2002年7月発売
1835年9月、英国の軍艦ビーグル号がガラパゴス諸島を訪れた。巨大なゾウガメとイグアナたちが支配する“魔の島”で、上陸者が次々と奇怪な死を遂げる。敢然と謎に立ち向かった若き日のダーウィンであったが…。『種の起源』に秘められた謎が、いま明かされる。
いま、すべての30代におくるほんとうの日本人の物語 昭和16年、「内閣総力戦研究所」に軍部・官庁・民間から選りすぐった将来の指導者たちが集められた。それぞれの出身母体に応じて「模擬内閣」を組織し、戦局の展開を予想したのだ。単なる精神論ではなく、兵器増産の見通し、食糧や燃料の自給度や運送経路、同盟国との連携などについて科学的に分析、「奇襲作戦が成功し緒戦の勝利は見込まれるが、長期戦になって物資不足は決定的となり、ソ連の参戦もあって敗れる」という結論を導き出した。この報告は昭和16年8月に、当時の近衛内閣にも報告され、後の首相となる東條陸将も真剣に受け止めていたはずだった。
人間くさくてノーテンキなミタカは、あいかわらず家族の一員のようにいつもいる。三月、南向きのぬれ縁に何か植えようか、と相談していると、家出中のパパが帰ってきた。そこで、みんなでひょうたんを作ったー何かを愛する時、愛するものがある時、愛していいものがある時、人はやさしくなる。そしてそのやさしさは、ただやさしい。「ミタカくんと私」に続く、ナミコとミタカのつれづれ日常小説。
21世紀のカブキ界に君臨するのは、果して誰かー世界が注目するなか華麗な「顔見世」が琵琶湖畔の巨大な船舞台・世界座で幕を開ける。だが、その水面下では、守旧派の名女形と改革派の人気立役者が、凄絶な勢力争いを繰り広げていた。美少女・蕪は、謎の手紙に誘われる形で騒動に巻き込まれ、世界座舞台裏の怨念渦巻く大迷宮に迷い込む。蕪に託された「使命」は?三島賞受賞作。
顔の溶けた人間が目撃される歪で面妖な七階建てマンション。奇怪な密室ミステリーを遺した最初の所有者は失踪し、現在はどこか病んだ住人たちが跋扈する。想像を絶する暗合。黒猫のぬいぐるみを抱えた異能の名探偵。異形の館に込められた秘密。見事に反転する世界。鬼才がそのすべてを注ぎ込んだ本格ミステリ。
“好青年”と呼ばれる豊は結婚を控えるなか、謎の美女・沓子と出会う。そこから始まる激しく狂おしい性愛の日々。二人は別れを選択するが二十五年後の再会で…。愛に生きるすべての人に捧げる渾身の長編小説。
ー教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
本書は、2001年に小説誌等に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた20篇を厳選した、決定版アンソロジー。推理小説界とSF界の2001年の概説、ミステリー各賞の歴代受賞リストもついて、50年を越える歴史を誇る唯一無二の推理年鑑としての資料も充実。
昭和20年代の終わり、東京・国立。テレビでは力道山が活躍し、最初のゴジラ映画が封切られた頃、愛書少年青井祐太は、テレビより映画より、本に耽溺していた。嵐のような読書欲、ふくらむ妄想。そんな祐太の家に、父親の戦友、ジョンが異様ないでたちで訪ねてきたことから、事件が次々と起こる…登場する本、100冊以上、本邦初の冒険読書小説。
ある日、偶然に見つけた思い出の少女の写真。彼女は今どうしているのだろうか? そのちょっとした好奇心はいつしか憑かれたような思いに変わり、ダニーはわずかな手掛かりを追って彼女の足跡を辿り始める。この青年の物語と交互に語られていくのは、ある悪女の物語。二人の軌跡が交わるとき、どんな運命が待ち受けているのだろうか? サスペンスの魔術師の代表作がついに登場。
12歳の夏ー。浜に倒れていたあの人。母のため息。家に寄りつかない父。-そして事件は起こった。21歳の今、あの夏の日々を振り返る。刑期を終えたあの人が帰ってくる…。罪と罰の深淵を見つめる魂の軌跡。
ドッジボール大好き少女のゆっこが所属するのは「みなとドッジキッズ」。設備もおんぼろの弱小チームだ。しかも同じ地区に強豪チームがいて、ドッジキッズは連戦連敗、地区予選を突破したことがない。今年こそと燃えるゆっこだが、なんと韓国へひっこすことになってしまった。もうみんなとドッジができない。ゆっこの夢も、これまでか…。
自白した被疑者がなぜ無罪に!?救済されるべき被害者に法はいったい何ができるのだろうか。金融犯罪、中国系マフィア、そして快楽殺人。イリーガルに挑む刑事当番弁護士・京森英二が直面した事件は、日本の社会病理と深く係わっていた。現役弁護士ならではの精密な筆致で描く傑作リーガル・サスペンス。
1年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。 森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第1作、待望の文庫化。
名探偵・法月綸太郎が帰ってきた!著者会心の傑作鉄道ミステリー「背信の交点」、オカルトじたての怪事件「世界の神秘を解く男」、法月綸太郎本人が登場しない異色作「身投げ女のブルース」など、テーマと構成にこだわりぬいた中編を収録。本格推理の醍醐味が味わえる“知恵と工夫のエンタテインメント”。
在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した長編海洋冒険小説の傑作。(講談社文庫) 日本推理作家協会賞等三賞制覇の傑作長編!自らの掟に従い、15歳で父親を殺害した少年。祖国に絶望し反逆の牙をむく北朝鮮工作員…。男たちは心に怒を抱きしずかに時を待ちうけていた。そして時はきた! 序 章 第一章 第二章 第三章