2004年9月30日発売
骨董とは美か、ゲテモノか、はたまた妖怪か?古物に魅せられた3組の男女が幻のお宝を追って、九州の山里から萩、ロンドン、フィレンツェへとさすらいの旅に出た。盗掘や贋作など、なんでもアリの骨董世界に生きる人間たちの泣き笑いを、切なくおかしく描く長編小説。
近江商人の末裔たる誇り高き田舎者にして大隈重信の末弟子、政治家らしからぬ政治家にして専横独裁の実業家、徹底した現実主義者にして時代の理想を追求し続ける者、私の父にして私の宿敵-。果して何者なのか?地縁と血の絆、修羅と栄光の狭間をひたすら生きたこの男は?この男の血を受けた運命から逃れきれないでいるこの私は?最大の「宿命」に挑む長篇小説。
太朗の様子がおかしい。夏だから?奴も恋した?それとも…?予定外の妊娠で子宝を授かってしまった私。母ひとり子ひとりの毎日はにぎやかで、香ばしい。でも、ひと夏の終わりはどこか危うい…。こどもの天国と大人の現実を描く表題作と短篇「ボーイ ミーツ ガール」。
恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。
NYを襲った同時多発テロは、アメリカ国民に深い傷跡を残した。そう、わたしの心にも。恋人でジャーナリストのモレルがアフガン取材に出て戻ってこないのだ。わたしは何度も帰国を促したが、モレルは「きみのほうこそ、もっと悲惨な状況をくぐり抜けてきたじゃないか」といって取り合ってくれない。募る不安から、わたしはより熱心に仕事に打ち込むようになった。そんな矢先、得意客のグレアムから依頼があり、わたしは飛びついた。なんでも、彼の母親が以前住んでいた邸宅に不法侵入者の気配があるので調べてほしいという。さっそく訪れた無人のはずの邸には、なぜか少女の姿が。わたしは話をしようと追いかけたが、足を滑らせて庭の池に落ちてしまった。必死で水草を掴もうとして手にしたのは、なんと死んだ男性の手。警察によれば、その男性は黒人ジャーナリストだという。だが、白人が支配する高級住宅地担当の保安官は面倒をさけるため、自殺の線で処理しようとした。そんなのは納得がいかないし、逃げた少女のことも気にかかる。わたしの闘いがはじまった!シカゴの女性探偵V・Iがポスト9・11のアメリカを駆ける。ヒロイン・ハードボイルドの頂点を極めた著者が贈る、V・I・ウォーショースキー・シリーズ最新傑作。
西暦2007年渋谷は日本から独立したというか、隔離された。ドラッグ、殺人、売春というありがちな事件が起こるたびに新聞が騒ぎ、若いヤツらしか寄りつかない街になった渋谷。日本政府はまるでガンにむしばまれた組織を切除するように、山手通から246にかけて鋼鉄の壁をそそり立たせ総面積300平方メートルの渋谷自治共和国を誕生させた。この小説はそんな渋谷を舞台にコメカミに穴を空け基盤を埋め込んだ若者の間で楽器を使って闘われる『Pray』とPrayersの物語。大脳という人間のブラックボックスを直接刺激することにより、派手で弾けた死をも賭けたゲームが闘われることから、「遊び」と「祈り」をかけたPrayと呼ばれた。
平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。高さ2キロメートルの塔が幾多の危機を越え、雲を分け聳え続けるのだ。世界を救うのは、夢みる力!魂の冒険と愛の発見の物語。石田衣良の新たな挑戦ー心ゆすぶられるヒューマン・ファンタジー。
両親と死別し、叔母の家でつらい日々を送っていたウジン。ある日現れた叔父のペドロ神父に引き取られ、母が呼んでいたという洗礼名、アンドレアとして成長する。高校生のとき、両親を亡くしてやってきた娘、ウナを優しく受け入れるアンドレア。彼を愛するようになったウナは、告白できないままアンドレアに神父になる決意を打ち明けられ、想いを胸にしまいこむ。ともに医学部に合格したアンドレアとウナはソウルの大学に入学。そこで、同じ名前を持つウジンと出会う…。
十七年後、優希は看護婦に、少年は弁護士・長瀬笙一郎と刑事・有沢梁平になっていた。再会直後、優希の過去を探る弟の行動と周囲に起きた殺人事件により彼女の平穏な日々は終わりを迎える……。
弟の行動に動揺を隠せない優希を悲劇が襲う。優希の実家が焼失。その焼け跡から母の死体が発見され、容疑をかけられた弟は失踪する。動転する優希を支えようとする笙一郎と梁平だが……。
メイン州の名家ジョーンズ家の娘ミランダは、一族の運営する美術史研究所で鑑定作業に従事している。彼女の元に、フィレンツェでやはり美術品鑑定の事業を手がけている母親のエリザベスから至急の呼び出しがかかった。ミランダを待っていたのは最近発見されたブロンズ像で、ロレンツォ・デ・メディチの愛人として“黒婦人ーダークレディ”と称されたその女性の像を、ミランダはミケランジェロの未発見の作品と鑑定する。だが国立研究所が像は贋作と発表したため、彼女は面目を失ってしまう。
フィレンツェから戻って傷心の日々を送るミランダに、今度は美術史研究所所蔵のダヴィデ像が盗まれたという知らせが追い討ちをかけた。ダヴィンチの弟子の作とされるそのブロンズ像を盗んだのは、表向きは画廊のオーナーだが、実は美術品を専門とする泥棒で、野性的な魅力を持つイタリア人のライアンだった。ところがそのダヴィデ像も贋作であることがわかり、結局ミランダとライアンは、複雑な感情を胸に協力して二つの贋作事件に当たることになるが…。待望のロマンティックミステリー。
昭和30年、まだ日本中が貧しかった時代、しかし、季節の手ざわりや家族のつながり、そして生や死を身近に感じながら子供が子供らしく成長できた時代-失われた時代の命の豊かさを、魅力あふれる少女の目で描いた感動的な少女小説。
高校生の臣人は、国際的私立探偵の父と二人暮らし。ある日、父の出張でひとり留守番中の臣人のもとに精悍な金髪美形が転がり込んできた。アレキサンドライトに似た瞳をもつ、彼の名はケイン。父の友人でイギリス特殊部隊SASの元隊員の彼は事故の後遺症で視力を失っており、日本で治療を受けるという。そんなある晩、酒に酔ったケインは臣人を恋人と間違えて抱こうとする…。どきどきビースト・ラブ、書き下ろし。
父の死で鷹羽組五代目組長を継いだ悠はまだ高校1年生。襲名早々、縄張りを巡って対立していた田吉組の組長にあやうく犯されそうになった悠は、家庭教師として幼い頃からずっと自分を見守ってくれていた、そして密かに想いを寄せていた若頭の里見に「体を狙われてもうろたえないで済むように、男同士のセックスを教えろ」と迫り、組長命令のもと性の手ほどきを受けることに…。ヴァージン極愛書き下ろし。