2006年発売
苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。
イタリア系移民の父が興した造園業を息子にゆずり、軽飛行機三昧の日々を送る主人公。幼い二人の子を遺し、韓国系の妻が自殺めいた死に方をしてから四半世紀。地上半マイルから見下ろすと、すべての憂さが消えてしまうようだ。-だが、母を喪った子どもたちを育ててくれた長年の恋人は去り、老いて施設に暮らす父はいよいよ衰え、結婚を控えた娘は、重い病に襲われる。愛する者を半ば遠ざけるようにして生きてきた男に、決断のときが迫ってくる。全米期待のコリアン・アメリカン作家による、三代に亘るカンバセイション・ピース。
大学の非常勤講師をしながら夜はバーのマスター、さらに私生活ではその店のオーナーである色男極道、横溝の愛人=ペットーそんな三重生活を送る怜だが…、横溝が身内のゴタゴタで忙しくしている隙に北京大学からやってきた新任教授、尹先生がなぜか急接近。一見紳士な尹教授のとんでもないセクハラ攻撃に晒される事態に…。独占欲全開。意地悪&絶倫“ご主人様”シリーズ、エロフル書き下ろし第2弾。
東洋の血を引く青年、仁は英国侯爵エドモントン卿の次男。狩猟犬サルーキのトップブリーダーである父の命を受け、砂漠の遊牧民ベドウィンのキャンプを単身目指した仁だったが、苛酷な地で迷子になり…漆黒の髪と力強い眼をもつ黒衣の美丈夫に助けられる。彼こそが優秀なサルーキの飼い主で、若き族長のサルウィンだった…。砂の大地に咲いた愛は束の間のもの…?灼けつくスリリング・ロマンス書き下ろし。
東京大会を終えたばかりの泥門デビルバッツが向かう合宿先に、宿敵・王城ホワイトナイツが鉢合わせる。おまけに、地元アメフトチームとの練習試合では、ヒル魔の恐ろしい指令が待っていた…!関東大会直前の極秘合宿の全貌を描く、待望のオリジナルストーリー登場。
リングワールドを破壊しかねない戦いのさなか、この巨大人工天体構築の謎がついに明らかにされる…ハードSFの第一人者ニーヴンの代表作にして、ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作『リングワールド』に始まるシリーズ、待望の最新作。
中堅ミステリ作家・左創作は、文章からそれを書いた人間をプロファイルする文章探偵である。彼は、審査を務める新人賞に応募された作品の中に、自分が講師をしている創作講座の生徒のものらしき作品を発見する。しかしその作品内容に酷似した殺人事件が起こり、左は文章プロファイリングを開始する。真実を述べているのは誰なのか?謎が謎を呼ぶ、不可解な展開!妙手、草上仁がしかける本格ミステリ。
韓国で人気のラジオ・パーソナリティ、ユン・ソナ。生まれつきの障害のために身長は120センチしかないが、最愛の夫との結婚生活に、仕事に、いつでも一生懸命。障害にともなう壮絶な苦労、そして誰もがぶつかる人生の悩みを乗り越えてみずからの夢をかなえた「親指姫」が綴るエッセイ。
テレビ局ディレクターの新田直子に、ブラジルから国際電話が入った。古い友人を訪ね渡航した元外交官の父親からだ。「死の天使メンゲレは生きている」父は告げた。もし本当なら世界的スクープだ。直子が真偽を確かめるためブラジルに飛んだ直後、父はポーランド・ワルシャワ郊外で射殺死体となって発見される。なぜブラジルにいたはずの父がワルシャワで…直子は真相を求めて行動を起こす!衝撃的スクープを追ってブラジルからポーランドへ!卓抜な着想と壮大なスケールで描く渾身の書下し長篇。
岡山で生れた女には、東京も、韓国も、ベトナムも、みな異国だった。そんな異国の男との情事のさなか、快感に震える女の肌の裏側で、岡山の地霊は冥く疼きはじめる。官能が高まるほどに、死の匂いを纏わりつかせた、懐かしくも恐ろしい土俗の記憶が溢れてくるのは、なぜー。自ら惜しみなくエロスを生きる著者だけが探り当てたエロスの最奥。痺れる甘さと蕩ける毒に満たち13篇。
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らないー。ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃。それを偶然手にした私は、次第にその“死と直結した機械”に魅せられていく。救いのない孤独と緊張。膨らみを続ける残酷な妄想。そしてその先には、驚愕の結末が待っていた…。非日常の闇へと嵌まり込んだ青年の心の軌跡を、確かな筆力で描く。若き芥川賞作家、堂々のデビュー作。
あなたと私、二人きりですべてをわかちあった秘密の時間ー。数奇な生い立ちをもつ渚と玲奈。幼くして知り、別離を経てめぐり合い、もう離れられないと悟った二人は、手を取り合って許されざる官能に身を投げ出す。無垢すぎる魂が引き寄せる悲劇。狂おしくも甘やかな死の予感言葉と写真の奇跡的な融合が小説を超える世界を生み出す。一篇の映画にも似たコラボレーション・ブック。
自らの出生の秘密に苦悶する元亀岡藩士、如月夢之介が忽然と姿を消して、早一年。渡世人、霧立の甚五郎は、おかま侍こと堀内新之丞の助言によって、ようやく夢之介との再会を果たす。しかし、夢之介は新たな秘剣を体得し、腕はさらに凄みを増していたものの、心は死人同然だった…。満開の桜に浮かれる大江戸では、般若の面をつけた謎の刺客が次々と亀岡藩士を殺めていた。その狙いは?夢之介は陰謀に揺れる亀岡藩を救うことができるのか?好評シリーズ第2弾。
ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長からある紋章について説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社〈イルミナティ〉のものだった。