2005年10月発売
「男性の妊娠」研究を国際学会で発表し、各国の賞賛を浴びた岸川。彼の高度な医療水準に、アメリカで不妊治療をビジネス展開する大企業が目をつける。最先端の技術と情報を盗むため、巨大組織が仕掛けた卑劣な罠。そして、それに対して岸川がとった恐るべき反撃策とは。岸川の持つ闇が徐々に暴走し始める…。生殖医療の暗部を鋭くえぐり、進みすぎた生命科学が犯す罪を描き出した戦慄の長編小説。
フランスの下宿の娘ミミ、学友・乃木希典、美術商ルネ・ウィナー、園芸家ヴィクトール・ルモワーヌ、高島北海自身、そして現代に生きる女性作家「私」から、語られる、植物を愛した画家の謎と真実。
明治維新の百年前、京洛の闇の中で倒幕運動が始まった。公家や武家がそれぞれの思惑を秘め動き出す。そしてついに数百年も対立してきた二派の忍者、静原冠者と八瀬童子の決戦の火蓋が切られた。
もうすぐ八歳になる少女フィリエルの「家族」は、天文台に住む父親のディー博士と、お隣りのホーリー夫妻。住民四人のセラフィールドに、ある日おかしな子どもがやってきた。自分の殻に閉じこもり数列を唱え続ける少年ルーン。とまどいながらも徐々に心を通わせていく二人…運命の出逢いを描く、四つの季節の物語。
彼らの一瞬が、わたしたちの永遠。それでも、めぐりあえたら、嬉しい。普通人の300倍の時間を、ゆっくりと静かに生き続けている人たちがいます。瑞々しい筆致で紡ぎあげられた、みたこともないような物語。
俺の名は指宿青龍、中学2年生。少々背が高くて目つきが鋭くて喧嘩なら誰にも負けないだけなのに、友達ができない。そんな俺に、委員長の河田がクラシック・バレエの魅力を教えてくれた。友とともに目指せ「舞王」!第14回ジャンプ小説大賞『大賞』受賞作、華麗に魅せます。
売れない作詞家の加勢淳一郎は、四十九の時に離婚し独り暮らしをはじめた。ところが、そこから急に女性にモテだした。性格も暗く、気難し屋に見えるのになぜか?女運がよくなるにつれ、時代に合わなくなったといわれた仕事でも、ヒットを飛ばしはじめる。音楽家、人妻、OLと、貞淑から淫乱まで様々なタイプの美女が集まる、熱き男の日々。
長患いしていた薬種問屋の一人息子藤吉は、手すさびを覚えたことですっかり元気になった。おまけに女性の淫気の強弱がわかるという、奇妙奇天烈な能力が身についたのだ。ある日、病に伏すお武家のご新造を見て、原因は淫気の高まりと看破した藤吉は、按摩で気を解放させた。するとご新造が乱れだし…。好奇心旺盛な童貞と妖艶な美女たちの、めくるめく時代官能。
大富豪ロレーヌの邸宅に招待された、離婚の危機を抱える三組の夫婦。仲直りをうながすロレーヌの意図とは裏腹に、屋敷には険悪な雰囲気がたちこめる。翌日、三人の妻の一人が、謎の突然死を遂げたのを皮切りに、一人、また一人と女たちは命を落としていく…。素人探偵ダルース夫妻は、影なき殺人者の正体を暴くことができるのか?『女郎ぐも』『二人の妻をもつ男』の著書の初期を代表する「パズル」シリーズ第四作、ついに本邦初訳。
19世紀なかば、フランスの田舎町ルルドの娘ベルナデットの前に、聖母マリアが姿を現わした。その場所からは泉がわき、水浴をした者たちの病いが癒えるという事態が続発。こうしてルルドは、宗教界・科学界ともに認める「奇蹟の地」となり、ベルナデットは聖人に列せられたーそして、現代。ベルナデットが遺した日記が発見された。そこには、驚くべき記述があった。聖母マリアが、もう一度この地に姿を現わすと言い残していたのだ。しかも、その期限は、まさにいま、この時なのだ。
「聖母マリアがルルドにふたたび現われる」教皇庁の発表は、世界に大きな衝撃をもたらした。かくて、各国から多様な人びとがルルドへ集まってくる。病いを克服しようとひたすら願う女性。奇蹟のために手術を放棄した男と、それを止めようとする婚約者。権力の座を目前に死を宣告され、奇蹟にすがる政治家。記者生命をかけてルルドの嘘を暴こうとする特派員。そして、大義のために聖地破壊をもくろむ革命家…超ベストセラー作家が壮大な構想で贈る『イエスの古文書』と並ぶ歴史サスペンス大作。
イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じがたい言葉をかけた。「私の子を産んでほしい」と。時は流れ、産まれた子は、実業家として財を増やそうとする。だがその矢先、一族の人間が誘拐され、さらに前当主のドメニコの白骨死体が地中から発見された。調査を始めた人類学教授ギデオンは、骨に隠された一族の数々の秘密を知ることになるが…円熟味を増したスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの推理が冴える本格ミステリ。
小料理屋「ふく嶋」の板前、桃次郎は店舗の買収を目論む「加賀屋」と、店を賭けた料理対決に鎬を削っていた。一方、その「ふく嶋」の近辺では、罪のない善良な人々を殺害しておきながら、ぬくぬくと生き延びている殺人犯たちが、何者かに包丁で惨殺されるという奇怪な事件が続発していた…。腕の立つ実直な料理人が殺人鬼として極悪非道の犯罪者たちを“料理”していくブラックな味わいの連作短篇集。
京都。修学旅行でグループ行動をしている、東京から来た七名の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒、小野寺冬葉が失踪し、消息を絶ったー。二十年後。三十五歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループのメンバーに、過去の亡霊が甦る。「わたしを憶えていますか?」突然、送られてきた冬葉からのメール。運命に導かれて再会した同級生たち。彼らに次々と降りかかる不可解な事件。冬葉は生きているのか?そして、彼女の送るメッセージの意味とは…?「今」を生きるすべての人に贈る、渾身のサスペンスミステリー。