2005年発売
「ようー俺の敵」“世界”を、そして“物語”を終わらせるため、「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”に「狐面の男」はささやく。キーワードは、加速。そして、世界の終わり。何より、物語の終わり。待ち受ける刺客、“十三階段”の向こう側にある“終わり”の果てにあるものはー!?新青春エンタの決定版中の決定版、“戯言シリーズ”。その最終楽章となる『ネコソギラジカル』三部作の前奏曲がついに奏でられる!完全燃焼、西尾維新。
「ニンジャ」の技は世界に通ず。大老井伊直弼の密命を受け、遣米使節団の一員としてアメリカに渡る元お庭番、村垣淡路守の活躍を描く気宇壮大な表題作、東京オリンピックを忍者の闘いに見立てた「忍法金メダル作戦」(文庫初収録)を含む全七篇。
幼いわが子がガンを宣告されたら?そしてあらゆる手を尽くしても死なねばならなかったとしたら?新進気鋭の文芸評論家フォレストにこのうえない悲しみが降りかかった。最愛の娘ポーリーヌが小児ガンで亡くなったのだ。まだ4歳だというのに…。本書は娘の発病から死に至るまでを綴った父親の闘病の記録である。フェミナ処女作賞受賞。
平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官、死刑囚の心の動きを緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る芥川賞受賞作「夏の流れ」、稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」、ほかに「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など初期の代表作七篇を収録。
浅草寺の境内で娘が晴着を切られ、怪我をした。数日後、一緒に閻魔まいりに行った堀留小町といわれるほど器量良しの娘が殺される。表題作ほか、東吾の親友で、八丁堀同心の畝源三郎がめでたく祝言を迎えるまでの騒動を描いた人気作品「源三郎祝言」も含め全八篇。新たな登場人物も加わり、ますます好調のシリーズの新装版第十弾。
芸者をやめたお文は、伊三次の長屋で念願の女房暮らしを始めるが、どこか気持ちが心許ない。そんな時、顔見知りの子供が犠牲になるむごい事件が起きてー。掏摸の直次郎は足を洗い、伊三次には弟子が出来る。そしてお文の中にも新しい命が。江戸の季節とともに人の生活も遷り変わる、人気捕物帖シリーズ第四弾。
天下にむかってはなばなしく起ち上った織田信長の家中に、ぼろぼろ伊右衛門とよばれる、うだつの上らない武士がいた。その彼に、賢くて美しい嫁がくるという…伊右衛門は妻千代の励ましを受けて、功名をめざして駈けてゆく。戦国時代、夫婦が手をとりあってついには土佐一国の大名の地位をえた山内一豊の痛快物語。全四冊。
木下藤吉郎(豊臣秀吉)の手についた伊右衛門の出世は、遅々としてならない。そして日の出の勢いだった織田家に転機がきた。信長が本能寺で斃されたのである。跡目をねらう諸将の中で、いち早くとび出したのは秀吉であった。伊右衛門にも運がむいてきた。四十歳を目の前にして、彼はやっと大名になった、わずか二万石の…。
「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。
渋谷で自警団「シティ・ガード」を率いる18歳の三枝航。離婚した妻から家庭内暴力を振るう息子を引き取った敏腕ライターの仙元。互いにトラウマを抱える二人の人生が交錯し、やがて航のカリスマ性の裏に潜む、おぞましい狂気が暴き出されていくー。多くの事件・犯罪を取材してきた著者渾身のデビュー小説。
暴力と権力がはびこる’70年、中国。上海は秘密結社・侠客党の手で護られていた。が、文革の嵐にまぎれ、南の紅花党が振興を開始。闇社会もまた、混乱していた。「俺を指名しして来た奴を。…殺したのか」悲しげに問うた男の名は、侠客党の若きエリート・風箔。絶世の武芸と冴えた頭脳をもちながら、人を殺せなくなった青年である。「敵の数は、減らせるときに減らす」刃物のような声は、上司の探刻。風箔の心の傷を分かち合う美貌の友。「まだ、殺せぬか。私はもう…顔も思いだせん」探刻は風箔に手を汚す必要のない仕事を命じる。党のパトロンの洋館へ行き、財宝のありかを示す暗号を解けというのだ。相棒は、妙になまいきな少女・選杯。一見平穏な任務に見えたがー。上海の闇の中、蒼き狼は胸を疼かせ真実を追う。第4回富士見ヤングミステリー大賞最終選考作。
姉を殺害した犯人に、事件現場で襲撃された片桐稔は、その後遺症から通常の“匂い”を失い、イヌ並みの嗅覚をもつことに…。まったく違う世界に戸惑いながらも、失踪したバンド仲間を、嗅覚を頼りに捜し求めてゆく。新たな能力を駆使することで、姉の仇を討てるのか?新感覚の大長編異次元ミステリー。
肥前佐賀藩の小吏の家に生まれた江藤新平。子供の頃から一種の狂気を持った人物だった。慶応三年、大政奉還を知るや「乱世こそ自分の待ちのぞんでいたときである」と、藩の国政への参画と自分の栄達をかけて、藩の外交を担い、京へのぼった。そして、卓抜な論理と事務能力で頭角を現していった。が…。
明治維新の激動期を司法卿として敏腕をふるいながらも、明治六年、征韓論争で反対派の大久保利通、岩倉具視らと対立。敗れて下野した江藤新平は佐賀の地から、明治中央政府への反乱を企てたが…。三十四歳から四十一歳までのわずか七年間に、栄光と転落を味わった「ふしぎ」な生涯を描く傑作歴史長編。
死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そしてーー自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのかーー? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。 38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢ったーー。 僕らは、友達になれるだろうか? 死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そしてーー自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのかーー?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。 流星ワゴン 文庫版のためのあとがき
その日、広島は核の業火に包まれた。人類史上類を見ない大量殺戮の閃光が、日本に定められた敗北の道を歩ませ、「国家としての切腹」を目論む浅倉大佐の計画を加速させる。彼が望む「あるべき終戦の形」とは?その凄惨な真実が語られる時、伊507乗員たちは言葉を失い、そして決断を迫られた。刮目の第3巻。