2006年発売
「あなた、この着物要らない?」高校時代からの親友の言葉には続きがあった。「この着物を着てある女に逢ってほしいの」そしてー。奥さんにしたいナンバーワンといわれた女の、その実は?からみあう愛と憎悪の中で、予期せぬ結末が待つ十二の物語。女は見かけによらぬもの、あなたもだまされて下さい。
桶狭間の戦いで今川義元の首級を挙げた毛利新介と服部小平太。二人は信長に武功を認められ昇進を果たすが、その後、新介は織田家の家督を相続した信忠に、小平太は豊臣秀吉に仕え、別々の道を歩むことになった。二人の武将を待ち受ける数奇な運命と信長、秀吉の天下人への道のりを克明に辿った戦国歴史長篇。
産婆のオバァのまじないによって姿を見えなくされてしまった愛する息子。末婚の母、津奈美は命をかけて井戸に飛び込み、“陰”の世界へと向かう。他の人間にかけられた「七つの願い」を奪うことで、息子の姿を取り戻すのだ…。美しい島の自然を背景に、若き母親の一途で壮絶な愛を描いた、ファンタジーの傑作。
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とはー。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
自衛官の楢本は、8年間行方不明の元同僚・越路を捜しにカンボジアに来た。楢本が越路を捜す目的は、越路の妻と自分が一緒になる承諾を得る為だ。越路を捜す間、楢本は人身売買、汚職、売春にまみれたカンボジアの現実に直面する。やがて楢本は、越路が幼児売買に関わっているとの噂を聞きつけるが…。著者待望のハードロマン。
ドナウ川で邦人男女が心中…その小さな新聞記事が頭から離れなくなった私は、二人の足跡を追ってウィーンへと向かった。もはやこの世にいない19歳の少女、日実は、異国の地でどんな恋をし、何を思い、そして何ゆえに追いつめられていったのか?悲劇的な愛の軌跡を辿る、哀切さにみちたノンフィクション。
深く刺さった、小さな棘のような悪意が、平和なオフィスに8つの事件をひきおこす。社会人一年生の大介にはさっぱり犯人の見当がつかないのだがー「歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない」という掃除の天才、そして、とても掃除スタッフには見えないほどお洒落な女の子・キリコが鋭い洞察力で真相をぴたりと当てる。
坂本家はサザエさんちと同じ七人家族。ニートの父親、サプリ漬けのばあさん、いじめに悩む長男、かさぶたができるまで頭を掻きむしる二女etc…七人家族があゆむ、へたくそで、ばらばらで、泣きたくなるほどあったかい日々。第一回きらら文学賞受賞作。
父が遺した謎の鍵を手にすると、大間木琢磨の視界に広がるのは、四十年前の風景だった。若き日の父・史郎が体験した運送会社での新事業開発、秘められた恋…。だが、凶暴な深い闇が史郎に迫っていた。心を病み妻に去られた琢磨は自らの再生をかけ、現代に残る父の足跡を調べるー。父と息子の感動長編。
呪われたトラックBT21号の運転手四人が次々と殺され、史郎が精魂を注いだ新事業も立ち行かない。すべては闇の住人、成沢が仕掛けたことだった。愛する鏡子まで成沢の罠に陥り、史郎は苦悩の選択をするー。一方の琢磨は、現代に残っていたBT21号を手に入れる。「物語」のすべてがつまった圧倒的大作。
毒死した京都の外科医、轢死した東京のプログラマー、失血死した鳥取の書店員…場所も日時も別々で互いに無関係な六人の死。自殺、事故死、殺人としてすべて解決したはずのこれらの事件の共通点とは何か?薬屋探偵三人組の良心座木が難攻不落の謎に挑む!個性派キャラが続々登場する好調シリーズ第3弾。
女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。(講談社文庫) 女ざかりの研究者が追う『源氏物語』幻の一帖。 女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。
ゴーラではカメロンが、イシュトヴァーンの男児が発見されたとの報を受け、今後の策に頭を悩ませていた。パロではリンダが、女王として一人気丈に政務に取り組むかたわら、レムスと久々に姉弟の再会を果たしていた。ケイロニアでは、グインの身柄を守護できなかった探索隊の失敗を受け、アキレウス帝とハゾスが、グインの行方に思いを馳せていた。いっぽう追手を逃れたグイン一行は、奇妙な城にたどりついていたのだった。
V・Iの恩師、母校バーサ・パーマー高校女子バスケット部のマクファーレン・コーチの依頼が、事の発端だった。V・Iが故郷サウス・シカゴを抜け出せたのは、彼女のお陰だったのだ。不治の病を得てしまった恩師に替わり、渋々ながら母校で臨時コーチをつとめることになるV・Iは、久しぶりにサウス・シカゴに足を踏み入れた。昔と変わらない故郷の窮乏ぶりに、心が痛む。女子生徒の半分は最上級生になるまで妊娠し、多くはそのまま地元の薄給の仕事につき、同じく薄給の男と家庭を持ち、またしても同じ境遇に子供たちを送り出すのだ。現在に希望はなく、未来にも光は見えない。そんな生徒たちの一人から、彼女の母親が勤める町工場が悪質ないやがらせを受けていると相談され、V・Iはまたしても事件の渦中へと踏みこんでゆくことになる。一方で寄付の依頼に行った地元の大企業でも事件の臭いを嗅ぎつけるが…。頼まれれば嫌とは言えず、危険も厭わずに体を張ってしまう、V・I・ウォーショースキーの真骨頂。ミステリの世界を超えて頂点に君臨する、サラ・パレツキーの最新作。
ケイト・コナーは、カリフォルニア州サン・ディアブロに住む、二人の子持ちのごくごく平凡な専業主婦。夫は地方公選弁護人になるべく選挙活動中の弁護士で、それを助ける妻業と子育てのママ業をめいっぱいこなしながらも、「フツーの幸せ」を満喫していた。だが、彼女には秘められた過去があった。孤児としてバチカン法王庁で育てられ、小さい時から悪魔退治の技法を教えこまれたデーモン・ハンターだったのだ。いまは引退し、平和な街で何年も暮らしてきた彼女だったが、ある日を境に状況は一変する。悪魔に憑かれた老人に、突如襲われたのだ。しかも、よりによって夫の選挙運動をかねて開いた新任の判事を招いたディナーパーティの直前に。かろうじて退治し、死体はキッチンのパントリーにほうりこみ、家族の目から必死で隠す。それだけでもショックなのに、ディナーの主賓ラーソン判事から漂ってきたのは、悪魔特有の悪臭だった!どうやら悪魔たちの目当てはなんらかの聖遺物で、それがこのサン・ディアブロにあるらしいのだが…。
二万石ではありえぬほど巨額の賄を持参した肥前箕浦藩主佐宗直虎に不審を覚えた田沼から、探りを入れろと命じられた大目付の“かみなり旗本”政盛。ところが、ひょうたん息子の右京は、箕浦藩より財務に請われている宰我と知り合いで…。書下し傑作時代活劇。
緋之介の邪魔がため、家康が吉原に隠した秀吉の秘宝を失ってからというもの、恨み骨髄の信綱。余命を悟ったか、今また緋之介を陥れんと、町奉行の神尾備前守に命を下す。その後、緋之介は突然の役付の報せに戸惑い、光圀に相談するも…。書下し長篇剣豪小説。