2006年8月1日発売
才能を買われ、彼らは異国のスタジアムに招かれた。世界を流離うコーチ・雪島裕司は、黒社会と関わっていた。奇跡的に復活した投手・金光洋昭は、ベトナム戦争の亡霊と遭遇した。アジアの超新星・劉東生は、知らず陰謀に呑み込まれていた。みな禁断の路地に足を踏み入れてしまったのだ。横浜、台中(台湾)、光州(韓国)。神なき三つの都に降る雨が、男たちの体を蝕んでゆくー。
七十五歳になる周作は、真珠湾攻撃から五十年の節目に、戦友の早瀬、栗城とともにハワイへ向かった。終わらない青春を抱えて生きる男。その男を生涯愛しぬいた女の死。人生の輝かしい一瞬を求めて、男ははばたく。感動の長編小説。
慶長二十年、大坂夏の陣において、真田幸村の猛撃に徳川旗本衆は総崩れとなり、家康の命もあわやという土壇場、ひとり踏みとどまり、御大将の窮地を救った初代から数えること、百三十年。時は八代将軍の御世が終わりを告げる頃。下膨れの童顔に大きな瞳。眉間には「桃割れきず」。八百八町、その名を知らぬ者なき茶乙女家七代目、留主水之介康景。「身の生業も旗本の、分を超えた人助け。只今参上仕る!」。
そちの嫁とりは、天下の一大事ー朋友、田沼意次によれば、縁組は前将軍、吉宗のお声がかりらしい。窮した留主水之介はあの手この手を使うが…。九月末の深更、ついに婚礼の支度が相整う。花嫁は熊本藩主の妹君で、名は冴姫。その花嫁が遁走した。捨て台詞は「奪いに来るのを待つ。心して参れ」。じゃじゃ馬姫に一目ぼれした留主之介にふりかかる災難とは?時代小説界の気鋭が放つ幻の続編。
紀伊国屋文左衛門の影の用心棒を務める浪人・鬼怒玄三郎。師と仰ぐ佐貫炎十郎とともに、裏稼業の元締め・明石の文蔵が持ち込む標的を闇の裡に仕置きし、修羅場を潜り抜けてきた。奸智と策謀で俄成金となった材木商の奈良屋茂左衛門は、文左衛門を目の仇と狙い、目障りな玄三郎に次々と刺客を放ってくる。この茂左衛門同様、幕府御用の利権に係わって、しこたま儲けた役人と似非医者たち。悪遊びにうつつを抜かし、江戸の庶民をいたぶる悪党どもを、玄三郎の怒りの剣が斬る。