2002年発売
野心を抱き、終着駅新宿に降り立った見知らぬ男女、宮地杏子、浅川真、軍司弘之ー。二年後、浅川が新宿の高層ホテルで殴殺された。嫌疑のかかった軍司は失踪。捜査陣は新たに杏子と接点を持つ男をマークした・・・。
1888年のロンドンで実際に起きた連続娼婦殺人事件。その残忍な手口から「切り裂きジャック」と呼ばれた犯人を、留学中の日本人青年・鷹原が推理していく。世紀末のロンドンを精緻に描き出した傑作ミステリ!
なぜか住人は独身女性ばかりというオンボロアパート、通称「縁切り荘」の住人、呉早智子が婚約した!しかしほどなくして当の相手が転落死してしまう。事件解決に乗り出した亜由美にも、恋人の谷山をめぐって思いがけず手強いライバルが現れて…!?一筋縄ではいかない女の心理を鋭く軽やかに描きだす表題作ほか、一億円の当たりくじをめぐってさまざまな人間の思惑が入り乱れる「花嫁と女神の微笑」を併録。
桜の花が咲くころ、新聞記者を休職中のぼくは一つ年上の女とある酒場で再会し、一夜をともにする。そして、数ヵ月後、酒場に再びぼくが訪れた時に聞いた噂は、二十八歳の彼女は妊娠しているというものだった。しかも彼女は行方不明。父親はぼくなのか?ならばなぜ彼女は妊娠していることをぼくに知らせないのか?教授、魅力的な夫人、十七歳の少女、風変わりな探偵。悲しみも夢も希望もある人々とめぐり会いながら、彼は彼女の行方を追うー。
小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの恋人で同居人のミケさんは料理の達人にして名探偵。どんなに難しい事件でも、とびきりの料理を作りながら、見事に解決してくれる。でも、そんなミケさん自身にも、誰にも明かせない秘密が…。ユーモラスで、ちょっとビターなミステリ連作集。文庫化に際して、新たに特別短編を加筆。さらに美味しくなった、スペシャル・メニューを召し上がれ。
定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌するー。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。
蔵のなかで古い碁盤を見つけたヒカルは、異様なものを感じ、気を失った。気がついたとき、ヒカルの意識のなかには平安の天才棋士・藤原佐為の霊がいた。どうしても碁を打ちたい!という佐為につき合っていたヒカルは、アキラと出会い、囲碁に興味を持ちはじめる。ところが、めちゃくちゃ弱かったり、圧倒的に強かったりするヒカルは、あちこちで注目を集めることに!!人気囲碁漫画、待望のノベライズ。
僕の一人暮らしへの第一歩は、親父を説得することだったーはずだ。ところが、いざ話を進めてみると、意外なところで反対されるし、かれんは何か悩みを抱えているようで、気がかりだけが増えていく…。でも、部屋が見つかればふたりの「場所」ができるのだ。かれんの兄『風見鶏』のマスターが語る過去のエピソードも同時収録。人気シリーズ第6弾。
古代中国の戦国期、「戦国七雄」にも数えられぬ小国、中山国宰相の嫡子として生まれた楽毅は栄華を誇る大国・斉の都で己に問う。人が見事に生きるとは、どういうことかと。諸子百家の気風に魅せられ、斉の都に学んだ青年を祖国で待ち受けていたのは、国家存立を脅かす愚昧な君主による危うい舵取りと、隣国・趙の執拗な侵略だった。才知と矜持をかけ、若き楽毅は祖国の救済を模索する。
祖国中山は自分にとって小さすぎるのかー。楽毅の憂色は濃く、深い。四度にわたる隣国・趙の侵略。宰相だった楽毅の父は自ら望んで死地へ赴き、祖国は国土の大半を失った。趙の侵略はとどまるところを知らず、戦火が絶えない。が、祖国の君臣は方策を講じず、内外で声望の高まる楽毅を疎んじ続けた。苦難の戦いを強いられた楽毅はどこに活路を見出し、いかに理想の自己を貫いたか。
「老小説家・小島信夫」に縁のある三つの土地、各務原、名古屋、国立で語り始められる連作小説集。記憶障害をもつ妻「アイコさん」との生活を中心に紡がれてゆく日常と回想。淡々とした中に上質なペーソスとユーモアに包まれる傑作作品群。