2005年12月発売
大正14年、浅草の長屋で誕生。人なつこくて、親孝行の働き者、幼くして三味線に秀でた美代子は、14歳のとき、自ら芸者の道を選ぶ。厳しい修業、芸者ゆえの悲恋、幼なじみと結婚後の苦労。東京大空襲にもあった…。大黒柱として一家を支え、どんなときでも明るく前向きにたくましく、激動の昭和を生き抜いた小美代姐さん。爆笑、ときにはホロリと涙、売れっ子芸者の半生を、会心の筆で描いた小説。
漫画家を目指す十七歳の女子高生・岡本聡美は、夏休みに、養成学校の研修「あなたも漫画家になれる!」に参加することに。婚約者を置いて参加した尚子や、脱サラを目指す笠原など、一風変わった仲間たちと研修先のロッジに向かう聡美。しかし同じ頃、護送中の凶悪犯が、なんと警官を殺して逃亡。そしてその凶悪犯を追っているという刑事が、聡美たちの宿泊先に現われて…!?嵐に閉ざされたロッジで、聡美は生き残ることができるのか!?快作ミステリ、登場。
「戸村の声がかすれて、低くなる。『永倉、おまえ、やめるか?』身体が震えた。ずっと考えていたことだった…」強豪校・横手との練習試合で打ちのめされ、敗れた巧。キャッチャーとして球を捕り切れなかった豪は、部活でも巧を避け続ける。監督の戸村はバッテリーの苦悩を思い決断を告げる。キャッチャーを吉貞にーと。同じ頃、中途半端に終わった試合の再開を申し入れるため、横手の天才スラッガー門脇と五番の瑞垣が新田に現れるが!?三歳の巧を描いた文庫だけの書き下ろし短編「空を仰いで」収録。
親友の死は事故、それとも自殺、あるいは失踪だったのか…?妻・映里子と亡き親友との過去に疑念を抱きながら、昭は真相を突きとめるため、親友の故郷、飛騨の山奥の神馳淵を訪れる。鍵を握るのは伝説の仙人イワナ。昭はそこで心のわだかまりを解き放ち、すでに絆を失いかけている妻との関係を取り戻すことができるのだろうか。人生のさまざまな鬱屈の先にあるたしかな希望と、愛によってたつ男と女の脆さとその再生を見事に描いて心ふるわせる恋愛ロマン。
むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃があるー。母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。
欧米でロングセラー、フランク・マギル編の決定版事典より1001編を精選。戯曲、叙事詩、回想録等を含む世界文学の主要作品を網羅したセレクション。ギルガメシュ叙事詩からピンチョンまで、古今東西の作品を収録する。配列は書名の五十音順。初版年、ジャンル等の書誌データも充実。作家略歴、文学史的位置付けを解説として各項目に記載。長篇作品にも十分な紙面を割き、詳しくあらすじをたどる。各項目末に入手可能な翻訳書誌を付す。肖像写真等の図版を約半数に掲載。
荒涼とした岩の大地と、砂色の空、砂色の海、長く続いた戦争で掘り尽くされた炭鉱と。殺風景で無愛想で怠慢で、いつ訪れるとも知れない終焉に向かってただじりじりと退廃しながらゆるやかに刻をきざんでいる。-錆びた赤毛の青年と、“喋るラジオ”と、そして少女は、そういう惑星を旅している。
美人でスタイル抜群ながら、なぜか男運に恵まれない、その名もジョレイン・幸運。強靭な独身女性だが、動物にだけは弱いという彼女が、男と別れたときの自分の年齢の数字でロトくじを買ったところ、なんとこれが大当たり!賞金は2800万ドル…ところが、当たりくじはもう1本あった。悪いことに、それを買ったのは、ネオナチもどきのちんけな犯罪者2人組。このトチ狂ったコンビが、アメリカを陰謀から守るため、なぜかジョレインの当たりくじに目を付けてしまったから、話は面倒な方向に。
やる気のない新聞記者トムが、当たりくじの取材にやってきた。もちろんジョレインのほうはお呼びじゃない。そこへ例の2人組が登場、よせばいいのに、ジョレインの当たりくじを力ずくで奪おうと挑戦。ただ殴られるようなジョレインではなかったが…突如はじまる超高額宝くじ追跡劇に、ふりふりの巨乳ウェイトレス、ミュージカル『羊たちの沈黙』の主演女優、犯罪界の大立者に、聖なるカメまでからんで大混乱!異能のベストセラー作家が贈る、当意即妙抱腹絶倒感動必至の傑作。
メリーランド州の田舎町で、宅地開発中に新石器時代の人骨と集落の跡が見つかった。この貴重な発見の発掘プロジェクト・リーダーとして、考古学者のコーリーが呼び寄せられる。彼女は張り切って仕事に取りかかるものの、共同リーダーとして人類学者のジェイクも参加すると聞いて眉をひそめた。彼は元夫で、気まずく別れたばかりだ。一方、発掘のニュースをテレビで観て仰天する女性がいた。画面に映るコーリーこそ、赤ん坊のときに誘拐された自分の娘に違いない。それは揺るぎない母親の確信だった。