2002年7月発売
名探偵・法月綸太郎が帰ってきた!著者会心の傑作鉄道ミステリー「背信の交点」、オカルトじたての怪事件「世界の神秘を解く男」、法月綸太郎本人が登場しない異色作「身投げ女のブルース」など、テーマと構成にこだわりぬいた中編を収録。本格推理の醍醐味が味わえる“知恵と工夫のエンタテインメント”。
在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した長編海洋冒険小説の傑作。(講談社文庫) 日本推理作家協会賞等三賞制覇の傑作長編!自らの掟に従い、15歳で父親を殺害した少年。祖国に絶望し反逆の牙をむく北朝鮮工作員…。男たちは心に怒を抱きしずかに時を待ちうけていた。そして時はきた! 序 章 第一章 第二章 第三章
「現在、本艦の全ミサイルの照準は東京首都圏内に設定されている。その弾頭は通常に非(あら)ず」 ついに始まった戦後日本最大の悪夢。戦争を忘れた国家がなす術もなく立ちつくす時、運命の男たちが立ち上がる。自らの誇りと信念を守るためにーー。すべての日本人に覚醒を促す魂の航路、圧倒的クライマックスへ! (講談社文庫) 圧倒的筆力と熱量で描き出す強い魂の叫び!海上自衛隊護衛艦「いそかぜ」、艦長宮津の怒りは東京都民を人質に壮大なテロへと発展する。防衛庁情報局は破壊へのカウント・ダウンを阻止することができるか。 第四章 第五章 終 章
一見単純な事件だった。裕福な銀行家が自宅のベッドで射殺され、階下の居間で一人でTVを観ていたと主張する28歳年下の妻メアリが逮捕された。夫婦はその前の晩に衆人環視の中、大喧嘩をしている。周囲の人々は、もともと年齢も家柄も不釣り合いな夫婦だったと証言する。さらには、メアリに夫殺しをもちかけられたが断わったと告白する男までが現われた。誰がどう見ても、容疑者メアリの有罪は間違いなさそうだ。だが、メアリの弁護士の依頼で調査に乗り出したスペンサーは、素朴な疑問を抱く。いくらなんでも、もうすこしましなアリバイくらい用意しそうなものだが…調査にかかったスペンサーには尾行がつき、夫の一族が経営する銀行では不穏な噂があった。事件の背後には、想像以上に複雑な背景があるようだ。やがてスペンサーが真相に迫ったとき、殺し屋の銃口が火を吹いた!無邪気に見える若き未亡人は、有罪か、無罪か?事件の背後に潜むのは、何者なのか?久々にホームグラウンドに戻ったスペンサーが、勝手知ったるボストンの街を疾駆する。
アメリカに初の黒人大統領が誕生した!この事実は世界各国の政治に多大な影響を与えたが、それは世界政治だけでなくいわば末端に生きる二人の男の人生をも大きく変えることとなった。一人はアメリカ合衆国財務省シークレット・サービス大統領警護課長・ジャック・ロジャース、もう一人は警視庁警備部所属・野口英輔であった…。
新宿中央公園わきの路肩にとめられていた乗用車の運転席で、チンピラが頭を打ち抜かれて死んでいた。車内からコカインが見つかり、このチンピラが死の直前に鼻孔から吸引しているのも確認された。同じ日、代々木の焼肉屋で九名の射殺死体が発見された。鑑識の結果、凶器はたった一丁のトカレフであることが判明した。両現場ともに目撃者はおろか銃声を聞いたものさえいなかった。その男の存在を、新宿署のマル暴刑事奥村が知ったのは、この事件が発端だった。
序 文 チャールズ・ディケンズ版(一八六七年)への序文 第一章 ぼくは生まれる 第二章 ぼくは観察する 第三章 境遇が変わる 第四章 屈辱を受ける 第五章 家を追放される 第六章 交友の輪が広がる 第七章 セーラム学園の新学期 第八章 冬休み、とりわけ幸せなある日の午後 第九章 忘れられない誕生日 第十章 構われなくなり、自活のお膳立てをされる 第十一章 自活を始めるものの、気乗りしない 第十二章 なじめない自活に、一大決心する 注
中庭には大きな欅とマンゴーの木、ブーゲンビリアとベゴニアの咲き乱れるアパートに、性を超え、年齢を超え、家族の枠を超えて、いま独身者=毒身者たちが集うー。新しい人間像を描く、鮮烈な小説群。
空襲をかいくぐって披露宴を敢行した春男と照子。復員して信託会社に就職した春男だったが、いきなり大チョンボ。一から出直しとばかりにパン職人に。やがて照子のアイディアで始めたテレビ喫茶が大当たり。春子、夏子、秋子、冬子の四姉妹もすくすく育ち、中でも春子は、ひょんなことから習いはじめたスケートで、見る間に才能を発揮する-。親子の愛が育んだ大きな奇蹟の物語。今、家族の時代に贈る国民的ホームコメディー。
順調に見えた一家を襲う試練の数々。春子の入院騒ぎから間もなく、今度は春男の浮気が発覚し、岩田一家はてんやわんや。春男は、どうこの難局を切り抜けるか。春子のスケートは全国レベルへ上達し、五輪を目指すまでになる。一方、夏子には芸能界から誘いがかかり、歌手デビューの話が持ち上がる-。果たして、姉妹のオリンピックそして紅白、ダブル出場の奇蹟は起こるのか?夢見ることが人生だ!涙と笑いと感動の家族劇。
丸の内産業の企画開発課長、江見慎介はホテルでの情事の最中に、相手の監査役、三船保子から奇妙な依頼を受けた。名器の女を探して欲しいの、と。かくて恋人容認の「名器狩り」は開始された。可愛い男に極楽任務を与えた女監査役の目的は何か。考えるより先に、この任務に邁進する慎介であった。だからこそ彼の手中には社内の極秘リストが…。
大正六年三月に誕生した超弩級戦艦、山城。竣工当時世界最大だった戦艦も、昭和の代では二線級となりつつあった。そんな老朽艦に三度目の“お色直し”を施すことが決まった。艤装委員長に就任したのは、松田千秋海軍大佐。彼は時代遅れとなった大艦巨砲主義を代表するエリートである。「大砲屋」から「航空屋」へと戦争の主導権が移る中、航空母艦を中心とする機動部隊が海戦の主役となり、巨砲を擁す戦艦群は、表舞台から去りゆく運命が待ち受けていた。劣勢に立たされた大砲好きの楽天家たちは、ロートル艦の大改装と、砲術のプロの組み合わせに妙な期待を抱いた。新たなる山城の生涯が始まろうとしていた…。
南英丘陵地のフェアエーカー村の小学校長ミス・リードの夏休みは波乱の幕開けとなった。思わぬ怪我のために親友エイミーのもとで静養するのだが、エイミーの求めに応じてギリシアのクレタ島へと旅立つことになる。離婚問題をかかえた親友との、エーゲ海の輝ける島の休暇がこうして始まった。この地の風情を満喫しながらも、自らの暮らしに思いをめぐらす二人。結婚-共に暮らすことの歓びとそれゆえの苦悩。独身-自由とひきかえの孤独。性格も境遇も異なる二人の友情。機知とアイロニーとユーモアを全編にちりばめながら、暖かい愛情と鋭い洞察で描き出した英国田園物語の海外編。
九州の小さな海岸の町。贅沢な施設と高度な医療で知られるサンビーチ病院。不妊夫婦に福音をもたらし患者たちに「神の手」と慕われる院長の産婦人科医、岸川卓也のもう一つの顔。男性の妊娠、人工子宮、胎児からの臓器移植…。生殖医療の無法地帯に君臨する医師の狂気の華がひらくとき。生命の尊厳と人間の未来を揺るがす書き下ろし長編小説。
時は江戸時代後期、泰平の世の黄昏。東海のとある小藩に藩校が設立されることになった。その学校の剣術教授方を決するために、藩を代表する二つの道場の門弟たちが御前仕合にのぞむのだが…。藩校を舞台に、厳しい階級社会の中で権力闘争や陰謀に巻き込まれながらも、あつい友情を育む三人の少年剣士たちの成長をさわやかに描く青春時代小説の傑作。どんな時代にも、輝く少年たちがいたー。
九世紀半ばの平安京で起きた、公卿の姫の連続失踪事件。その真相解明に乗り出した在原業平の命を狙う謎の集団。頻発する不可解な出来事の裏には、朝廷の枢要を占める藤原一門の確執、大伴の復権をもくろむ伴大納言の恐るべき陰謀、さらには二百年の長きにわたって封印されてきた驚愕の秘密が隠されていた-。平安京の闇に迫る歴史伝奇ミステリー。