2003年10月1日発売
葉沢里美16歳。女子高生。もとい女子高専生。成績不良。やる気なし。彼氏なし。『プログラミング基礎』の授業に疲れきって今日も二限目は保健室。そこにロボット工学の担当教官・図師からの呼び出しが-放課後図師の部屋に行くと、お前には愛がないとなじられる。図師はいう「このロボットには、愛がない」。そして課題のロボットを作り直す代わりに迫られたのは、あの「高専ロボコン」への出場だった。振られた役目はドライバー(操縦士)。試合は明後日。チームメイトの男子3人は全員変なヤツ。無理だよ、無理!絶対無理!友情、根性、努力のまるで似合わない4人の熱い青春が、いま始まった。ぼくたちに足りない部品はなんだろう?チームワーク最低の落ちこぼれ4人組が、「ロボコン」=ロボットコンテストに挑む理数系の青春。同名映画ノベライズ。
奇跡的な美肌と美貌をもつ京都の名門龍烏家の長女・楼子は、最愛の兄・琳太郎とともに、揺籃の中で日々美しきものだけを愛する暮らしを送っていた。その楼子を奇病が襲う。やがて発病を待っていたかのように、楼子の憧れる美貌の叔母・黎子がやってくる。その叔母の口から、楼子は、病を伝える龍烏家の秘密を明かされるが…。美しきものと醜きものを苛烈に峻別してきた美意識が、己自身の身体を脅かす醜きものに恐怖する。耽美をモットーとする著者が、美の孤絶を高らかに宣言した異形のホラー。
友を助けるため、主君へ諌言をした近習の村上助之丞。蟄居を命ぜられ、ただ時の過ぎる日々を生きていたが、ある日、友の妹で妻にとも思っていた弥生が、頼れる者もない不幸な境遇にあると耳にしー「五年の梅」。表題作の他、病の夫を抱えた小間物屋の内儀、結婚を二度もしくじった末に小禄の下士に嫁いだ女など、人生に追われる市井の人々の転機を鮮やかに描く。生きる力が湧く全五篇。
尾張の国荒子城主前田利昌の四男利家は、15歳で織田信長に仕えた。武勇に優れ「槍の又左」と畏れられ、また派手好みで、美しいものが好きだった。天下を望まずナンバー2を貫き、その律儀さ誠実さで加賀百万石の礎を築き上げたが、信長・秀吉から最も頼りにされたこの利家が最も頼りにしたのは、10歳年下の従妹妻まつだった。日本一の女房の生き方から学ぶ、賢い亭主操縦術。
夫の様子がなんだかおかしい。不審に思い始める妻に、従者の若者が、主の変化を問いかける。奇妙な振るまいの裏には何があるのか。この家にはなにか秘密があるらしい…。絶えず誰かに監視されているような婚家での生活に耐えつつ夫の謎を探るうちに、若い妻は思いもかけず本物の恋を知るーサスペンスフルな展開と、凛とした女の恋心に心揺さぶられる、新感覚の時代ミステリー。
薬品会社のOL栗子は、30歳を目前にして落ち込んでいた。職場はお局扱い、結婚見合いも断られ、家族も勝手気まま。とうとう家を出る。落ち着いた先は、幼なじみでレズビアン(オナベ)の菜摘の部屋。そんな栗子はある日、菜摘が経営するバーの常連客、古窪伸を紹介され、彼に一目惚れ。二人はやがて深い仲に。プロポーズを待ち望む栗子だが、どうも伸の態度が煮え切らない…。
菜摘もまた、店の客の紘子に一目惚れして付き合っていた。が、進展せず悩んでいた時、紘子の家でたまたま見たビデオから、伸が性風俗の商売に関わっていることを知る。一方、栗子も所在不明の伸に会いたくて、周辺を調べ始めた。一途な二人に、とんでもない恋の結末が訪れようとは…。揺れ動く女心を巧みに織り込んで描く痛快ラブ・サスペンス。
人々の不平不満が渦巻く街…新宿。やがて、行き場のない黒い感情が溜まって「それ」が生まれる…。社会人1年生の成は、痴漢がとりもつ縁で弁当屋の桐谷…そして高校生の由自と出遭った。自分たちの使命が人々の中に植えつけられた悪心の「芽」を刈ることだと告げられ、仰天する成だったが、桐谷との仲が深まるにつれ、次第に不思議な能力が目覚めだし…。待望のサイキック・ラブ書き下ろし。