2004年6月発売
思いがけず訪れた恋は、唐突に無残な終わりを告げた。このまま森の中で朽ちて土に還りたいという恋人の願い。しかし、亡き恋人が、彼女の人生に思いもよらぬ悪夢と恍惚をもたらすのは、これからだった…。
誰も私を知らない遠い場所へ-そして、そこで終わりにする。…はずだったけど、たどり着いた山奥の民宿で、自分の中の何かが変わった。あなたの心にじんわりしみる気鋭の作家の最新長篇。
あの夏、ニューヨークはおしゃれで、華やかに輝いていた。でも、19歳の私はガラスの覆いに閉じこめられ、心は不思議に虚ろだった。30歳で自ら死を選んだ詩人シルヴィア・プラスの自伝的小説。
腕は確かだが、無愛想で一風変わった中年の町医者、勝呂。彼には、大学病院時代の忌わしい過去があった。第二次大戦時、戦慄的な非人道的行為を犯した日本人。その罪責を根源的に問う、不朽の名作。
ピュアな「秘密の恋」を描く大人気シリーズ! 叔父夫婦の帰国を機に、花村の家を出て一人暮らしをすることになった勝利。これで5歳年上のいとこ・かれんとの「秘密の恋」に進展が? 二人だけの時間を作るつもりが、そうはウマくいかず…!?
海の見える部屋に暮らす遙子は、システムエンジニアの仕事をもち、医大生の恋人もいて、それなりに満ち足りた生活を送っている。だが、有力者の父から見合いの話が持ち込まれたことで平穏な日々にさざ波がたってゆく。恋愛、仕事、結婚、親子関係、様々なしがらみの中で揺れ動く20代の女性の心模様を描く。コバルト・ノベル大賞を受賞した著者のデビュー作。
大阪のホテルで、連続して二人の男が猟奇的な方法で殺害された。フリージャーナリスト・木部美智子のもとに、取材依頼が舞い込む。その結果、ひとりの容疑者が浮かぶが、逮捕直前、美智子の目の前で自殺を遂げる。しかし、意外な事実が明らかになり、新たな殺人が…。『神の手』で注目を浴びた大型新人が「小説の面白さ」を追求した渾身のデビュー第二作。
子供を妊娠し浮かれているサエコの家に、夫の姉・実夏子が突然訪れる。長い間消息不明だったという実夏子は、そのまま勝手に住み着いてしまった。真夜中に化粧をしたり、冷蔵庫のハムを丸ごと食べたり、と不審な行動を繰り返す実夏子。何も言わない夫に苛つき、サエコの心はかき乱されていく…。出産を目前に控えた女性の心の揺れを描いた表題作ほか、一篇を収録。瑞々しい筆致で描き出された、心に染みる極上中篇集。
「ごめんなさい。やっぱり私はあいつと戦います」平凡な高校生・山本陽介の前に現れたセーラー服の美少女・雪崎絵理。彼女が夜な夜な戦うのは、チェーンソーを振り回す不死身の男。何のために戦っているのかわからない。が、とにかく奴を倒さなければ世界に希望はない。目的のない青春の日々を“チェーンソー男”との戦いに消費していく陽介と絵理。日常と非日常の狭間の中、次第に距離が近づきつつあった二人に迫る、別れ、そして最終決戦。次世代文学の旗手・滝本竜彦のデビュー作、待望の文庫化。
都に異変が起こる。ものみな凍りつき、春が来ない。根の国の主、無明王の仕業らしい。これまで道長を助けてきた、超能力を持つ少年楽師真比呂も、無明王に捕らわれてしまった。そこで道長は海を渡る。変身する白馬にまたがり、猫の化身を供につれて、妖怪どもと対決するために。好評「平安妖異伝」シリーズ、待望の新作長篇。
幽晦との境界が、破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。ならばそこから夜が染みて来る…。生まれてこのかた笑ったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れても凛として正しさを失わない女、岩ー「四谷怪談」は今、極限の愛の物語へと昇華する!第二十五回泉鏡花文学賞受賞作。
愛したことが間違いなんじゃない。ただ少し、愛し方を間違えただけー。完璧に家事をこなす妻を裏切り、若い女と浮気する木島。妻が化粧をするのを許さなかった原田。婚約寸前の彼女がいるのに社内で二股かれた洪一。仕事のために取引先の年上女性に近づく孝次…。裏切られても、傷つけられても、性懲りもなく惹かれあってしまう、恋をせずにいられない男と女のための恋愛小説9篇。
昼の書である『ユリシーズ』に対して夜の夢の書。バラッド『フィネガンの通夜』のリズムに誘われて居酒屋の亭主H・C・イアウィッカーが登場する。ダブリン郊外に店を持つ妻アナ、双子の息子シェムとショーン、娘イシーの一家が織りなす愛情と葛藤の物語、そこから見えてくる全人類の神話と歴史。リフィの流れに人類再生の願望をのせて進む壮大な作品。本書は、原作の約二分の一を訳出、選び出した断章ごとに解説を付して、全体像がわかるようにした。
名作『ミシン』から4年。待望の続編がとんでもない傑作として誕生した。かつてないスピード感&うねるようなグルーヴ感。圧倒的なライヴの臨場感が読む者を興奮させる、前代未聞のパンク・ロック小説の登場だ!