーラから同級生だったアンディの噂を聞く。アンディはリトルの短篇を読んで以来、作家の正体をつきとめることに取り憑かれ、“作家の秘密を暴露した”手記を携え出版社に乗りこんで刃物を振り回すなどの奇行を繰り返し、今は“ミューズ・アサイラム”にいるという。ジェイクは、精神を病んだ芸術家たちのためのその施設にアンディを訪ねた。秘密を知ってしまったため、自分は作家から命を狙われているというアンディの主張は信じがたかった。だが、リトルの小説を仔細に調べていくうちに、恐るべき真実が明らかになっていく…追う者がいつの間にか追われる者になる恐怖を描く、大型新人の衝撃作。
西暦2100年、1機のX線観測衛星が発見したブラックホール・カーリー-それがすべての始まりだった。カーリーの軌道を改変、その周囲に巨大な人工降着円盤を建設することで、太陽系全域を網羅するエネルギー転送システムを確立する-この1世紀におよぶ巨大プロジェクトのためAADDが創設されたが、その社会構造と価値観の相違は地球との間に深刻な対立を生み、人類は激動の時代を迎えようとしていた…。火星、エウロパ、チタニア-変貌する太陽系社会を背景に、星ぼしと人間たちのドラマを活写する連作短篇集。
江戸城の奥にあるという、もう一つの秘密の御金蔵破り。一介の素浪人が、綿密な計画を立ててこれを実行する。黒船騒ぎの時代を背景に、坂本竜馬、桂小五郎といった若い幕末の志士が主人公を応援。時代小説の面白さを超えた痛快書下し。
西暦一九九七年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。城岩中学三年B組の七原秋也ら四十二人は、修学旅行バスごと無人の島へと拉致され、政府主催の殺人実験を強制される。生還できるのはたった一人。そのためにはただクラスメイト全員を殺害するのみー。現代日本を震撼させたジェットコースターデスゲーム・ノヴェル、ついに文庫化。