2006年12月発売
末期ガンを患う西洋画の大家・篠崎源一郎が、入院先の病院から失踪した。三陸鉄道北リアス線のレトロ列車に乗って、久慈から、宮古へ。看護婦の田代由美子の献身的な協力を得て、生涯最後の大作を描くために、三陸海岸の名勝・浄土ヶ浜に向かったのだ。精力的な創作活動をつづける篠崎の前に現れた私立探偵が、東京で殺され、事件の真相を追って、十津川警部が、三陸へ飛んだ!篠崎の妻・昌子、モデルとなった美少女・亜里砂、そして、画商・花井久美ー。篠崎をめぐる女たちの怪しい行動は、なぜなのか?ロマンあふれる筆致で、人生の愛と裏切りを描く、巨匠の渾身力作。
「あの二人は、本当の夫婦ではありませんね…」ベテラン警部・藤之木秀夫の言葉に新米刑事の三尋由香里は驚いた。猪苗代湖畔で発生した心中事件の再捜査の過程で「AIZUマウントエクスプレス」に乗り換えた二人。退官間際の藤之木がその車中で偶然接触した老夫婦に対して感じた些細な違和感が、やがて猪苗代湖夫婦心中、北千住夫婦焼死事件と結びついていく。
おふみばあさんが亡くなって、身の振り方を案じなくてはならなくなったシュウちゃん。倫太郎たちは、シュウちゃんが一緒に学び生きていけるための「学校」を探すことにした。一方、倫太郎とミツルは上級生の豪二と話し合い、学校を良くしていくための接点を見いだそうとする。倫太郎たちの行動によって、教師たちにも変化が出始めた…。いのちの共鳴を描き続けた作家・灰谷健次郎の最後の作品。
昭和3年、町はずれに住んでいた60歳過ぎの女性・片岡直が殺された。行きずりの強盗が犯人だろうと思われたが、事件の真相は直の恐ろしい過去に隠されていたー(「絵馬」より)。そのほか当時の交友関係をベースにした「艶書御用心」「素敵なステッキの話」、外国を舞台とした「夜読むべからず」「喘ぎ泣く死美人」、また新たに単行本未収録作品「燈台岩の死体」「甲蟲の指輪」を加えた全18作品を掲載。幻の小説がよみがえる。
進藤宏。40歳。新作が描けなくなった絵本作家。フリーライターの仕事で生計を立てる進藤は、さまざまなひとに出会う。破滅の時を目前にした起業家、閉園する遊園地のピエロ、人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員…。進藤はスケッチをつづける。時が流れることの哀しみを噛みしめ、東京という街が織りなすドラマを見つめてー。「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。
女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。どうにかこうにか宙空を、地球と一緒にぐるぐる回っている。暇さえあれば寝てしまう雛子、歳の割にしっかりした小学生の弟・真人、時々ヒステリックな母の圭以子。同居する祖母の萩乃が「運針の病」にかかってしまったことで、ぎりぎり保たれていた均衡がゆらぎ出した…。不安定な心のうつろいと喪失に、まっすぐにむきあう姉弟の物語。
「先輩、ぼくの推理を聞いてもらえますか?」-幽霊が現れる下宿、地縛霊の仕業と噂される自動車事故、学校のプールに出没する河童…。大学一年生井上快人の周辺におきた「あやしい」事件を、キテレツな先輩長曽我部慎太郎、幼なじみの川村春奈とともに解きあかす!ジュブナイルのミステリーキング・はやみねかおるが贈る、ちょっぴり不思議な青春キャンパス・ミステリ、ついに登場。
空座町に識別不能の霊体“欠魂”が発生した。直後、一護とルキアの前に死神の少女・茜雫が現れ、斬魄刀で欠魂を一掃してしまう。一方、尸魂界でも異変が起きていた!“闇の勢力”による世界崩壊まであとわずか!一護と護廷十三隊は世界を救えるのか?劇場版ノベライズ。
京都の医学部大学院に勤務する秋沢宗一は、研究室助手の結婚披露宴で、偶然ある女性を見かける。それは13年前、札幌時代に激しく愛しあった亜木帆一二三だった。不思議なことに、もう中年であるはずの一二三は20代の若さと美貌を持った別人となっていた。昔の燃えるような感情が甦り、どうしても彼女のことが忘れられない秋沢は、女の周辺を探るうち、驚くべき事実を掴む。彼女を愛した男たちが、次々と謎の死を遂げていたのだ…。第14回鮎川賞を受賞した気鋭が放つ、書下し長篇ミステリー。