2004年1月15日発売
秋川渓谷での連続強姦殺人の容疑者となった石破は、強要された一度だけの自白で、必死の抗弁も空しく死刑が確定してしまった。塀の外で無実を信じてくれるのは、想いを寄せる血の繋がらない妹だけ。二人は脱獄を企てるが自由もつかの間、ついに処刑の朝を迎えて…。絶望からの脱出を描く傑作サスペンス。
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。
私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。五日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。三人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏ー。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。野間文芸新人賞受賞作。
ロシアの捜査当局と情報交換のために急遽出張せよー。モスクワに到着した警視庁科学特捜班、通称STの百合根と赤城を待ち構えていたのは、ロシア正教会で起きたマフィア怪死事件だった。さらに、日本人フリーライターも変死して…。STシリーズ第3弾。
黒田官兵衛。戦国時代末期の異才。牢人の子に生まれながらも、二十二歳にして播州・小寺藩の一番家老になる。だが、「この程度の小天地であくせくして自分は生涯をおわるのか」という倦怠があった。欲のうすい官兵衛だが、「広い世界へ出て、才略ひとつで天下いじりがしてみたい」という気持ちは強かった。
官兵衛は信長に新時代が出現しつつあるというまぶしさを感じていた。「だからこそ織田家をえらんだ」のだ。信長に拝謁した官兵衛は、「播州のことは秀吉に相談せよ」と言われ秀吉に会う。秀吉は官兵衛の才を認め、官兵衛も「この男のために何かせねばなるまい」と感じた。ふたりの濃密な関係が始まった。
官兵衛を信長に取りついでくれた荒木村重が信長に謀反を起こし毛利についた。翻意させるべく伊丹を訪れた官兵衛は囚われてしまう。信長は官兵衛も裏切ったと錯覚し、子の松寿丸を殺せと命じた。竹中半兵衛の策で救われるが、官兵衛が牢を出た時は、半兵衛、既に病死。牢を出てからの官兵衛は身も心も変る。
信長が殺された。秀吉は「主の仇」光秀を山城山崎で討ち、その二年後には、豊臣政権を確立した。官兵衛は自分の天下構想を秀吉という素材によって、たとえ一部でも描きえたことに満足だっただろう。この戦国の異才が秀吉に隠居を許され、髪をおろし入道し「如水」と号したのは、四十八歳のときであった。
イケメン高校生の翔矢と雪乃、従姉妹の可奈子が謎のプロバイダに登録してから、次々と奇怪な事件が発生する。同級生の自殺、日本刀に取り憑かれる男、電源を切っても着信するケータイ、連続殺人、忍び寄る幽鬼の手。彼らが堕ちた魔界の連鎖とは?第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
あれは事故だった。夫の使うチェーンソーの操作ミスで、私は小指を失くした。その後、彼は何も言わずに家を出る。それきり音信不通だった夫が、拳銃で人を撃った挙げ句、廃屋に立て篭もっているという。しかも、女子高生と赤ん坊を人質にして。被害者の家族を巻き込んで展開する説得劇のさなか、一発の銃声が世界のすべてを暗転させた-。
人生に倦み、最高の刺激を求めていたジョン・ニューハウスは、塵に覆われた異星の海に棲む“塵クジラ”から採取される麻薬“フレア”を探す旅に出た。コックとして乗りこんだ塵クジラ漁船で、翼を持ち、優雅に空を翔ける異星人女性ダルーサと出会ったジョン。漁船で厳しい生活をともにするうちに、激しく惹かれ合っていくふたりだったが…。若き日のスターリングが華麗に描き上げた、ロマンティックな冒険ファンタジイ。
麻薬組織の追跡を振りきり、とある恒星系に逃げこんだミリガン運送のロイドとマージ、そして新任航法士の少女メイ。愛機の故障による窮地から3人を救ったのは、ガス惑星フェイダーリンクのリング上で暮らすコロニーの人々だった。しかし、星系政府が推進するフェイダーリンクの太陽化計画によって、彼らの居住地は消滅の危機を迎えていた。恩義に報いるため、ロイドらは一計を案ずるのだが…傑作ハードSF活劇第2弾。
マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。『カリブ海の秘密』の続篇。
頭部を撃ち抜かれ息絶えた、愛する妻ステファニーの無惨な姿。それが現場に急行したバース署殺人捜査班ピーター・ダイヤモンド警視が直面したものだった。一体なぜ、彼女が殺されなければならないのか?長年連れ添ってきた妻を襲った、あまりに突然の悲劇に絶句し、立ちすくむダイヤモンド。同僚たちはただ遠巻きに見守ることしかできなかった。やがて葬儀も終わり、犯人逮捕に全力を尽くす決意をしたダイヤモンドだったが、被害者の夫が正式な捜査に参加を許されるはずもなく、たった一人で調査を開始する。だがそんな時、ダイヤモンドは、警察の捜査を統括するマガーヴィ主任警部に呼び出され、取調室へと連行される。彼に妻殺しの嫌疑がかけられているのだ。アリバイを追及されたダイヤモンドは激昂し、席を立つ。だが、殺害に使われた可能性のあるスミス&ウェッスンが自宅の庭から発見され、彼の立場は急速に悪化していく…。報復のための罠か?陰謀なのか?哀しみに震えるピーター・ダイヤモンド警視は一人の男として、最悪の事件に立ち向かう。衝撃のシリーズ第7弾。