2004年8月発売
海上都市ワイスタァンに平和がもどり、鍛聖となったプラティは、多忙ながら平穏な日々を送っていた。そんなとき、街に不思議な事件が…。謎の覆面集団の正体は?消えた聖霊はいったいどこへ?プラティの戦いがふたたびはじまるー。ナツミとソルも帰ってくる!人気ゲーム「サモンナイト」外伝。ゲームでは描かれなかった、もうひとつのストーリーが幕を開ける。
十代で菊池寛に見出され、横光利一に才能を認められ、二二歳の時「酩酊船」で文壇デビュー、将来を期待されながらも以後一作の小説も刊行しないまま、奈良、山形、三重など日本各地を放浪、在野で文学研究に打ち込む半生を送った後発表した「月山」で、六二歳で芥川賞を受賞した作家、森敦。その間殆ど小説を書かなかったにも拘わらず、森は太宰治、檀一雄らと同人誌を作り、又、すでに名を成した錚々たる作家達が訪ねて来ては文学上のアドバイスを乞う。プロの作家でもなく、定職に就かない時期も永い、一介の在野の人間である森の文学理論は驚くべきものだった。本書は、五十代で東京に移り住み、文学研究に没頭した森敦に親しく接し、文学上の師弟関係となり、更に森敦夫妻の生活面まで助けるようになった著者が、森の没後十五年の今、作家の素顔と謎の半生、そして名作「月山」執筆と芥川賞受賞の経緯を評伝小説として綴ったものである。
世界で初めて全身麻酔に挑み、乳がんの摘出手術に成功した江戸後期、紀州の名医、華岡青洲。その成功に不可欠だった麻酔薬の人体実験に、妻と母は進んで身を捧げた。だが、美しい献体の裏には、青洲の愛を争う二人の女の敵意と嫉妬とが渦巻いていた…。著者の没後20年を記念して、新装版で甦る日本文学の作品。
自殺から3年後の命日の前日、飛鳥はひそやかな気配となって現れた。23歳の娘の死を受け入れられない母親、弟、すでに再婚した父親、男友だち、ストーカーだった男、弟の恋人-関わりのあった6人ひとりひとりの物語があぶりだす飛鳥の死の真相とそれぞれの心の闇。自ら命を絶った者と残された者の魂の安らぎを描く長編小説。
生きていれば何だって起きる。無残な事実も美しい奇跡も…。最後の仕手戦に賭ける相場師、妻を失った男、拳銃の元売人、柔道界から永久追放された男、拝み屋、流れ者、そして“出合い頭の人生”と呟く平凡な居酒屋の女。恋愛も、涙も、ミステリーもない。かわりに、心を強く揺さぶる10の孤独と人生が詰まっている。ざらざらした修羅場を生きてきた男の、大人のための短篇集。
世界最高の都市ニューヨークは、いかなる過程を経てつくられたのか。1661年、開港まもないニューアムステルダムに、理髪師にして神業のようにメスを入れる天才外科医の兄と、ハーブから魔法のような薬をこしらえる調薬師の妹が降り立った瞬間、そこで紡ぎだされるすべての物語が動きはじめた…。先住民、移民たちの無数の夢がひしめく世界最高の都市物語。
愛する人よ!かけがえのない街よ!マグニチュード8。2005年12月X日、東京大地震発生!10年前、神戸ですべてを失った者たちが今、立ち上がる!最新研究をもとに描かれる大地震シミュレーション巨編。
父親の食料品店で配達の手伝いをして働く若者バードンは、配達先で人妻の欲求不満解消にも一役買っていた。いまはエッチな人妻プルとセックスにはげんでいる。そんな彼だが、じつは深刻な秘密を胸に秘めていた。七年前、彼は仲のよかったいとこを自分のせいで死なせてしまっていた。そのいとこが土のなかから、夜の闇から、彼を呼ぶのだ。バードンは自分を責め、はやくいとこのもとに行かなくてはと思いつめるが、自ら命を絶つ意気地はない。そこで彼は思いついた。人妻との現場を夫に押さえられれば、問答無用でズドンと撃たれて死ねるに違いない。いまのところ彼の目論見は成功していないが、プルの夫は嫉妬ぶかく腕っぷしが自慢の巨体のトラック運転手。バードンの願いがかないそうに思えたとき、三年前に別れた恋人ジョーが町に戻ってきた…人妻との濃厚なセックスに溺れながら、死に魅入られ破滅へとひた走る若者の姿を描いた鮮烈な青春小説。
22世紀末、遺伝子管理局が統括する12基の知性機械によって繁栄していた人類文明は、とあるウイルスの蔓延によって滅びた。そして西暦2643年、ラテンアメリカ-変異体と化した人間たちと種々雑多な組織が蠢く汚濁の地にあって、自治都市エスペランサは唯一、古えの科学技術を保持していた。その実験体にして、知性機械サンティアゴに接続する生体端末の末裔アンヘルは、混沌の世界を平定すべくレコンキスタ軍を組織、不老長生のメトセラにして護衛の少年ホアキンらとともに、サンティアゴの到来が近づくグヤナ攻略を画策していた。いっぽう民衆たちのあいだでは、サンティアゴを神の降臨と捉える参詣団が形成され、その中心には守護者として崇められる青年JDと、謎の少女カルラの姿があった。アンヘルは、ある思惑を秘めて二人との接触を切望するが…。精緻にして残虐なるSF的イメージと、異形の者たちが織りなす愛憎と退廃のオペラ-沖方丁、小川一水につづく新鋭の叙事詩大作。
いまは懸想文の代書屋で口を糊している柳又十郎は、もとはといえば隠密廻り。その又十郎、家主にして七つ屋の福右衛門に質草に取られている胴太貫をネタに強請られた。とはいっても、強請られたのは金銭ではない。殺しの下手人を叩っ斬ることを強要されたのだ。ここのところ相次いで夜鷹が殺されているが、いずれも気味の悪いことに、肝が抉り獲られているという。嫌々ながらも、探索に奔走する又十郎の目前に現れた意外な人物とは-。
元北海道警SAT狙撃班の城戸口は、今では斜里警察署の山岳救助隊員だ。ある日、知床連山最高峰の羅臼岳に登山をしていた城戸口は、中肉中背で顔じゅうに髭を生やし、縮れた長めの髪をバンダナでまとめている男と出遭った。髭や髪に白髪が混じっていないことから、さほど年配でもなさそうなその男は言った。「城戸口通彦。五年前は道警SATに所属していた。俺の心の友を射殺した男だ」薄ら笑いを浮かべるその顔にはたしかに見覚えがあった…。SAT狙撃班時代、札幌市の消費者金融に二人組の男が侵入した。そのうちのひとりは城戸口が射殺。そして、今ここにいるのが、生き残った元エリート自衛官・折本敬一だったのだー。城戸口と折本ふたりの邂逅は、極限の知床で始まる壮絶な闘いの序章に過ぎなかった。